……小学生の頃、俺はそれはもう最悪だった。
泣き虫で臆病で、何にでもビクついてたガキ。それが俺だった。
後に解ったことなんだが、俺の聴覚はちょっと特殊だった。
魔法師としての才能と『あるもの』が組み合わさった結果、俺は他者が無意識に垂れ流している想子や魔法式の想子を『音』として知覚する耳を持っていた。
そりゃ泣くわ。物心ついた時どころか、生まれた時からあらゆる想子を持つ生物がノイローゼになるくらい騒がしいんだからな。
他人どころか親が近付いてくるだけでビクつき、キャビネットとかの複数人が集まってるのが近付けば泣く。人混みが近付いたらそれはもうギャン泣きよ。しかもその音に紛れるせいで、周りの会話とかもちゃんと聞こえない。
そんな人の話を聞かないすぐ泣く訳わかんねぇ変なやつだったので、小学校の頃はそりゃあ虐められた。そんなある日、学校に行きたくなかった俺は学校をサボることにした。家出た後に親が仕事に行くのを確認してから戻ってチャリに乗って、気の向くままに延々と漕いだ。そうして漕いで漕いで無心で漕ぎ続けて……そんな中、生まれて初めて『綺麗な音』に出会った。
……そうして、俺は師匠に。『
その後、当時はまだ風来坊していてそろそろ定住地を決めようとしていた師匠に必死に頭下げたことで交流を持った俺は、自分の身に起こっている症状を話した。それに対して師匠は、
『音の知覚か……悪くない』
なんて言って、色々と教えてくれた。曰く、『何かを知覚するということは、それ以外の何かを知覚しないということ』。そして俺は『想子の音』を強く知覚しているが故に、逆説的に『それ以外の音』を殆ど知覚出来ていない状況らしかった。そして俺は師匠から『認識を除外する自己暗示』を教えてもらい、一年ほどかけてその自己暗示を二十四時間使えるようになった。そして改めて師匠の演奏を聴いて、その技術に、音に惚れ込んだ俺は……改めて、零崎曲識に弟子入りしたのだった。
なんて過去回想を長々と続けたが、本題はここからだ。
現在、俺は嵌め直してまだ痛む左肩を庇いながら『不可視の弾丸』を撃った時と同じ態勢でいた。一方、意趣返しのように俺に右肩を撃ち抜かれた真紅郎は何が起きたのか分からないような顔でこちらを見ていた。
「……良いのか?ボーッとしててよ」
俺はそう呟きながら、銃の形にした右手を別の方向に向ける。その方向にあるのは──────達也と撃ち合いを繰り広げる、将輝だった。
「『不可視の弾丸』、
俺がそう呟くと、今度は将輝の側頭部に『加重系統プラスコード』の一撃が撃ち込まれる。完全な意識の外から撃ち込まれた一撃に堪らず怯むも、十師族の名は伊達ではない。すぐさま態勢を立て直し、達也に牽制の煙幕を広げる魔法を行使。さらに自己加速術式で一気に距離を取った。
「
「……っ、分からない!まるで、
「その通りだぜ、二人とも」
その言葉に、同時に俺の方を見る将輝と真紅郎。人の驚く顔見るのは気分がいいな。楽しくなってくる。
「俺の耳は魔法を『旋律』として聴き取る。古式魔法のような隠蔽術式すらも看破し、暴き出す」
「そして、我が師の教えから学び得た『絶対音感』。その二つを組み合わせることで生まれた
それが俺の、想子を、魔法を聴き解く力。達也をして『最悪』と言わしめた、百年近くの魔法の歴史をそのまま模倣し、門外不出の技術すらもその苦難の歴史を踏み躙る外道の力。
「……ロード・オブ」
「カレイドスコープ……」
「……だから、こんなことも出来る」
次の瞬間、
一方、三高の天幕。備え付けのモニターて観戦していたことで
「……まさか、何で」
「……愛梨、一体どうしたんじゃ?」
「愛梨……?」
その愛梨の様子に、不安を覚える十七夜栞と四十九院沓子。それを他所に、愛梨は震える口でたどたどしくも言葉を紡いだ。
「アレは……
『クラウド・ボール』新人決勝戦を何度か見直したお陰で学習した一色愛梨の『稲妻』を使い、照準の定義と同時に『不可視の弾丸』を行使。驚異の『不可視の弾丸』の連射を成し遂げる。……そうだな、名付けて『
「っ、好き勝手させるか!」
真紅郎がCADを向けるが……させっかよ。
「即興魔法『
『不可視の弾丸』を足元に対して行使。土煙を上げて視界を遮り、照準を合わせられなくする。そして即座に右に跳び、土煙から出ると同時に『不可視の弾丸』で脇腹を撃ち抜く。今の俺は『
「達也、幹比古!終わらせるぞ!」
