長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Guyatone

順番が前後しますが、FLIP 2000MKII のメンテナンスを行いました。
注文していた電解コンデンサは届いていたのですが、REVERB JAZZ
の回路解析に時間を取られていました。REVERB JAZZ の方は
回路図の清書にちょっと時間がかかりそうなのでしばしお待ちを。

迷ったのが無くなっていた Normal / OverDrive の切替 SW
波形スイッチは入手が難しいので、一般的なトグルスイッチを使う
ことにしました。その上で四角の比較的大きな穴を如何に塞ぎ、
如何にトグルスイッチを取り付けるか、が面倒なのです。

幸いにして前面の黒パネルはシャーシから取り外すことができ、
パネルとシャーシの間に波形スイッチ取り付け用の皿ネジが隠されて
いました。これを利用すれば小さな金属板くらいはシャーシの裏面から
とりつけることができそう。
横 30 mm, 縦 20 mm, 厚さ 0.4 mm の鉄の板を用意するまでにも
いろいろと迷いがありました。簡単に考えれば厚さ 1mm 程度のアルミ板を
買ってくれば良いのですが、材料の大半が使わずに残ってしまいます。
これまでそういう材料が結構溜まっているので思案してしまいます。
なんとか材料も無駄にならずに、手間もかからない方法を思いつきましたが
何を使ったかは秘密 (^-^;) 。
ネジが M2 だったので 2.5 mm の穴2つとトグルスイッチの 6.5 mm の穴を
開けて取り付けた状態がこちら。
DSC00882J

操作性はそれほど悪くありませんし、強度的にも問題はなさそうです。


全ての電解コンデンサを交換し、メンテナンスも大詰め、というところで。

気がつきませんでした。
DSC00881K

入手時についていたこの出力管。6L6GC ではなく 6CA7 (EL34) でした!

試奏する少し前に気がつきました。回路図を採取する際には
真空管を外しているので気がつかないのは不思議ではないのですが、
出力管周辺の回路は 6L6GC のもの。6CA7 (EL34) だと G3 (1pin) は
カソードK (8pin) に短絡するのが一般的なのに対し、 6L6GC では 
1 pin は N.C. になっているので 1 pin をラグ端子代わりに使うことが
多いです。で、FLIP 2000MKII でもそのような配線になっていました。

え〜っ。 EL34 ?? 
採取した回路図訂正しないといけないのかなぁ?
電源を入れて試奏してみると正常に動作しています。うーーん。
6CA7 (EL34) は Sylvania 製。おそらくオリジナルではなく
取り替えられたものだと推測されます。それでもオリジナルと
同じ真空管に入れ替えるだろうから、もともと EL34 だったのかなぁ?

こういう時には当時のカタログを見るのがひとつの手で、
普通は使用真空管が列挙されているものです。
といっても、Guyatone の70年代のアンプのカタログには
真空管のラインナップは明記していないんです。
GA-1050D も FLIP 1000, FLIP 2000, FLIP 3000 も使用真空管は
書かれていません。

FLIP 2000MKII がデビューした 1980 年のカタログにもその規格には
真空管の記載はありません。頭を抱えていたその時、カタログ中の
文章が目に入りました。引用します。

「●真空管 6L6 プッシュプル。グヤトーンの伝統的なチュ
 ーブアンプづくりのノウハウを全て注ぎ込んで、特有
 の厚み、あたたかみ、粘りのある音を実現。ふくよかな
 サウンドカラーを生みだします。」

あぁ。6L6 で良かったんだ。安心しました。

電源部のコンデンサタンクから先にお見せしましたが、
Fender Twin Reverb を意識して作られていることが
わかります。これまで国産のアンプでコンデンサタンクを
採用しているアンプを見たことがありません。

さて電源部の残り、B 電源のダイオード整流回路とバイアス電源。
これらは電源トランスの横の SPK-106 基板にまとめられています。

DSC00862A

この写真の中央の基板が SPK-106。基板下部に整流用ダイオードが
4つありますが、ダイオードブリッジではありません。
2つの 350V 巻線から全波整流していますが、一つの巻線につき
2つのダイオードを直列に接続しているだけです。
基板上部ではバイアス電圧を作成しています。基板間にあるシャーシ
底部に取り付けられているポットはバイアス電圧調整用です。

