長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ギターアンプ製作

見栄を張ろう!

せっかく真空管を使っているのに気づかれないのはやはりシャク。
せめてケースを簡単に開けられて見せられる工夫が欲しい。。
ケースの開け閉めにドライバーがいるのは面倒なので、手回し式のツマミネジを使います。

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本当は 12AU7 はそれほど発熱しない(触れば熱いですが)ので、放熱を気にすることはないのですが
「放熱」と称して蓋を半開きにすると真空管を目立たせらます。(^-^;)

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真空管を目立たせるために 真空管の周囲に LED を配置して光らせるとより効果的です (^^;)


配線が終わって、ケースに部品を取り付けます。
これで「完成」と言いたいところですが、なにかしら間違いがあるものです。
私自身もボリュームの1端子と3端子を間違えていたり、Vcc ラインと GND ラインを部分的に
間違えたりしていました。そんなもんです。
音が出なかったり、雑音がしたり、問題があればそれを解決するのが本当の腕というものです。

電源を入れてみましょう。最初はヘッドフォンもギターも接続せずにチェックします。
真空管を使っているので電源を入れてから正常なら音を出す準備ができるまで20~30秒ほど
かかります。それでも OP-Amp は電源投入と同時に動作してヘッドフォンを鳴らす準備は完了します。
場合によっては電源 ON と同時にヘッドフォンから大音量のノイズが出て耳を炒める可能性が
ありますので最初はヘッドフォンもギターも接続せずにチェックします。

電源スィッチを入れると前面の LED が光ります。光らない場合はすぐに電源を切ってください。
指定したAC アダプタは電源ラインがショートしていると保護回路が働くので LED が光りません。
電源関係に問題があるか、単に LED の配線に間違いがあるか、のどちらかですが、
後者であれば簡単ですが、電源関係だと回路全般を丹念に配線チェックする必要があります。

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LED が点灯し、30秒ほど経過したら真空管のフィラメントが点灯しているかを確認してください。
真空管のメーカーにもよりますが、 12AU7 や 12AX7 などの電圧増幅管はそれほど
明るくは光りません。下の写真を見てください。照明を落とし、フラッシュを切らないと
目立たないほどの明るさです。

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真空管エフェクタなどではもっと明るく光る、という方もいるかと思いますが、
電源 ON とともに明るく光るエフェクタはフィラメントではなく(オレンジ色の) LED で
真空管を照らしているのです。(^_^;)
逆に明るく点灯している場合はフィラメントに 24V が直接加わっているかもしれませんので
真空管の4pin と 5pin の間の電圧をチェックしてください。

問題がないようならボリュームを絞った状態でヘッドフォンを接続して大きなノイズがないか確認
します。大きなノイズがあるならば OP-amp が発振している可能性があります。
問題なければボリュームをゆっくり上げて、大きな(異常な)ノイズがないか確認してください。
ノイズを皆無にするのは難しいのである程度妥協しなければなりませんが、妥協できるかどうかの
判断はギターをつないでギターの音との対比で決まります。

ギターを接続して音を出してみます。
ボリュームを絞った状態で接続し、音を出しながらボリュームを上げていってください。
ギターの音が出ているか、ボリュームがきちんと効いているか、ギターの音に比べてノイズが
大きくないかを確認してください。

問題があれば電源電圧、配線や回路のチェックを行い、間違いがあれば修正してください。
初めての電源ON で正常動作、完成! と行きたいところですが、そうドラマチックには
行きません。動かなかったからと言って落胆せずに地道にチェックするのが完成までの早道です。

お試しください。

注意点をもうひとつ。

真空管の取り付けについて。
真空管ソケットの2つの取り付け穴に15mm のスペーサを付けてケースに固定します。
ネジが緩んでると振動で真空管が割れたりしますのでご注意を。

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真空管はJJ の ECC82 (12AU7)を指定しております。
1ピンが上になるようにソケットを取り付けるとちょうど JJ のラベルが上を向きます。
見栄えが良いですね (^_^)
でも実際にこの配置にする意味があります。この配置にすると
ヒーターのフィラメントが縦に配置されるのでマイクロフォニックが少なくなります。
ただ、ピン配置とフィラメントの位置関係は真空管のメーカーによって異なります。
ケースを叩いたらヘッドフォンからコンコンと音がするようでしたら、
取り付け角度(取り付けネジ穴の位置)を変えてみる等の対策をします。

あと真空管の周囲は熱を持ちますので、配線等が真空管の付近を通らないように配置してください。
写真では黒の導線が一本近づいてますね (^^;)
配線がケースの端を通るように工夫しましょう。

製作上の注意点をいくつか

LM317 はモールドタイプを指定しています。
取り付け穴の周囲が金属でなく絶縁されているもので写真では左のものです。
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右のタイプだと取り付けるネジ(部品番号37 M3x10mm)を絶縁体にする必要があります。
プラスチックネジを使ってください。

LM317 は底板に取り付けます。放熱用シリコンシートを1枚はさんで取り付けます。
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続いて、基板上の回路を作成します。
秋月電子の C 基板(47 x 72 mm )を使っていますが、これも回路規模からするとちょっと
大きめです。これも回路の実験や改良を考慮して大きめにしています。
基板上の部品をすべて合計しても \424 にしかならない(OP-amp を流用すれば \324)ので
基板ごと取り替えてもあまり苦にならないですね。作る手間はかかりますが。

基板上の部品配置(部品面)
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半田面の配線
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基板から周辺部品への接続
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ケースの穴あけが完了すると、写真のようになります。
前回の説明で背面の加工がわかりづらいと書きましたが、実物の写真でどのような配置になるかを
確認して下さい。