俺がそう声を張り上げる。これこそが『合図』。俺の声を聞いた達也がすぐさま三高の選手と相対している幹比古の方へと向かって行く。本当なら達也をモノリスに直行させてもいいんだが、流石に将輝と真紅郎相手に単独でコードを解読する達也を守り抜くのは渋い。なので幹比古の方に向かわせて二人がかりで落とした後、確実に勝ちに行くと決めた。
「……っ、こうなったら!」
将輝が自身の少し前の足元に『偏倚解放』を行使。地面にそこそこの深さの穴をぶち開け、移動魔法で飛び散った土を集めて塀を作り穴に飛び込む。数秒遅れて将輝と合流した真紅郎が飛び込んだが……なるほど、即席の塹壕か。確かにそれなら『不可視の弾丸』からは逃れられる。……
「『弾丸』からは逃れられても、『
さて──────少し、乱暴しようか。空へと手をかざすと、二つの巨大な魔法陣が描き出される。風が草原を吹き流し、無数の葉が嘆くように音をかき鳴らす。
「
その言葉を呟くと同時に、空中に描かれた二つの魔法陣を部品とした更に大きな魔法陣が少しずつ描き出される。
これは魔法を複合するものだ。ベースには『不可視の弾丸』を。そして『不可視の弾丸』の欠点である『視界の外』を補う魔法を組み込む。
──────借りんぞ、会長。不平不満文句は受け付けんがな。
「
天に描かれた魔法陣が輝きを放ち、新たな魔法が産み落とされる!
『マルチスコープ』で将輝と真紅郎を視界に収め、脛に一撃叩き込む。ついでに塀にも数発打ち込んで吹き飛ばしとくか。
「っ、見えないはずなのに……『マルチスコープ』の力か!」
「その通り。俺の模倣は古式・現代・系統・無系統・先天性スキルを問わず、それが想子を使用した『魔法』であるならばその全てが対象だ。……ま、『マルチスコープ』は高い空間認識能力が必要になるから会長ほどの空間認識能力を持たず、先天的に持っているわけではない俺の場合は長時間は使えないがな。そうだな……精々2分ってところか。これ会長に教えたら完成品になるな……後で教えよ」
「やめてくれませんかね!?」
真紅郎の大声が響いた。えー……って言われてもな。その方が面白そうだし。
「……将輝、こうなっては遠距離で撃ち合うには不利です。ならば!」
「ああ、距離を詰める!」
二人が自己加速術式で肉薄しにかかる。『不可視の弾丸』と『不浄の鋭角猟犬』を織り交ぜた全方位からの射撃を撃ち込むが……僅かに停滞するも、吹き飛ぶことなくすぐさま走り出してくる。
「どうなってんだ……あ、あいつら着弾時に身を固めるように、自身の体表面と地面に硬化魔法を施したな?」
ダメージ覚悟、『距離を離されないこと』を重視してきやがった。衝撃は体内に残るが、硬化魔法を使うことで態勢さえ崩れなければ接近を継続出来る──────考えたな。なら。
「
今ここで、新たに魔法を構築する。すると、再び上空に二つの魔法陣が描かれる。先程よりも強い突風が吹きすさび、地表の土砂が巻き上げられるほどの空気の渦を作り出す。俺の『これ』は一から魔法を作るのではなく、あくまで材料となる複数の既存の魔法を元にそれらが競合・矛盾しないように緩衝材となる方程式を組み込むだけだ。達也が作った『
「
今度は三つの術式を組み合わせる。更に新たな魔法陣が形作られ、その三つを内包した新たな魔法陣が胎動を始める。そうだな、コンセプトは──────『最強の眼』だ。
「
次の瞬間、将輝と真紅郎はその場でぶっ倒れた。
「……この、感覚は──────」
「──────
三つの視覚干渉系魔法の複合だ。『侵気楼』により光を狂わせ間合いの認識を破壊し、『能動型認識阻害』で地面の傾斜や凹凸などを認識出来なくし、『眼球掌握』の力を持って目的地を焦点から外させる。しかもそれを『走ることでの振動とは異なる形』で送り込むことで、擬似的な乗り物酔いを引き起こさせる。一山いくらの有象無象ならこれで当分立ち上がれないだろうが……ま、こいつらならやるよな。
「こう、なったら!」
その言葉と共に、将輝が自らと真紅郎に『情報強化』を行使。自身の干渉力を集中させ俺の『虚実嗤う眼球王』を振り払った。ま、俺の魔法は基本的に速度重視。後出しで先手を取って、魔法の効果で攪乱して優勢を取り続けるスタイルだ。だからこうやって真っ向からのぶつかり合いになるとどうしても弱い。
「
「……っ、そういうことですか!」
うわ、アイコンタクトだけで意思疎通したのか。マジで息ぴったりだな。三高最強タッグは間違いなくあいつらだ。まあそんなことはどうでもいい。アイコンタクトで作戦を共有した二人。すると、魔法で身体能力を強化した真紅郎がその場で飛び上がった。……何する気だ?
