長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ELK

1975年製造のモデル。
Viking といえば 1960年代から続く ELK のヘッドアンプシリーズ。
当初は真空管アンプでしたが徐々にトランジスタアンプへと移行し、
今回取り扱う Viking Bass 55 はトランジスタアンプです。

前面パネルは2チャネルの入力に対してそれぞれ VOLUME, BASS, TREBLE の
コントロールと BRIGHT SW があり、チャネル共通の PRESENCE という構成。

背面はこちら。
DSC01095B

左から AC. OUT, GROUND SW, AC. FUSE,  DC. FUSE(+), DC.FUSE(-),
SPEAKER 1, 2,  EXT OUT の配列。3種類のヒューズはすべて 4A です。
入手した個体は DC. FUSE(-) が切れていました。

シャーシを取り出します。底面のネジ4箇所を外して前に引っぱると
取り出せます。
DSC01100C

シャーシ上面は至ってシンプル。見えるものはパワーアンプ基板と
終段トランジスタを取り付けた放熱フィン、電源トランスとブロックコンデンサ2個。

DSC01103D

終段トランジスタは 2SC1080 が2個。ケース表面が劣化しており
型番が読み取りにくかった。

シャーシ内部。
DSC01106E
 ELK 独特の銀紙シールドがプリアンプ基板2枚にそれぞれネジ2点で
保持されています。これを取り除くとプリアンプ基板が現れます。

チャネルごとにプリアンプ基板があります。これはチャネル2のプリアンプ基板。
DSC01110H

次の写真はチャネル1のもの。
DSC01109G

部品の配列からプリント基板は同一のもので、チャネル1と2で搭載する
部品を変えているようです。チャネル2の基板の方が部品点数が少ないことが
わかります。

電源トランス。 50-8R の型式が見えます。
DSC01115J

二次側 ±27V (2A) に繋がっているのはパワーアンプ用電源。
±11V (0.3A) からプリアンプ部の電源電圧を作っています。

DSC01119K
プリアンプ用電源基板。
11V 巻線を2つ使って AC22V が電源トランスから供給されていますが、
この基板で倍電圧整流を行っています。そのあと 2SD317A を使った
リップルフィルターで平滑しています。
(回路図のQ101 トランジスタの型式が間違ってますね
  (誤) 2SC317A -> (正) 2SD317A
 近々訂正します。)

1970年代のベースヘッドアンプ Viking Bass 55 の回路図を
採取したので公開いたします。

STAND BY SW があるので真空管アンプかと思うかもしれませんが
トランジスタアンプです。

DSC01092A

回路図
20210405 初出

PNG:
電源 Power Supply

プリアンプ  Preamplifier

パワーアンプ  Power Amplifier



schematics  VIKING BASS 55.pdf

FS-41 のシャーシ内部。後方から見て左側。電源部です。
DSC00334A
トランスの二次側タップに直接ダイオードブリッジを接続する大胆な回路構成。
このあたりはまだ真空管時代の空中配線の名残なのでしょうか。
パワーアンプ部の電源はダイオードブリッジで整流して 3300uF 35V の
2本のブロックコンデンサで平滑しています。
プリアンプ部への電源は写真右側の基板にリップルフィルタを介して
+44V を作っています。


DSC00335B

プリアンプ部は銀紙でシールドされています。ちょっと厚手の銀紙です。
裏は紙なので絶縁されています。
そういえば ELK の Vesser 30, 60 ともプリアンプ部が同様に銀紙で
シールドされていました。

このシールドを外すと
DSC00339C
プリアンプ部(リバーブ、トレモロを含む)が現れます。
右にリバーブトランスがあります。トランスをドライブしているのは
基板中央下に見える 2SD317A です。
リバーブユニットを真空管でドライブする構成をそのままトランジスタに
移植しているようです。インピーダンス変換トランスなので
入力 600Ω と 出力 8 Ω の文字が見えます。
トランジスタで直接ドライブする(入力インピーダンスの高い)リバーブ
ユニットを作ればよいのでしょうが、ELK は Vesser でも同じ構成を
採用しています。

リバーブトランスの上にスライドスイッチの背面が見えます。
このスライドスイッチ、シャーシの底面に搭載されており、通常は隠れています。
回路的にはブーストスイッチのようなのですが、なんでこんなところに
配置しているのか理解に苦しみます。
取扱説明書を見ればどのようなものか説明があるかもしれませんが、謎です。