ではメイン基板の GPK-112 を見ていくことにします。
DSC00859B
この写真の部分は Normal チャンネルと Vibrato チャンネルの初段と
それぞれのトーンコントロール回路です。
V1 の 12AX7A が Normal チャンネル、V2 の 12AX7A が Vibrato チャンネル
をそれぞれ担当しており、初段のあとにどちらも Fender tone stack に
よるトーンコントロール回路を通過します。写真下側の緑色のセラミック
コンデンサと 0.047uF, 0.1uF の3つのコンデンサが2組見えます。
これらが Fender tone stack を構成するコンデンサです。
また右下部分に Vibrato チャンネルのトレモロのミキシング部があります。

DSC00860C
この部分はリバーブの入力と出力、そしてそのミキシング部。
リバーブの入力にはV3 の12AT7 の2つの三極管を並列に接続して
出力電流を稼いでいます。

DSC00861D
この部分にはトレモロの低周波発振回路と変調回路があります。
変調回路はモリリカのフォトカプラ MCN-721A が使われています。
中央から少し左の黒い円筒形のデバイスです。
基板中央から右側は位相反転回路。V6 の 12AT7 周辺の回路です。

GA-1050S は本 BLOG にこれまで掲載した Guyatone の機種の中で
最も古い機種になります。
Guyatone のこれより古い機種だと、ベンチャーズブームの頃の
GA-330D や GA-520 などを修理したことがありますが、これらの
機種は回路図が当時の雑誌(「初歩のラジオ」等)で公開されていた
経緯があり、入手可能です。(なので回路図を公開していません。)
回路図が入手できない機種としても最も古い機種となります。

現在回路図を採取中ですので、しばらくお待ちください。
見た目が 70 年代の Fender Twin Reverb に似ているのでコピーモデルと
言われていますが、回路的にもコピーなのか、オリジナルの部分はないのか
を明らかにしたいところです。


背面パネルを取り外した状態。
DSC00825C

背面パネルには左から AC アウトレット、 GROUND スイッチ、100V/117V
切替スイッチ、FUSE、 Power Sw、ST-BY Sw、SPEAKER、EXT. SP、
TREMOLO FOOT SW、REVERB FOOT SW、REVERB OUTPUT、
REVERB INPUT の順に並んでいます。
電源を入れる時に背面に手を伸ばさなければならない仕様は Fender と
同じ。
搭載されている真空管は8本。右から 12AX7A, 12AX7A, 12AT7, 
12AX7A, 12AX7A, 12AT7, 6L6GC, 6L6GC の順。すべて東芝製でした。
残念なことに 6L6GC の片方はガラスが破れていました。
ペアマッチの新品に交換しなければいけませんが、とりあえず
無事な方の東芝製 6L6GC をご覧ください。

DSC00831D

背の低い 6L6GC です。自作の 6L6GC シングルのギターアンプに搭載したら
正常に動作しました。まだまだ使えそうです。70年代の東芝製でしょう。
さすがに「マツダ」のマークはありませんでした。

GA-1050D は 6L6GC x 2 のプッシュプル 50W の構成です。
Twin Reverb だと 6L6GC x 4  で 80W ~ 135W です。6L6GC x 2 だと
相当するのが Pro Reverb 40W なのですが。。。。
最初の写真を見てください。スピーカーが一本。それも15 inch、8Ω。
厳密には Twin Reverb でも Pro Reverb でもありません。

シャーシ内部を見てみます。
DSC00835F

70年代の FLIP でも見られた銅箔面に部品を搭載する基板。
回路を採取する者には優しい仕様ですが、ベークライト製でFender 社の
ようなタレットボードではありません。
シャーシ自体には 6L6GC を4本取り付ける穴が空いており、そのうち
2つは使用していません。シャーシは GA-1100D などの上位機種と
共通なのかもしれません。
電源トランスは右側の白いラベルが貼っているものです。その左に
電源基板がありますが、やたらとすっきりしています。本来なら
B電源用の大きなアキシャルリードの電解コンデンサが並んでるはず。
平滑用電解コンデンサはシャーシ底面のコンデンサタンク内に
配置されています。

