シノビガミ「いのちにふさわしい」
シナリオ情報(GM向け)
◆導入
PC1、PC3、PC4のチームがPC2を追い詰めるシーン。
PC2は3人に追われながらも、雨宮沙羅の研究所にたどり着く。
この研究所にたどり着いた理由はPC2に自由に設定してもらって大丈夫です。
この研究所で雨宮沙羅は殺害されており、その際激しい戦闘があったようで、施設内部を描写する際、ボロボロだという描写をどこかで挟んでおくとよい。
※クライマックスフェイズに施設が崩壊し、極地になるのでその前フリです。
PC1,PC3,PC4に追い詰めるRPしてもらった後、PC2が3人を撒いて研究所の中に逃げ込む描写をしてもらったら、シーン終了。
※ 3vs1で逃げ切れる理由付けは「地の利がある」とか「ここに逃げ込む準備をしていた」とか「なんか偶々ラッキーで」とか適当で大丈夫です。
◆各PCの秘密と関連プライズ
●PC1の秘密
あなたは、本当は蜉蝣型の絡繰忍者の零号機であり、すべての蜉蝣型の要素を元に最後に作られた。そのため、完全なものではないが感情に近い器官を有している。あなたが起動した時、それが雨宮沙羅を見た最初で最後だった。
そして、彼女から2つのことを託されている。
・あなたを除くすべての蜉蝣型の忍者を破壊すること。
・【完全な感情という機能】を得て、その人生を謳歌すること。
あなたの本当の使命は「【完全な感情という機能】を得た状態で、クライマックスフェイズを終える」ことだ。
また、あなたはプライズ「ココロノカケラ:壱」を所持している。
●PC2の秘密
あなたには蜉蝣型の絡繰忍者たちの記録データを収集する機能が備わっている。
今まで斃れた壱~捌型までの記憶が保存されている。
彼女たちはシノビとしてだけでなく、人としての人生を送っていたことを知り、そんな記録に影響を受けたあなたには感情に似た器官が芽生えつつある。
たとえ、望まれぬ生であっても、あなたには斃れていった仲間たちの記録、いや記憶を引き継いで生きていく義務があると感じた。
あなたの本当の使命は「【完全な感情という機能】を得た状態で、クライマックスフェイズを終える」ことだ。
また、あなたはプライズ「ココロノカケラ:弐」を所持している。
●PC3の秘密
蜉蝣型伍号機と親密な関係にあった。
だが、ある日任務から帰ってきた君が伍号機の住処に訪れると、燃え上がる家屋とバラバラに破壊された伍号機の姿が…。
彼女が最後に残した言葉は「君と過ごした日々は楽しかった」という一言だ。
そのときに君は見た、PC1の姿を、そして誓った。あのシノビを討つと。
貴方の本当の使命は「PC1を倒す」ことだ。
●PC4の秘密
「雨宮 沙羅」、「晴嶺 悠稀(ハルミネ ユウキ)」とは旧知の友人だった。
昔、とある任務の最中に晴嶺悠稀を失った。その後、雨宮は研究に没頭するようになったが、彼女もまた自身の研究が原因で命を落としてしまった。
失意の君の前にその「晴嶺 悠稀」の生き写しのようなPC1が現れたのだ。
二人の友人を失った君は残る「晴嶺 悠稀」の写し身であるPC1を護ることとする。
あなたの本当の使命は「シナリオ中、PC1が死なない」ことだ。
●プライズ「ココロノカケラ:壱」
▼概要
PC1には感情に近い器官を搭載されており、その機能により疑似感情データが蓄積されている。
このデータ群を便宜上、「ココロノカケラ」と呼称する。クライマックスフェイズの終了時、同様の規模のデータ群がもう一つあれば、蜉蝣型のキャラクターは【完全な感情という機能】を得ることができるだろう。
この器官は絡繰忍者であるPC1の主要機関に搭載されている。このプライズを奪われた状態でクライマックスフェイズを終了した場合、PC1は死亡する。
このプライズはクライマックスの戦闘終了時の戦果でのみ獲得できる。
このプライズの情報を得たプレイヤーはこのプライズの秘密も獲得することができる。
▼秘密