「将輝ッ!!!」
「ああ──────『偏倚解放』、
『偏倚解放』。空気を圧縮させ、破裂させる。そしてその際に発生した爆風を一方向に向けることで相手を吹き飛ばす魔法だ。要はクソデカ空気砲。威力が欲しいなら空気の量を増やせばいいし、方向を限定するなら圧縮空気を直接叩き込んだ方が早い。そんな中途半端で微妙な魔法だが──────
さっきの『術式合一』の時のソレがそよ風に思えるほどの暴風が吹き荒れると共に、真紅郎の小柄な体が勢いよく撃ち出される。ああ、そういうことか。味方である真紅郎に必要以上のダメージを与えずに俺の方へと吹き飛ばしたい。そして一度吹き飛ばしさえすれば、真紅郎ならある程度の重心移動などで必ず俺に手を届かせられる。そんな至上の信頼故の一手!
「
そう叫ぶと共にCADを真紅郎へと向け、魔法式を構築する。回避?防御?アホか!ここまで本気の一手を打ってきた相手に、濁すような真似出来るか!
「俺じゃ持って数秒だが──────『
十七夜栞の『数学的連鎖』を模倣行使。ただ俺の場合、十七夜栞ほどの天性の演算能力は持たない。なので裏技で行く!意識を分割、並行思考させるマルチタスク!一台のスパコンには遠く及ばなくとも、並列稼働させた家庭用PCなら数秒は行ける!そしてその数秒なら、真紅郎が肉薄してくるまでの時間としては充分!
「『不可視の機関砲』ッ!!!」
『不可視の機関砲』で地面を抉り、発生した土塊を移動魔法で集めて撃ち出す。更にそれをカモフラージュに圧縮空気の弾丸や『不浄の鋭角猟犬』を織り交ぜた弾幕を放ち、真紅郎を全力で仕留めにかかる!
「──────ぶち、抜くッ!!!!!」
飛び散る土砂の中、一つの影が飛び出す。体を丸め、頭部に腕を添えている態勢の真紅郎だ。……そういうことか。頭部に撃ち込まれても良いように、腕を添えることで頭への衝撃を腕に逃がしたか!
「比企谷、八幡────ッ!!!」
──────その咆哮に、気付けば俺は笑みを浮かべていた。一高で最高に強い連中、達也や深雪を初めとした奴らとは戦う機会なんて全くない。風紀委員としてシバキ回してる校則違反者も、全員自分の実力にあぐらかいてるバカばかり。確かに強くはあるが、戦ってて『面白さ』『楽しさ』は感じられなかった。だからこそ、『この感覚』は初めてだった。
──────俺は今、この激突を心の底から楽しんでいる。
だからこそ、俺は選択を間違えた。
吉祥寺真紅郎を一言で定義するなら、『軍師』だろう。他にも『参謀』とか『策士』とか色々な言い方はあるが、まあ結局のところ知恵で戦うタイプの手合いであるのは間違いない。
……さて、ここで一つ質問だ。
俺は完全に、
「──────ッ!?」
横っ面に叩き込まれる一撃。感覚と音からして『不可視の弾丸』による直接加重に違いない。真紅郎の仕業か、と一瞬だけ考えるが、アイツが魔法を行使した様子はない。……ならば。
「──────将輝ィッ!!!」
そりゃあそうだよなぁ!『爆裂』のような秘術でもあるまい、そしてアイコンタクトで意思疎通を図れるほどの交流があるお前たちだ!『不可視の弾丸』が使えても、全くおかしくねぇわな!