DSC00841G

弁当箱のようなアルミのカバーを留めている4点のネジを外すと

DSC00846H

電解コンデンサが現れる、と思ったら電解コンデンサはガムテープで
貼り付けられていました。 Fender だったら取り外したカバーの裏に
厚めのスポンジが貼られており、スポンジでコンデンサに圧力をかけて
振動対策します。ガムテープで振動対策かぁ。なんと斬新な。
電解コンデンサの仕様がわからないし、回路図を採取できないので
ガムテープを剥がしてしまいます。
DSC00852J
100uF 350V x 2 と 22uF 500V x 3 が現れました。
ガムテープの粘着材が電解コンデンサにこびりついていたので
エタノールで洗浄して仕様と極性を確認しました。
この基板はベークライトのプリント基板で同様に銅箔面に電解コンデンサや
抵抗が設置されています。

さて次は Guyatone の 1970年代のフルチューブアンプ、
GA-1050D REVERB JAZZ です。


DSC00816A

入手したばかりの状態で写真を撮影しています。
いくつかノブが欠損していますが、比較的程度が良いものです。
適正なヒューズが取り付けられていないため、いまのところ
電源を入れておりませんが、回路的にも大きな故障はなさそうです。

と、いうよりも。
この機種としてはこれだけオリジナルを保っている個体は珍しいのでは。
Guyatone のエンブレムを取り外して F 社のものに替えたり、
"REVERB JAZZ" の部分をステッカーで隠したり削ったり。
その手の改造がなされていないということに対して、前のオーナーに
敬意を表します。大切にされてたんだね。

1978年5月のカタログから引用します。

---- ここから ----
Reverb Series
発売後9年もの歴史をもつリバーブ・シリーズは、真空管アンプ
のスタンダード・モデルです。超大型トランス、米国ハモンド社
製リバーブ・ユニット、JBL と同じ米国ホーレー社製コーン紙
を採用したスピーカー等、厳選されたパーツとシンプルな回路構
成から生み出されるサウンドは、緻密にして繊細な音の世界を演
出します。

GA-1050D ¥108,000

リバーブ・シリーズ唯一の 50W(RMS) モ
デルです。出力以外の仕様、主要パーツは、
他のリバーブ・シリーズと同様で、スタジオ
や小さなライブ・ハウスでは充分な音量が得
られ、スタジオ・ミュージシャンには、"レ
コーディング・モデル"とも呼ばれています。

規格
GA-1050D 
平均出力(RMS) W 50
連続最大出力 W 100
スピーカー cm 38
チャンネル ノーマル x 1
トレモロ x 1
コントロール
ボリューム ボリューム x 2
マスター x 1
トーン 3 x 2
リバーブ 1
プレゼンス
トレモロ 1
その他 ブライト x 2

ラインアウト
寸法   H x W x D mm 530 x 660 x 270
重量 kg 27.4
---- ここまで ----

というわけで FLIP 2000MKII の回路図を採取したので
公開いたします。
今回は回路図を採取する前に写真撮影および blog への投稿を
行ったので詳しい状況は以前の記事を参照してください。

DSC00754A


回路図を採取した個体は正常に動作していましたが、経年劣化の
オーバーホールをこれから行います。回路図中に記載する
電源電圧値などはオーバーホール以降に測定しますので、
バージョンアップまでお待ちください。


回路図

Ver. 20201127 初出

PNG:
電源 Power Supply

プリアンプ Pre-Amplifier

パワーアンプ Power Amplifier
PDF:


schematics GA-2000MK2.pdf

さて最後に残ったのはパワーアンプ部。ハイブリッドアンプの
FLIP 2000MKII で真空管を使用している部分です。

DSC00787A

手前にあるシャーシ底面に配置されているポットはバイアス電圧調整です。
いちばん右、V1 の 12AT7 は位相反転段。プリアンプ部で電圧増幅・音色調整
された信号を受け、交流波形のプラス側とマイナス側を分離します。
波形のマイナス側はプラスに反転させ(位相反転)、ともにプラス電圧にして
次段の 6L6GC のグリッドに渡します。右から2番目の V2  6L6GC はプラス側、
いちばん左の V3  6L6GC はマイナス側の担当。
それぞれのアノード(5pin)は出力トランスの一次巻線に接続されています。
出力トランスの二次側は写真左側から流れてきている白青黒の3本の導線。
そのうち白の導線は未接続であることは前に述べました。
出力トランスの黒の導線はヘッドフォンジャックで GND に接続され、
青の導線はヘッドフォンジャックのスイッチに繋がっています。
ヘッドフォンが接続されていない場合、アンプ出力はスイッチを経由して
オレンジ色の導線を通ってスピーカーに流れます。