このプライズの持ち主はクライマックスフェイズ中、一度だけ下記のどちらかの効果を使用することができる。(「回想」と同じ効果。)
・判定の前に使用。次の判定の達成値に+3。
・自身が攻撃忍法の命中判定が成功し、対象の回避判定が失敗したのちに使用。接近戦ダメージを+1点。
この効果を使用した場合、クライマックスフェイズ終了時に【完全な感情という機能】を得ることができていなければ、このプライズの所持者は死亡する。
この効果は回想と同じタイミングで使用することはできない。
●プライズ「ココロノカケラ:弐」
▼概要
破壊された蜉蝣型の絡繰忍者の記録情報を元に作成されたPC2が持つデータ群。これによりPC2には感情に近しい器官が形成されつつある。このデータ群を便宜上、「ココロノカケラ」と呼称する。クライマックス終了時、同様の規模のデータ群がもう一つあれば、蜉蝣型のキャラクターは【完全な感情という機能】を得ることができるだろう。
この器官は絡繰忍者の主要機関に搭載されている。このプライズを奪われた状態でクライマックスフェイズを終了した場合、PC2は死亡する。
このプライズはクライマックスの戦闘終了時の戦果でのみ獲得できる。
このプライズの情報を得たプレイヤーはこのプライズの秘密も獲得することができる。
▼秘密
このプライズの持ち主はクライマックスフェイズ中、一度だけ下記のどちらかの効果を使用することができる。(「回想」と同じ効果。)
・判定の前に使用。次の判定の達成値に+3。
・自身が攻撃忍法の命中判定が成功し、対象の回避判定が失敗したのちに使用。接近戦ダメージを+1点。
この効果を使用した場合、クライマックスフェイズ終了時に【完全な感情という機能】を得ることができていなければ、このプライズの所持者は死亡する。
この効果は回想と同じタイミングで使用することはできない。
◆NPCの秘密
●「雨宮沙羅」の秘密
雨宮、晴嶺悠稀(ハルミネ ユウキ)、 PC4の3人は旧知の友人である。
彼女が蜉蝣型の絡繰忍者を作り始めたのは任務中に亡くなった晴嶺をこの世に取り戻したたかったからだ。晴嶺の面影を元にして作られたPC1は蜉蝣型の零号機。初めはPC1に友人の面影を見ていたが、徐々に絡繰としてではなく、1人の人間のようにPC1を扱い、大事にしていた。PC1にはどうにか生き延びてほしいと思っている。
そのために、自身が作った他の愛しき蜉蝣型の絡繰忍者が犠牲になったとしても…。
雨宮は自身の死期を悟り、破壊する側になれば疑われにくくなると想定し、PC1に蜉蝣型の破壊命令を出し、生き残れるよう策を弄した。
そして、その過程で【完全な感情という機能】を得て、完全に人と同等の存在にもなって欲しいと。
◆クライマックスフェイズ
研究所の最奥にある研究室にPC2を再び討伐チームが追い詰める。
そこはPC1とPC2、いや、蜉蝣型の絡繰忍者全員が生まれた場所。
そこですべての決着をつける。
※GMが操るNPC等はいないので、PCたちに良い感じにRPしてもらって、適当なタイミングでクライマックス戦闘に入ってもらってください。
・6R目終わりに、キミたちの激しい戦闘により研究所は崩れ始めます。「極地」に戦場が変更されます。自爆装置が作動し、研究室が燃え始めたとかでもいいです。
・10R目の終了時に強制的に戦闘終了です。研究所ががれきの山になります。決着がついていなければ、勝者無しでクライマックスフェイズが終了します。
◆対立構造
想定:PC1&PC4 vs PC2&PC3 ※1
勝利条件:
・PC1:PC2を倒してプライズを奪い取ること。(感情を得る。)
・PC2:PC1を倒してプライズを奪い取ること。(感情を得る。)
・PC3:PC1に復讐する。PC1がクライマックスフェイズ終了時に生命力0で脱落していること。殺す(トドメを刺す)必要はない ※2。
