長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ギターアンプ製作

部品を紹介いたします。

まずは本体。萬古焼蚊やりです。
地元のホームセンターで千円(税込)くらいで売っていました。
メーカーがよくわからないのですが...

蚊やり前方
DSC02830A

目の部分にフォンジャック(9mmΦ)を取り付けます。
製作に入る前に使用するフォンジャックと寸法合わせをしておきます。
ちょっと穴が小さくてフォンジャックが取り付けられないことがありますが、
その場合は紙やすりなどで削って穴を広げておきます。


スピーカーは蚊やりの後方に取り付けます。直径 12 cm 。
5インチスピーカーのサイズです。

DSC02833C

内面。
上から吊り下がっているのは蚊取り線香を吊る針金。
これは不要なので除去します。

DSC02840D

ギター用5インチスピーカー JENSEN MOD5-30。8Ω。

DSC02842E

マグネットが大きく、このクラスとしては重い部類に入ると思います。

DSC02843F

スピーカーケーブルは BELDEN 9497。
特にこだわりがあるわけではないですが、線がまとまって使いやすいので
使っています。普通の赤黒のスピーカーケーブルで充分かと思います。

DSC02845G

スピーカー入力のモノラルジャック x 2。
ジャックは1つで充分です。
2つにする理由はもう1台キャビネットを作ってスピーカーを
パラレルにして4Ω 60W で使おうと考えているからで、
この2つのジャックが並列になるように接続します。

DSC02874H

スピーカーグリル。実は山洋電気の「フィンガーガード」。
モノタロウで購入。
JENSEN MOD5-30 にジャストフィット。

DSC02900F

最後に今回の製作で最も役に立った紫外線硬化接着剤。
ちょっとお高いけれど、接着強度と硬化速度は抜群です。

製作時間1時間ほどでできる 5 インチキャビネットを自作しました。
これまで数本作っておりますが思ったより良い音がするのと、持ち運びが
比較的容易なのでひとつ作っておくと重宝します。

DSC02902A

本体は萬古焼の蚊やり豚。
これに Jensen MOD5-30 を装着しています。
写真の方向は「キャビネットの背面」です。スピーカー入力ジャックを
2つ装備しています。8Ω 30W 。

「キャビネット前面」
DSC02904B

スピーカーコーンの保護のためにスピーカーグリルを装着しておりますが、
これが本来何であるか。。。おわかりですね。

DSC02907C
キャビネット背面から見えるスピーカー。

小型にまとまったキャビネットなので、自作のミニアンプの試奏を
する時に使うと場所をとらないので便利。
DSC02910D

5年ほど前に製作した 2W Nutube アンプに接続してみました。

デモを作成しました。

ストラトキャスターのフロント PU、Vol 10, Tone 10。
アンプは Pignose。

00:02 - 00:12 アンプ直
00:15 - 00:25 プリアンプ ON, SPEED 0, INTENSITY 0
00:31 - 00:41 SPEED 5, INTENSITY 5
00:47 - 00:59 SPEED 10, INTENSITY 5
01:06 - 01:18 SPEED 5, INTENSITY 10
01:22 - 01:35 SPEED 10, INTENSITY 10


およそ10年前に製作した真空管トレモロです。
前に投稿した真空管リバーブと同様、Fender Twin Reverb のプリアンプを
抜粋したものに Tremolo を付加しています。
タカチ TD12-18-5N に組み込みましたがかなり密になっています。
当時はシルバーフェースの Vibro Champ を入手したばかりで Tremolo が楽しくて。
自分でも作ってみようと思い立ちました。

DSC01906A

ケース上面にコントロールを配置しています。
右上にランプ付きの電源スイッチ。
コントロールは左から Bright SW, Volume, Treble, Middle, Bass, Master Vol,
Tremolo Speed, Tremolo Intensity です。

ケース前面には Input, Foot SW, Head phones, Output の4つのジャック。

DSC01909B

ケース背面。 AC インレットとヒューズホルダ。

DSC01912C

ケース内。
真空管 12AX7 x 2。JJ の ECC83S と ElectroHamonix の 12AX7 を
使っていますが、手元にあったものを使っているだけで、
特にこだわりはありません。
電源トランスは東栄変成器の ZT-5VA で 二次側 240V から B電源を
取り出しています。

回路図

20220105 初出

PNG:

PDF:
 

さて、音を聞いて見たいというリクエストがありましたので
音声を上げて見ます。(笑ってやってくれい!)