FLIP 1000MKII の解析時に疑問に思ったのはヘッドフォンを接続した場合に
スピーカーへの接続が切れるのでスピーカージャックから引かれている
NFB が効かない、という点。設計ミスかとも思えるのですが、それが
仕様なのか(つまり確信犯であるのか)。
前述の白い未接続導線が関係しているので断言はできませんでしたが、
FLIP 2000MKII でも同じ構成でした。これが仕様のようです。

EPK-145 基板には位相反転段 12AT7 の周辺回路と
6L6GC プッシュプル関連の回路が搭載されているのですが、
これは後にすることにして。

電源関係が明確になったらプリアンプ部の EPK-153C 基板について
見ていきます。これも FLIP 1000MKII と同じ名前の基板。
DSC00802A

おそらく回路構成に大きな差はないと予想されます。
ただ気をつけなければならないのは FLIP 2000 と同様にトーンコントロールの
上部に設置されている3つのブーストスイッチ。FLIP 1000MKII にはない
仕様です。
DSC00804B

丁寧に回路をたどっていくことにします。とはいえ、FLIP 1000MKII と
大きく変わらないので回路の意味に頭を悩ますことはあまりないでしょう。
FLIP 2000MKII のプリアンプ部は半導体を使っているので、半導体用の
電源を EPK-145 基板内で作っています。この部分の回路図を先に作ります。
2SC313 によるリップルフィルタのあと Vcc1, Vcc2, Vcc3 の三段階の電圧を
降圧しながら作っています。

電源が確定したら入力(HIGH, LOW)から信号が流れる方向に従って
回路を追っていきます。回路図を採取する作業はとても地味なので
写真を撮影することはほとんどありません。
とりあえず記録に残すという意味で EPK-153C の部品面の写真を
入力側から3枚示します。
DSC00809D

DSC00810E

DSC00811F

予想どおり、特に大きな差はありませんでした。
ブーストスイッチも特に複雑な回路が付加されているわけでもありませんでした。
回路図の清書には苦労しないと思います。

シャーシを取り出します。シャーシ下側のレイアウトはこちら。
DSC00768C
左のトランスが電源トランス ETPV-24C, その右にある黒い小さいのが
チョークコイル SCH-002, 中程右にあるトランスが出力トランス ET005P30。

奥の3本の真空管をシャーシ後方から。
DSC00778D
出力管は 6L6GC x 2 、位相反転段は 12AT7 です。
3本とも Sylvania 製です。交換されたものでしょう。 
間違えない様にテプラで真空管の名前をシャーシに貼っておきます。
6L6GC は間違えようがないので、元からついていた真空管の配置(A, B)
を貼っています。6L6GC を外したときにもともとのソケットに挿せるように。
6L6GC のハカマにも貼っておりますが、挿し直すときに真空管の方向が
簡単にわかるようにしています。

さて、シャーシの内部です。
DSC00790E

真ん中に写っているアルミ板はリバーブユニットの裏面です。

DSC00794F

FLIP 1000MKII と同様にシャーシ内部にリバーブユニットを宙吊りで
設置しています。FLIP 1000MKII よりサイズの大きなシャーシなので
窮屈そうな印象はありませんが、回路を観察するのに邪魔なので
作業中はシャーシに吊っているスプリングを外します。

さて、回路図の採取を始めます。
私が回路を解析し始めるのは電源部からです。電源基板をみてみます。
DSC00785G
電源基板です。うん。電源基板。どっかで見た記憶が。
しばし過去に解析した Guyatone の写真等を探って ...
ありました。当たり前といえば当たり前ですが、 FLIP 1000MKII と同じ
基板
でした。FLIP 1000MKII では EPK-145 という名前でした。
この基板で真空管用の電源(B電源、バイアス電源)回路、さらに
写真左側で位相反転段の回路を一枚の基板に収めています。

いろいろ探った結果、おもしろいことも見つけました。
この機種の8年後の機種 FLIP-600FX の電源基板 EPK-223A
部品レイアウトが同じです。基板パターンが部品面の反対の面に
変更されていますが、部品の取り付け箇所がほぼ同じですね。

