長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ACE TONE / NIHON HAMMOND

修理は経年変化のある部品を全て交換しました。
肝心の出音はハリのあるクリーントーン。
トーンコントロールが1つ(ローパスフィルター)なので
強調する音域があるわけではありません。
真空管らしい透明感のあるクリーントーンなのですが、
好き嫌いが別れるかもしれません。

公称出力6Wは ? です。3W 程度でしょう。
練習用には充分な出力ですが、バンドでの演奏では力不足。
少人数でのアコースティックな曲では使えるかもしれません。

悪口を言っているようですが、真空管トーンがこの重量(4kg)で
得られるのは何にも代え難い。
先にとりあげたコロンビア CGA-131 は 7kg、
Fender Champion 600 も 7 kg。
片手で持ち運べて疲れない、というアンプは貴重です。

さて、最後に回路図( PNG, PDF)を公開いたします。

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schematics A-1D.pdf

とりあえず動作しているということは修理しなくても良い、というわけではありません。

間違いなく劣化しているのは電解コンデンサ。
接点が劣化する可変抵抗、フォンジャック。
また容量抜けしている可能性が高いオイルコンデンサ。
経年劣化するカーボンコンポジット抵抗。
絶縁の劣化しているワイヤ。

ということでほとんどの部品を交換することにしました。
部品を接続するラグ板も新品に交換。

入力ジャック周辺
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6AV6, 6GW8 周辺
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電源スィッチ、電源回路周辺
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以前、同機種を持っていた、と書きました。
2010年の年頭に入手したので、もう9年も前のこと。
もう手放してしまいましたが。

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赤のチェックのトーレックス。黒いスピーカーグリル。かわいいでしょ?

昔はどのメーカー(グヤトーン、エーストーン、Takt等)も色違いのアンプを販売していたようです。

修理に取り掛かる前に、現状を確認します。


入力ジャック周辺。見事な(?)空中配線。縦ラグ板で配線しています。
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カーボンコンポジット抵抗やオイルコンデンサがあります。
これらの部品は交換対象です。

カーボンコンポジット抵抗は経年変化で値が大きく変わっていることがあります。
もう50年以上前の機械ですから、ほとんどが劣化している状態でした。
入力ジャックに直接取り付けられている入力抵抗は 47kΩ  ±10% (黄紫橙銀) の表示が
ありますが、実際に抵抗を計測してみると 23 kΩ。なぜだか値が小さくなっています。
一般的には抵抗が大きくなっていたり、力が加わると割れることがあり、
交換するに越したことはありません。

6AV6(右:初段)、6GW8 (左) 周辺
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電源スィッチ(Volume)、整流回路周辺
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Volume と電源スィッチが連動していて、音量ゼロの位置で電源が切れるようになっています。
昭和40年代の電化製品によくあった仕組みですが、これを実現するためには
スィッチ付可変抵抗器が必要になります。500kΩの A カーブ Sw付。新品は入手難。
今回は千石電商(http://www.sengoku.co.jp)に在庫があったので取り寄せて交換しました。

平滑用ブロックコンデンサ
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ブロックコンデンサは直径30mm。
これを新品(35mm, 50uF 400V x 2 ) に交換しようとしましたが、サイズが合いません。
シャーシに開いた穴が小さく、新品のブロックコンデンサの端子がシャーシに接触し短絡します。
仕方がないので、47uF 400V x 2 の電解コンデンサをラグ板に組み込み代替することにしました。

バックパネルを開けた写真がこちら。

2本の真空管、電源トランス、フューズ(1A)、ブロックコンデンサがパネル裏のシャーシに
搭載されています。
この時代(特にエース電子のアンプで)スピーカーに出力トランスが搭載されていることが
あります。背面が開いているため出力トランスに容易に手が届きますが、一次側には
高電圧(直流)が加わりますので、通電中に触るのは危険です。

A-1D の公称出力は6Wとされていますが、出力トランスはどう見ても 6W が出せそうにありません。
おそらく3W前後ではないでしょうか。実際以前入手した A-1D では出力トランスが断線していた
ため、東栄変成器の T-1200 (2.5W) で代替しましたが、T-1200 の方が大きかった。

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搭載されている真空管は以下の2種類。
電圧増幅用に三極管 6AV6 (右)、 ドライブ(三極管)と電力増幅(五極管)の複合管 6GW8 (左)。
どちらの三極管も増幅度μが 100 。12AX7 相当ですね。6GW8 の五極管部は 6BQ5 (EL84) 相当。
両方ともすでに製造が終了しており、交換となると 6AV6 はともかく、
6GW8 は入手が難しいかもしれません。

6GW8 は ECL86 とも呼ばれます。これのヒーター14V 版の 14GW8 は PCL86 と呼ばれており、
数年前に秋葉原のサンエイ電機で一本 500 円(ユーゴスラビア製)で売っていたのを記憶して
おります。この管を使った オーディオアンプのキットが秋葉原のいろいろな店で展示されて
いました。ヒーター電圧が変則的な 14 V ということで、通常のヒーター電圧(6.3V)を
持つ真空管用電源トランスで は使いづらいようです。

以前修理した A-1D では 6GW8 の代わりに PCL86 を使いました。
ちょっと反則ぎみですが、PCL86 のヒーター端子( 4 pin, 5 pin)に 
DC15V 1A の小型スィッチング AC アダプタを接続して使いました。
( 6AV6 のヒーターは AC6.3V のままです。)
12V でも動作するようなので、少し工夫すれば PCL86 で代替することは可能です。
ただ、最近は PCL86 も見かけなくなりました...

今回は両方の真空管とも劣化していないようなので現状で使うことにします。

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エース電子の60年代のギターアンプ A-1D "Fighter"です。

真空管 6AV6 x 1, 6GW8 x 1 の 出力6W。

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操作パネルは Volume と Tone のみ。
トレモロもリバーブもありません。なんともシンプル。
おかげで 4.1kg ととても軽量。片手で持ち歩いても苦になりません。

コロンビア CGA-131 の修理にめげていた時期にオークションにて入手。
これを先に修理することにしました。
実は8年ほど前同じ機種の色違い(赤)をやはりオークションで入手して修理。
とても気に入っていたのですが、5年ほど前に整理のため売ってしまいました。
(あとで後悔しました。)

入手したあとにとりあえず通電チェック。ギターも繋いで音出しも確認しました。
やはりこもったような音になっています。部品交換をすることにします。

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