「いっ、けぇ──────!」
「届け──────ッ!」
真紅郎の手が俺のヘルメットへと伸びる。俺の身体は将輝の『不可視の弾丸』によって態勢を完璧に崩されている。少なくともここから魔法を行使する時間はどうしても足りない。……完敗だ。マジで出し抜かれちまった。マジでお前たちは、俺が今まで実際に戦ってきた相手の中では最高の強敵だったよ。少なくとも去年潤さんに拉致られて無理やり連れてかれた場所で戦ったカルト宗教教団なんざ目じゃねぇ。
……俺は僅かな時間の中、達也と幹比古の方へと目を向ける。……うん、これなら問題ないか。
「この勝負、確かに俺の負けだ。マジで凄かった」
──────だが。
「だけどな、
さっきから発動してある『稲妻』は、
その反射速度を使い、俺は重心を移動させる。
地面を転がり逃げるため?否。
迎え撃つ魔法を発動するまでの時間を都合するため?否。
では、何のために重心を動かしたか。それは──────。
「──────」
「──────まさかっ!?」
真紅郎の手から、ヘルメットを逃がすために決まってんだろーがッ!!!
俺は地面を踏み込み、下半身を上半身より高く浮かす。すると、俺の身体は頭を下にする状態になるわけだ。そしてそのまま──────、
「ッッッらあッッッッッッ!!!!」
すぐ手の届くところにあったヘルメットは、地面に移動したことで真紅郎の指先を僅かに掠める程度に逸れた。そして次の瞬間、試合終了の……
そう。俺たちの──────一高の、勝ちぶべらっ。
「ぐべっ」
「痛っ!?」
やーっべ。普通に真紅郎が上空から俺目掛けて突っ込んできたんだから普通に巻き込まれるわな。クソ痛え。
もんどり打って地面を転がった俺と真紅郎は、あちこち体を打ちながらもようやく停止。地面に投げ出される。マジで体の節々が痛えんだけど。
「おい真紅郎、足どけろ。俺の鳩尾の上にあんだけど」
「あ、すみません」
真紅郎が起き上がり、その後にようやく俺が起き上がり座り直す。すると、三高の三人目の選手を突破してモノリスを攻略した達也と幹比古がこちらへと歩いてきた。……考えてみれば、達也と幹比古が直ぐに合流出来てそのままモノリスに行けたんだからそんなに距離は離れてなかったんだよな。将輝が俺を無視して真紅郎をモノリスに向かわせてたら危なかった。
「やったな、二人とも」
「……正直、今でも疑ってしまうよ。僕らが十師族と天才相手に勝利を収めたなんて。僕起きてるよね?」
「マジビンタしてやろうか?」
「やめて」
「……まあ、八幡が一条将輝と吉祥寺真紅郎を相手取ったが故の成果だな」
達也の謙遜するような言い方に、俺は眉をひそめた。
「アホかお前。真紅郎の『不可視の弾丸』
「……そこまで言われたら、俺は何も言えなくなるな。大人しく自身の活躍を自賛するとしよう」
「しとけしとけ」
そこまで話した後、真紅郎と将輝が合流。こちらに話しかけてきた。
「……僕らの負け、ですか」
「お前ら二人と俺の勝負なら俺の負けだがな。ま、『モノリス・コード』としては勝たせてもらったわけだが」
「ならばこの敗北を胸に刻んで、精進するとしよう」
「やめて。次勝てなくなっちゃう」
そんな軽口の叩き合いをしながら、俺たちは軽く笑う。
「じゃ、決勝戦も終わったことだし撤収すっか」
「待て」
立ち去ろうとした俺の肩を将輝が掴んだ。あの、痛いんすけど。
「……確か、『
「……ああ。正確には『
「らしいな。ところで……その模倣のことなんだが」
あ、嫌な予感。逃げてぇ。
「……『爆裂』はどうなってる?」
「それでは俺はこの辺で!サラダバー!」
「待てこの野郎ッ!!!!!」
激戦で満身創痍の俺と将輝の追いかけっこを持って、九校戦新人戦は幕を下ろしたのだった。
ちなみにギリギリ逃げ切った。
『
比企谷八幡が持つ『魔法式を旋律として知覚出来る耳』。
司波達也の『