確か B 電源の電解コンデンサを取り外すと基板の名前があるんだっけ。
DSC00795G

ありました。EPK-145 です。

ということはこの基板上の回路構成は FLIP 1000MKII と同様であることが
わかります。回路定数の変更はあると思いますが、電源部の回路図は
既存の FLIP 1000MKII のものを違いに応じて変更を加えればよいはず。
... らくちん。(^^)
違いとしては電解コンデンサの定格電圧値が 450V から 500V に変更
されていること。電源部では2個の抵抗の値が変わっています。

FLIP 2000 で使われていたブロックコンデンサは廃止された様です。
そういえば FLIP 1000MKII でもブロックコンデンサはありませんでした。
チューブラー形(アキシャルリード)の 33uF 500V の電解コンデンサが
3本。500V かぁ〜〜。450V なら入手が容易なのですが。
UNICON の FUT2H330M を若松通商に発注。一本 492円。
若松通商は国産電解コンデンサを豊富に販売しているので助かっています。

EPK-145 基板については FLIP 1000MKII のときに謎が残りました。
出力トランスから一本使途不明の白い導線が出ていました。
「シャーシ開けた時にしっかり写真を撮っておけばよかった」
と後悔したものですが、今回謎が解けました。
やはり、白い導線がどこにも接続されずにヘッドフォンジャックに
固定されていました。どこにも接続されていません。
DSC00800H
というわけで不接続で正解だったようです。


どうも私はアンプのシャーシを開けるとスイッチが入って
しまうようで、古いアンプの記録を取るために写真撮影するのを
忘れてしまいがちで、回路解析に没頭してしまいます。
回路図を採取して清書(BscheV3)するまでの間には回路図と
実際の回路や電源電圧値などの比較参照を行うために、何度か
見直しを行うのですが、その頃には写真撮影は頭から離れています。
回路図を公開してしまうと、アンプを使ってギターを弾くのが主な
目的になってしまうのでシャーシを開くのが億劫になります。

というわけで今回は写真撮影をしながら回路の解析を行うという
手順にしました。


カタログ等を調べたところ、1978年7月のカタログに FLIP 1000, FLIP 2000, 
FLIP 3000 が登場します。1979 年12月のカタログからは FLIP 1000 が消え,
ハイブリッドの FLIP 2000X が登場しますが FLIP 2000 も現行機種として残ります。
1980 年3月のカタログには FLIP 2000X が消え、FLIP 2000MKII が
華々しくデビューします。当時の価格は ¥92,800。この頃まで FLIP 2000 は
現行機種で残りますが、 1980年8月のカタログからは消えてしまいます。
FLIP 2000 の代わりに登場したのが FLIP 1000MKII でした。
FLIP 2000MKII が 60W, FLIP 1000MKII が40W というラインナップに
なったわけです。


入手した個体は NORMAL / OVERDRIVE のチャネル切り替えのスイッチが
ありませんでした。
DSC00758A
入力ジャック HIGH の右横に本来はオレンジ色の波型スイッチがついて
いるはず。少なくとも故障した(であろう)スイッチを除去するという
手が入れられている個体であることは想像がつきます。
この付近の回路は FLIP 1000MKII と共通ですので、どんな回路があったか
不明である、ということにはならないでしょう。ただこのチャネル切り替え
スイッチ、FLIP 1000MKII でも壊れたものを修理したことがあります。
乱暴に扱って壊してしまうのかも。困ったことにこの形のスイッチって
最近入手が難しいんです。前回は近所のパーツ屋に一つだけ古いものが
残っていたので何とかなりましたが。今回は手に入らないでしょう。
どのように修理するかはちょっと頭が痛い。レバー式のトグルスイッチで
代用するつもりですが、四角い穴にどうやって取り付けるか、または
四角い穴をどのように塞ぐかを考えなければなりません。
とりあえずペンディング。

背面に回ってバックパネルを外してみます。
DSC00762B

この個体には Sylvania の真空管がついていました。交換されているようです。
6L6GC のプッシュプルですね。
奥に見える白いスピーカーは当時(1980年)の Guyatone のカタログで
特筆していた GHV-3 スピーカーです。この時期のスピーカーに対する
各社の力の入れようは並々ならぬもので、ALTEC 417-8H II の
ようなアルミダイキャストのバスケットを採用したスピーカーの開発
競争が起こっています。1980 年8 月のカタログでは GHV-3 スピーカー
単体の価格は ¥28,000。並行して販売していた ALTEC 417-8H II が
¥107,300 (@_@;)、JBL E120 が ¥61,000。

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