シャーシ内部。
非常にコンパクトにまとまっています。
前面パネルに搭載されているのは EPK-1000 基板。
FLIP 1000, FLIP 2000X, FLIP 1500 と共通の基板です。
ZIP 400 ではこれらの機種の基本機能に「ハーモニックス・
セレクター」のフィルター等を加えて差別化しています。
中央に四本のバネで宙吊りになっているのはリバーブユニット。
これは同時期の FLIP シリーズと同様の構造。2スプリングのリバーブ
であることも同様。
これまで扱った FLIP シリーズのアンプでは、スプリングが切れて脱落
していることがよくありました。金属のスプリングが脱落すると
電源部などにショートする可能性があり、危険です。
できればリバーブユニットごと取り替え、キャビネット底部に取り付ける
改造を行うのが好ましいです。
電源部。
FLIP シリーズだとこの部分に電源基板や出力管があるのですが、
ZIP 400 ではパワーアンプに供給する正負電源も EPK-1000 上の
ダイオードブリッジ KBL02 x 2 で整流しており、ブロックコンデンサ
4700uF 63WV x 2 があるだけのシンプルなものになっています。
そういえば FLIP シリーズではダイオードブリッジの部分が空きパターンに
なっており、何のパターンか謎でした。なるほど。 FLIP と ZIP で
共通に使える設計にしたわけですね。
パワーアンプ基板 EPK-118。
基本構成は Guyatone の標準
ディスクリートパワーアンプ構成とほぼ同じ。
ディスクリートパワーアンプ構成とほぼ同じ。
終段が両方とも NPN の 2SD676 であることが違いではあるけれど、
回路構成は大きくは変わりません。
プリアンプ+電源基板 EPK-1000 を取り外そうとなるとちょっと厄介です。
FLIP 3000 ほど厄介ではないですが、「ハーモニックス・セレクター」の
3つのスイッチが前面の化粧パネルを取り外さないと外れない構造になっています。
スイッチ両端にネジ穴があるのがわかると思います。これらが皿ネジで留められ、
化粧パネルの下に隠れているのです。
前面の全てのジャック(4個)、ポット類を固定するボルト(7個)、パワースイッチのボルト、
ネオンランプのボルトを外してやっと化粧パネルが外れます。
(ネオンランプに関してはボルトが内側にあるので、配線を切らなければなりません。)
写真中央右よりにインダクタ(コイル)があります。トランス、と言った方が
通じる形状をしていますが、二次巻線がないのでインダクタです。
「ハーモニックス・セレクター」の MIDDLE で BEF を構成しています。
同様の回路は FLIP 2000 でも採用されています。
EPK-1000 基板の部品面。
見慣れた回路です。
この個体は修理した形跡があり、Q101 として 2SK66 が半田面に搭載されて
いました。そのため本来の FET の型名が不明なのですが、
公開している回路図では Q101 を他の EPK-1000 搭載機種と同様であると
判断して 2SK30A としています。