・PC4:PC1を護る。PC1がクライマックスフェイズ終了時に生存していること。PC1が使命達成している必要はないのでPC4がPC1とPC2を殴り倒すこともありえる ※3。
PC3とPC4が結託し、PC1とPC2を生かそうとした場合、※2,※3の理由から「PC1 vs PC2 vs PC3&PC4」 の対立構造となる場合があります。
PC1またはPC2がプライズ「ココロノカケラ」の効果を使用すると、クライマックスフェイズで勝利しないと死ぬので、※1の対立型が確定します。
◆シーン表
・雨宮ラボシーン表
2: 研究室のようだ。雑多な研究設備の中に、鍵のかかった引き出しを見つける。絡繰術で判定を行うことができる。成功すれば、好きな忍具が入手できる。失敗すると集団戦ダメージを1点受ける。
3: (壱)と扉に書かれた部屋。何もない殺風景な部屋。部屋の中にはぽつんとコンピュータが1台だけ佇んでいる。電源は入らないようだ。
4: (弐)と扉に書かれた部屋。整った部屋で、主は掃除/整理好きだったようだ。電源が生きている掃除ロボットが稼働している。部屋の主の帰りを待ちながら。
5: (参)と扉に書かれた部屋。ファンシーなぬいぐるみが至る所に飾られている。この部屋の主がカワイイものに目が無かったということは一目瞭然だ。
6: (肆)と扉に書かれた部屋。図書室かと思うほどに大量の本棚が並んでいる。机にはフィリップ・K・ディックの小説が開かれたままだ。
7: 長く続く廊下。無数に枝分かれしているように思える。不気味なほどに静まり返っているが、どこの壁にもヒビが入っており、今にも崩れそうだ。
8: (伍)と扉に書かれた部屋。何の変哲もない部屋。置いてあるものから察するに女性のものらしい。ハート形の割れた写真立てがある。中身は空だ。
9: (陸)と扉に書かれた部屋。大きなレコードの再生機が目に付く。レコード盤の上には一枚のレコードが。タイトルは「地方都市のメメント・モリ」とある。
10: (漆)と扉に書かれた部屋。中には望遠鏡や数多の天体の写真が飾られている。薄暗い部屋で天井を見上げるとプラネタリウムのようになっている。
11: (捌)と扉に書かれた部屋。一冊のレシピノートを見つける。ノートを開くと、健康とおいしさを両立するための事細かなメモが書いてある。
12: 隠し部屋を見つけた。どうやら実験器具などを置いておく倉庫のようだ。あなたが足を踏み入れると、開発途中の罠が起動する。ランダムな器術で判定を行う。失敗すると、射撃戦ダメージを1点受ける。倉庫を物色しても使えそうなものは見つからない。
◆シナリオアレンジ案
●HOに流派を振る場合
流派指定しない場合、クライマックスフェイズが泥仕合になることがあるので、流派指定してしまってもよいでしょう。その場合は下記のように振ると良いかもしれません。
HO1:鞍馬神流
HO2:ハグレモノ
HO3:隠鬼の血統
HO4:斜歯忍軍 or 御伽学園
●殺伐度を上げたい場合
・PC3の本当の使命→PC1を殺すこと に変更
・PC4の本当の使命→PC1の使命を達成させること に変更
・クライマックスの勝者を一人にして、プライズの移動を自由にできるようにする に変更
上記修正により、対立構造が「PC1 & PC4 vs PC2 & PC3」に確定します。
この際、どちらかの陣営が勝利すると、敗北側の蜉蝣型PC(PC1 or PC2)は確実に死ぬので、殺伐します。
PLたちがもがき苦しむ姿を見たい場合、この修正を入れると良いかもしれません。
●ココロノカケラの追加効果
現状、回想(+接近戦1点 or 達成値に+3)を同じ効果にしています。
もうちょっと効果を持っても良いなと思うGMは「最後の一撃(ダメージを受けたタイミングで、追加行動1回)」という形に変更しても良いかもしれません。
また、この辺の処理が煩雑だと感じた方は、ココロノカケラの秘密を消してしまってもよいと思います。