メリットとデメリットがあり、非実体である想子を知覚するものであるため防音加工や耳栓などの物理的な妨害の影響を受けない。また、魔法とそれに付随する想子の波動を音として認識するため九校戦などの魔法関連のイベントの際に使用される『想子を感知出来る特殊な記録装置』で記録された映像でも聴き取ることが出来る。デメリットとして、非実体であろうがそれを知覚するのはあくまで比企谷八幡の聴覚機能であるため『同時に騒音を鳴らす』などで意識を逸らしてしまえば『聞こえはしているが分からない』という形になり結果的に妨害出来る。また、逆に『想子を感知出来ない装置』で記録された映像や音声越しでは聴き取れないという弱点が存在する。
比企谷八幡はこの『悪霊の聴覚』と、曲識の指導で後天的に身につけた『絶対音感』を組み合わせ『聴き取ったあらゆる魔法を模倣出来る』能力『
ちなみに名前は達也と幹比古により
『神秘的な能力だね。言うなれば『
『こいつ『精霊』なんて柄か?』
『邪霊とか悪霊の類か。実際一条家の秘術である『爆裂』や十文字家の『ファランクス』を模倣されたらたまったものじゃないよ。悪霊扱いも妥当』
『訴えて勝つぞお前ら』
という過程で決められた。音楽家で魔法師なせいで微妙に厨二病が抜け切っていない八幡は名前がちょっとかっこよかったせいで受け入れざるを得なかったらしい。
『
比企谷八幡が『悪霊の聴覚』と『絶対音感』を組み合わせることで編み出した『聴き取ったあらゆる魔法を模倣する』能力。
個人が持つ想子の波長や、想子を用いた魔法を『旋律』『音波』として認識出来る『悪霊の聴覚』と音階を見極める……否、『聴き極める』能力である『絶対音感』により、魔法式をそっくりそのまま
メリットは当然ながら『魔法師戦を経験する度に自らの手数が増えること』であるが、いくつかの条件として『知覚するのはあくまで魔法式』であるため、複数回『聴く』ことで変数部分を理解し、『起動式』を突き止めなければ使用は出来ないこと。単純な一系統の魔法であれば二度の『聴き取り』で模倣出来るが『爆裂』などの複雑な魔法や複数系統を使用する魔法である場合は『聴き取り』を何度も行う必要があること。そして『模倣した時点ではCADには登録されていない』ために模倣した魔法の行使には時間がかかること、結局のところ使用者は殆ど
『
魔法師としての視点と非魔法師としての視点を持つ比企谷八幡により、『複数の魔法を複合し新たな魔法を創り出す』技能。最悪なことにこの技術により創り出された魔法は比企谷八幡が秘術だの何だのに興味がないので普通に広められる。『爆裂』などの秘術を元に作り出していようとお構い無しである。なお、『術式合一』の際の突風や描き出される魔法陣、口上に関しては本人曰く『めちゃくちゃ仰々しい演出すると相手がビビって焦った結果判断ミスりやすくなるんだよ。そもそも術式の構築なんて儀式でも何でもねぇだろ』とのこと。つまりこれらの演出は何の意味もない。しかも複数の魔法の合体なので大体燃費はクソ。
『
『マルチスコープ』×『
『
『
というわけで八幡の能力でした。特殊な生まれではないので、魔法関連の才能に関してはマジで並です。『悪霊の聴覚』は共感覚の一種で、それと『絶対音感』を組み合わせたのが『千変万華卿』なので達也の『分解』『再成』『精霊の眼』や七草真由美の『マルチスコープ』といった先天的な魔法は本当に何一つ持っていません。正直作者としては『魔法そのものとは直接関係ない能力や才能をどこまで魔法に応用・悪用出来るか』を考えた結果の成れの果てなんですよね。やらかしたかもしれん。
ちなみにここまでヤバい能力を搭載してますが、今の八幡では達也には勝てません。本気で殺しあった場合、『分解を防ぐ手段』と『再成を無効化・もしくは再成されても問題ない形で殺害する手段』を持ってないので。仮に『どのタイミングで再成されても問題ないように24時間の間コンマ一秒単位で殺し続ける』なんてことをしようにも、想子保有量が一般人なのでそれより前にガス欠起こして返り討ちに遭います。こんだけやばいことしてても勝てない原作主人公 is 何?
まあそれ以外の大抵の相手には勝てますが。