試奏に使った機材は下に示す写真のとおり。
エフェクタがアンプよりでかいでやんの。
DSC01875A

アンプは左のおなじみ PIGNOSE. 
左のAB ボックスを挟んで真空管リバーブを接続しています。
右のフットスイッチは真空管リバーブの ON / OFF を切り替えます。

PIGNOSE なんて、と思うかもしれませんが、結構いい音がしてます。
それに PIGNOSE には Volume はあるけれどトーンコントロールが
ないので、真空管リバーブのプリアンプ部(Twin Reverb の前段)の
音をストレートに出してくれるので音の変化がよくわかります。

真空管リバーブのトーンコントロールは Treble, Mid, Bass すべて 5。
リバーブは7に設定しています。
音量はアンプ直の音量に合わせるため Volume, Master とも控えめです。
ギターは Stratocaster のFront PU。VOL, TONE ともに10。

Reverb_sound.mp4

0:00 - 0:30 PIGNOSE 直
0:32 - 1:11 真空管リバーブ プリアンプのみ
1:12 - 1:48 リバーブ ON


プリアンプ部、と言っておりますが、リバーブ本体です。
抵抗を2本記載ミスしていたので修正しました(20211214)。


Reverb_PreAmp

Fender Twin Reverb の Vibrato チャネルを抜粋した回路になっています。

製作の動機をお話しします。
Fender のクリーントーンが好きで、Fender のプリアンプ部のみを
抜粋して作ったアンプシミュレータをこれ以前に作っていました。

1号機 BASSMAN  5F6
2号機 Twin Reverb (兼真空管比較機)
3号機 Twin Reverb
4号機 Vibro Champ

タカチ TD12-18-5 のダイキャストケースに回路を収め、手軽に
Fender 系の音が出せるプリアンプとして使っていました。
トランジスタアンプ(JC-120 のような) の Return (Main in) に接続すると
真空管アンプの音が出せるようになります。

4号機までの回路はプリアンプ部の抜粋だったのですが、
やっぱり Reverb が欲しいな、と思い始めました。
Return に接続するとアンプ本体のリバーブをスルーするからです。
そこで一念発起して作ったのがこの真空管リバーブ。

回路図に戻りましょう。
Twin Reverb の回路を模倣しているのでリバーブ部以外は説明の必要は
ないと思います。
リバーブユニットには2スプリングの BELTON BMN2AC3C1B を使用。
この頃はまだ BELTON が Accutronics を吸収する前で、入出力インピーダンスが
わかるリバーブユニットを入手しようとするとこれくらいしかありませんでした。
"2AC3C1B" は Accutronics の命名規則に沿った型式のようです。
Type 2 互換(2)、入力インピーダンス 8Ω (A)、出力インピーダンス 10kΩ (C)、
残響音 長め(3)、入力端絶縁、出力端 ground (C)、ロック機構なし(1)、伏せ型(B)。
仕様に問題はありません。

入力インピーダンス8Ωは真空管でドライブすることを前提に選択しました。
トランジスタや IC でドライブするのであれば 600 Ωくらいのインピーダンスの
ものを選べば良いし、それのほうが回路が簡単になります。
 8 pin OP アンプ1個でドライブ(出力)と増幅(入力)ができるはず。
ただこの時は真空管でドライブすることにこだわりました。