前面から見た場合
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背面から見た場合
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開けた穴に部品がちゃんと装着できるか、仮組をしてみます。
選んだ部品によっては穴が小さくて装着できないこともありますが、この段階で確認して
穴を広げるなどの処置をしておきます。
また、部品を仮組みして部品同士の干渉に初めて気がつく、ということもあります。
問題はなさそうです。(ほっ ^^;)
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ケースはタカチのYM-150 という薄型のアルミケースを使います。
幅 15cm、高さ 4cm、奥行き 10cm のケースで、アルミの厚さは 1mm。

ギターアンプは持ち運びができなければなりません。
オーディオ用真空管アンプであれば真空管が露出していてもそれはデザインのうちと割り切れますが、
ギターアンプの場合はライブスポットまで持ち運び、少々手荒な扱いにも耐えなければなりません。
真空管が露出しているデザインは真空管アンプであることを誇示するには良いのですが、
実際に使うには脆弱すぎます。
せめてケースの中に入れるか、ガードを付けるか、真空管が破壊されるのを防ぐ手立てを
講じる必要があります。(逆に自作機に付けられる良いガードがあるのなら聞きたいくらいです。)

このヘッドフォンアンプでは真空管 12AU7 をケース内に搭載します。
9 pin の真空管ソケットを 15mm 金属スペーサを介してケース内側に固定します。
この方法だとソケット取り付けのための直径 20 mm の穴(通常のドリルでは開けられない大きさ)を
開ける必要もなく、ケース外に真空管が露出することもありません。
そのため回路の規模の割にはちょっとケースが大きめになっています。

また、このヘッドフォンアンプが完成したらそれでおしまいにするのでなく、
いろいろな実験や改良ができるように場所の余裕を取っております。

(そうは言っても、「クリーンブースターとしても使えます」というエフェクタとして使うのには
消極的なスタンスを取っているのは、このケース(アルミの厚さ1mm)だと
フットスィッチをつけて踏んづけたら潰れてしまうから (^^;;) なかなか痛し痒しです。)

前置きが長くなりましたが、ケース加工図を掲載いたします。

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YM-150 の黒く塗装された底の部分を加工します。
底面から見た三面図になっているので背面が少しわかりづらくなっております。
上下左右を間違えないように。

穴に取り付ける部品(左から)
前面:
Φ9 J1 フォンジャック(ギター入力)
Φ7 VR1 ボリューム
Φ8 J2 ステレオジャック(ヘッドフォン用)
Φ7(右上)D1 ブラケット LED
Φ6.5 SW1 トグルスィッチ(電源スィッチ)

底面:
Φ3.2 (4個) 基板取り付け(10mm スペーサ)
Φ3 IC2 レギュレータ

背面:
Φ3.2 (2個) 真空管ソケット(15mm スペーサ)
Φ12 J4 フォンジャック(ブースター出力)
Φ8 J3 DCジャック(電源コネクタ)

部品表です。

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アムトランス:
http://www.amtrans.jp/

秋月電子:
http://www.akizukidenshi.com/

千石電子:
http://www.sengoku.co.jp/

通信販売で購入できる部品を選び、さらに通信販売先を増やさないようにしております。
下に示したように、送料ならびに代金引き換え手数料(代引)が結構な額になってしまいます。
代引を銀行振込にしてもこの額は変わりません。上記3店は(秋葉原では珍しく)クレジット
カード支払ができますので、その場合は代引分の負担がなくなります。

ねじ(3mm)の類だけ、お近くのホームセンターでお求めください。
M3 x 5mm のなべネジは M3 x 6mm でも構いませんが、 M3 x 8 mm だと
10mm のスペーサを止めるには長すぎるかもしれません。

真空管 12AU7 を使ったギター用ヘッドフォンアンプを製作いたしました。

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ギター用エフェクタを自作して使う人は結構いますし、エフェクタ製作の書籍も少なからずあります。
ただ、真空管ギターアンプを作る人となるとその数はグッと減ってしまいます。

その理由を考えてみました。
(1) 高電圧回路なので感電が怖い
(2) 金属加工、キャビネットの木工など工作分野の拡大
(3) 真空管、トランス、シャーシ、高圧部品などの入手
(4) 電動ドリルなどの工具類の追加購入
(5) キットが充実していない、低価格のキットがない

技術的にも金銭的にも部品調達にもいろいろな障壁があるように思います。

そこで、エフェクタを作ったことのある人、それなりの工具を持ち使える人を対象に
比較的簡単に作れるヘッドフォン真空管アンプを考えてみました。
元ネタは YAHA アンプ(Yet Another Hybrid Amplifier)です。
YAHA アンプについてはこちらを。

http://www.geocities.jp/shirocable/ha11.html
http://www.op316.com/tubes/hpa/pre-yaha.htm

YAHA アンプをギターアンプ用にモディファイしました。
特徴としては

(1) 真空管を低電圧で動作させる
(2) 金属加工が簡単
(3) 特殊な部品(トランス類)を使用しない。

さらにクリーンブースターとしても使えるよう、Booster Out を装備しております。
(ただしフットスィッチ等によるバイパスはありません。)
ブースターとしてのゲインは最大で10倍程度。ボリュームが12時の位置でゲイン1になるよう
設定しています。

真空管を24V という低電圧で動作させていますので、音質について疑問に思うかもしれません。
私自身も作ってみるまであまり期待していませんでした。
ところが意外なことに、このような簡単な構成でも「真空管」らしいクリーンな音が
ヘッドフォンから飛び出します。これは嬉しい誤算でした。
以来、いろいろなバリエーションを次々と作って楽しんでおります。
残念ながら、フェンダー系真空管アンプがそうであるように「なかなか歪みません。」
でも手軽に真空管アンプの音を作ることができます。

お試しください。

回路図はこちら

PNG

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製作に関する情報や製作過程を次回から掲載いたします。

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