パワーアンプ部の写真を撮り損ねていることに今頃気がつきました。
回路図の C302* の部分のアップだけは撮影しています。
DSC00361E

電解コンデンサが脱落した跡があります。
右側の足は折れて半田面に残っていました。これを見るともともと
付いていなかったわけではなく、なんらかの事情で除去された可能性が
高いと判断しました。
この部分は 47uF 50V の電解コンデンサを取り付けて正常に動作しています。
要調査とすることにします。

FS-41 の資料が見つかりません。1973 年製造の個体のようですが、
その頃のカタログを目下捜索中です。
おそらく出力 40W。

背面はこのようになっています。ちょっと見にくいですが。
DSC00318B

珍しいのは SPEAKER FUSE というヒューズがあることでしょうか。
スピーカーの保護のためのヒーズのようですが、電流値が記述されて
いません。中には4A のヒューズがついていました。

前面のスピーカーグリルを外すとリバーブユニットやパワーアンプ部が
見えるようになっています。
DSC00314A

スピーカーは ELK LEAD-301。8Ω。
良く見るとスピーカーエッジにところどころ割れがあります。
DSC00303B

経年劣化ですね。スピーカーを取り換えるべきか。
ただスピーカーとしては動作しているのを確認しているので、
メンテナンスが終了して音を出せるようになってから判断します。

バックパネルを外すと、終段のトランジスタが現れます。
パワートランジスタは2つとも 2SD180 。
DSC00331E

エルクは輸出を考えていたのか、この個体では4種類の商用電源電圧に
対応できるような仕様にしています。

DSC00333F

電源トランスの一次巻線として 0-100V-120V のタップが2組。
この2組の一次巻線のタップを並列/直列の組み合わせで
100V, 117V, 220V, 240V の4種類の交流電源電圧に対応できる
ようになっています。
ユーザーが電源電圧を選択する場合には上の写真の矢印のついた
黒い配線切り替えソケットを取り外し、矢印が選択する電圧を
差すように付け替えれば配線が完了する仕組みになっています。

この仕組みを回路図に書き込むとかなり複雑になってしまうので、
FS-41 の電源回路図には一次側の結線結果を列記することにしました。

ELK の70年代前半のトランジスタアンプ FS-41 の回路図を
採取したので公開いたします。


DSC00317A

ver. 20201010 初出 
オリジナルに近い状態なのですが、2点ほど不明な点があります。

(1) プリアンプ部の入力ジャック 2 が破損し、応急処置的な修理がされているため、
J2 周辺の回路が不明確です。

(2) パワーアンプ部の C302 の電解コンデンサが明らかに脱落しており、
値が不明です。おそらく 10uF ~ 100uF 位の値ではないかと思いますが、
試してみないと確実なことは言えません。もっとも回路的には無くても
動作する部品ではあるのですが、正常な動作とは言えません。


ver. 20201016 電源電圧測定値記入。
C302 は不明のまま。47uF 50V を装着し動作確認。
参考値として記入。正しい値が判明したら変更予定。


回路図
PNG :
電源 Power Supply

プリアンプ Pre-Amplifier

パワーアンプ Power Amplifier

PDF:


schematics FS-41.pdf

回路図を最初に投稿してしまったので、対象の Vesser V60 がどんなアンプなのか
わからない方も多いかと思います。
遅ればせながら、Vesser V60 の写真を投稿いたします。
こんなアンプです。
イメージ 1


イメージ 2


外観はこんなもの。

アンプの修理、メンテナンスに重要なのはやはり内部。
手を入れていない(何も変更していない)状態の写真はこちら。

イメージ 3

イメージ 4





私が読み取ったエルク電子 Vesser V60の回路図を公開いたします。

図1が電源+パワーアンプ部、図2はプリアンプ部です。

Vesser V60 は 6CA7 (EL34) のプッシュプル出力で、60W出力。
シャーシに2箇所 「53 8 7」というスタンプが押されていました。
おそらく昭和53年(1978年)8月7日製造ということかと思います。

プリアンプ部は半導体を使ったいわゆるハイブリッドアンプです。
図中、2SK30A のドレインとソースが反転している部分がありますが、
間違いではありません。実際これでちゃんと動作しています。

回路図中の R51 などの部品の参照番号は私が便宜上付けた番号です。
特に基板上に表示されているわけではありません。

PDF

イメージ 1


PDF
イメージ 2


schematics VesserV60.pdf

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