真空管で8Ωの負荷をドライブするにはインピーダンス変換トランスが
必要で、それが「リバーブトランス」。
リバーブトランスには東栄変成器の T-600Z/12K  を使用しました。
T-600 のコアをオリエントコアに変更した新製品として購入した記憶があります。
1W 程度のアウトプットトランスですが、リバーブユニットをドライブするには
充分でしょう。小型化にも貢献しています。
12AT7 をパラレルで使うのでトランスの一次側は 10kΩ を選択しました。


電源部はこのようになっています。

Reverb_PowerSupply

電源トランスには東栄変成器の ZT01 (10VA)を使用しています。
本来は 200V/220V (一次)の交流電源を 100V (二次)に変換するトランス
なのですが、一次と二次を逆にして真空管用電源に使います。
と言うと「大丈夫かいな?」と疑問に思うかもしれませんが、
マニアにはよく知られた方法だそうで、東栄変成器の隠れたロングセラーと
なっているようです(東栄変成器のご主人に伺いました。)
これと同じ使い方をしている文献を示しておきます。
文献中では6BM8 シングルステレオアンプに東栄変成器の
ZT-03E (30VA) を使っています。

 林正樹、オデオマニアン・ドラドラセカール共著
「iPod で楽しむ真空管&D級アンプ」CQ出版, ISBN4-7898-4162-6, 2006年10月


このリバーブを製作した頃は ZT-01 は 200V と 220 V しかありませんでしたが
現在は 240V のタップがあります。B 電源としてそちらを使ってもよいでしょう。

また、今から作るのであれば ZTU-01 を使うことをお勧めします。
 ZT-01 だと二次側巻線(100V 側)を「巻き増し」しているため上記の使い方をすると
200V / 220V の巻線の電圧が低めになるということ。
そこで一次側 100V, 二次側 200V/220V/240V の ZTU シリーズを製造したのだそうです。

B 電源はダイオードブリッジで全波整流したのち、 MOSFET による
リップルフィルターを通し、ハムノイズをカットします。

ヒーター電源は(反則気味ですが)ACアダプタ ( DC15V 0.8A) を
使って直流点火を行います。
12AX7 x 2 + 12AT7 の3本のヒーター電流は(12V 接続 4-5間)450mA に
なります。 例えば DC12V 1A 程度の AC アダプタで充分と思うかも
しれませんが、そううまくは行きません。
12AX7 のヒーターの抵抗は室温の状態だと 12Ω 程度。熱を持つと抵抗が
上昇しはじめ 80Ω まで達します。この状態でだと 12V 接続で 150mA が
流れます。
室温の状態で3本のヒーター(並列)は抵抗 4Ω になるため、ACアダプタは
3A の電流を供給できなければならなくなります。実際には AC アダプタが
過電流を検出して停止します。そのためヒーターが熱せられず、アンプとしての
機能を果たさなくなってしまいます。
このリバーブのヒーター電源では B 電源に使ったリップルフィルターに似た
回路を付加しています。リップルを除去するために使っているわけでは
ありません。ヒーターに供給する電圧をゆっくりじわじわと上げていく
回路にしています。室温に近く抵抗の小さい状態では低い電圧を加えて
小さい電流を流します。時間をかければヒーターも熱くなるので
時間をかけて電圧を上げて行って最後に 12V で安定させるという回路です。
なかなか苦労した回路でした。なんとか 15V 0.8A の ACアダプタでヒーターを
直流点火でき、コンパクトに収まりました。12V 3A のアダプタだと
シャーシに入らなかったことでしょう。


Facebook 「真空管ギターアンプ製作センター」に以前作った
リバーブユニットを投稿したので、こちらにも記載することにします。

とりあえず今回は外観と回路の写真を掲載いたします。
作ったのが確か7、8年前。勢いに任せて作ったので回路図も残して
おりません。本日久しぶりに解体して回路図を採取したので (^^;) 
回路図の公開も可能ですが、清書までしばらく時間をください。

回路は Fender Twin Reverb の Vibrato チャネルのプリアンプ、
トーンコントロール、リバーブまでを抜粋したものです。
小型化のため小さな電源トランスを使っているため B電源電圧は
低めにしております。

外観はこんな感じ。
DSC01845AA

スプリングリバーブを内蔵するため、どうしてもエフェクタ用ケースには
収めることはできません。いろいろ悩んだ挙句 VOX Pathfinder 10 の
キャビネットに組み込むことにしました。

DSC01847A

Pathfinder 10 のバックパネル、シャーシ、スピーカーを取り外し、
市販のアルミシャーシに回路を組み込みました。

DSC01851B

真空管は右から 12AX7, 12AX7, 12AT7 の3本。
トランス類は東栄変成器で購入。 電源トランスが ZT-01E、リバーブ
トランスが T600。


DSC01854C

スプリングリバーブは BELTON の BMN2AC3C1B をキャビネット底部に
搭載。Accutronics であれば Type 1、2、8 であれば搭載可能かと思います。
スプリングリバーブは 2011年の製造。この頃はまだ Accutronics が
BELTON に買収される前で Accutronics のリバーブが入手し難かったことを
覚えています。

シャーシ内部の回路はこのようになっています。
DSC01859D

DSC01860E

電源平滑回路、真空管周辺回路、トーンコントロール回路をそれぞれ
平ラグ板に組んでいます。勢いで作っているので配線を整えることも
してません。よく発振しなかったものだと思います。
ハンドワイリングの回路が音が良い、ということを言う方が多いですが、
真空管回路の自作では配線の位置次第で簡単に発振を起こします。
ここら辺は発振で苦労したことがないと実感できないかもしれません。

真空管3本のヒーターは 15V 0.8A の AC アダプタで直流点火しています。
小型化のためにAC アダプタのインレットは切り取って半田直付け。
あまりおすすめできる方法ではありませんが。

今回公開したヘッドフォンアンプの構成は工作の容易さを優先しております。
ちょっと大きめですが、軽くて持ち運びにも便利です。
ただ前にも述べましたが、ブースター(エフェクター)として使うにはケースが脆いという欠点が
あります。このケースではブースターというよりはライン入力用プリアンプとしての使い方が
向いているのでしょう。

それでもやはりブースター(エフェクター)として使うにはフットスィッチを装備するとともに、
強固なケースに入れる必要があります。
タカチのアルミダイキャストケース TD10-13-4 を使って構成したのが次の写真。
イメージ 3


右がそのTD10-13-4 で製作したもの。YM-150 と比較しました。
電源スィッチがなくなる代わりにトゥルーバイパス用 3回路3接点(3PDT)を追加します。
この3PDT が大きく背が高いため、基板レイアウトに苦労して作った中身が下の写真。

イメージ 4

真空管をケース内に収めて保護する構成ではどうしても図体が大きくなります。
また見かけがのっぺりしてしまうので面白味に欠けます。
私は絵心がないのでケースの塗装をしないので余計にのっぺりしています。

真空管が壊れるおそれがあるけれど、真空管を露出させるとケース自体を小さくすることが
できます。フットスィッチを注意して踏まなければなりませんが (^^;)
タカチのTD7-10-3 を使っています。
イメージ 1

真空管を蹴っ飛ばさないようにフットスィッチとの間に大きめのボリュームノブを取り付けて
おりますが、まぁ無駄でしょう。作ったものの、エフェクターとしては使っていません。(^^;)

ブースターとしては使わない、ヘッドフォンアンプ専用だったらどれくらい小さくできるかと
作ってみたものが次の写真。

イメージ 2

タカチの TD4-6-3 を使って作っております。ここまで小さくなります。
ただし軽くて小さいので太めのシールドを接続するとシールドに引きずられることがあります。
モンスターケーブルあたりは最悪です。 (^^;)

今回の YM-150 ケースを使った製作例は確実に動作することを目的に部品を選んでおります。
製作に慣れたら是非とも構成をアレンジして改良を加えていただきたく思います。

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