長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Jugg Box

この Blog のアドレスは  juggbox.blog.jp 。
70年代から80年代にかけて製造販売された日本ハモンドの
ギターアンプ Jugg Box シリーズの情報を蓄積、公開することを
目的に開設したものです。

最近は回路図だけではなく、メンテナンスや修理の経過なども
記録するようになりましたし、回路図が公開されていない国産アンプの
解析も行うようになりました。

そうなると相対的に Jugg Box シリーズの情報が少なくなっている
ことに気がつきました。特に BLOG 開設初期に回路図を公開した
Stuff 020G や060G などは情報が回路図だけ、という現状。
修理やメンテナンスも完了して調子良く動作しているので、
なかなかシャーシを開けるということには二の足を踏んでしまいます。

ただアンプの回路図だけでなく、写真などを掲載するのも
意味があることに気がつきました。Jugg Box だけでなく、
例えば Guyatone など、いずれも 30~40 年前のアンプ。
今、資料を残しておかないとそのまま消えてしまうかもしれない。
そう思う様になりました。

というわけで、初心にもどって Jugg Box Stuff 060G の写真を
掲載します。
ただし、私が修理し、メンテナンスを行った個体です。
部品交換を行っておりオリジナルではないことをご了承ください。

Stuff 060G の正面はこの様になっています。
DSC00600A

プリアンプ部が半導体、位相反転段と出力部が真空管のハイブリッドアンプ。
コントロールは Volume1, Volume2, Master volume, Treble, Middle, Bass, Reverb.
Treble のツマミが Bright スィッチを兼ねています。
入力1は J-FET 2SK30A でゲイン 15 倍に電圧増幅されており Volume1 は 入力1
専用のボリュームになっています。
トーンコントロールはオーディオで一般的に使われるトーン回路で、
数多あるギターアンプが Fender トーンスタック、あるいはその変形を
採用しているのと異なります。この回路は Stuff 020G, Micro Jugg も
共通です。

背面をみてみましょう。背面パネルは取り外しています。
DSC00608B

真空管は ElectroHarmonix の 6L6EH に交換しています。
スピーカーも交換しておりますが、メーカーは不明。8Ω 100W。
以前はここに ALTEC 417-8H を載せていましたが、
スピーカーがない状態で入手した Jugg Box TWO をオリジナルに
近づけるために ALTEC はそちらに移動しました。

久しぶりに Jugg Box 関連の記事を書きます。

Jugg Box シリーズの PW-66 基板を搭載した機種5機種に
共通するメンテナンスです。該当する機種は

(1) Micro Jugg 
(2) JBX-40
(3) JBX-60
(4) OZ-660
(5) OZ-660B

(20231219 : (5)  OZ-660B を追加 )

これらの機種に半田クラックによる不具合が発生することが
あるのでその対処法をお知らせいたします。
 上記の機種では PW-66 基板に 6L6GC / EL34 が搭載される
真空管ソケットが半田付けされていますが、その部分に
半田クラックが発生して故障の原因になります。
おそらく 6L6GC / EL34 のヒーターによる熱が半田付け部に伝わり、
熱による膨張・収縮を繰り返すことでクラックが生じるものと
思われます。

作業例として挙げるのは異常がない Micro Jugg ですが、今後のことを
考えて対策を施すことにします。
DSC00587B
該当する PW-66 基板。
8ピンの真空管ソケットにそれぞれ2つのネジで基板が固定されているので
これを外します。
シャーシから取り外し、裏面をみると次の写真のようになっています。
DSC00592D

ソケットのピンが基板に半田付けされているのが見えます。
この半田にクラックが入っていることがあるので、
ハンダゴテを当てて半田を溶かし直します。
DSC00594E
半田を追加しても構いません。
半田づけ部分を目視で良くみてソケットの端子と半田が良く
馴染んでいることを確認してください。
これを8ピンのソケット2本分、16箇所で行ってください。
ちょっと大きめのハンダゴテ(40W 以上)が必要になるかもしれません。

最初に気がついたのは今年の5月。メンテナンスしていた JBX-60 が
ガサゴソとノイズを出します。 PW-66 関連と当たりをつけて
対策してみましたが改善しません。 JBX-60 の上部ハンドルの付近を
軽く叩くと、ゴソっとノイズが発生することに気がつきました。
ほどなく真空管ソケットに半田クラックが入っていることを発見して
上記の対策を行いノイズがなくなりました。

半田クラックはなかなか発見しづらいものです。
この件のメンテナンスを公表することを決めたのは、同様の故障の
2件目(Micro Jugg)が生じたためです。
バリッパリッとノイズがするので真空管が寿命かと新しいものに交換
してみるとノイズが収まります。それで数週間正常なのですが、
同じ症状が再発しました。上記のメンテナンスをしてノイズは消えました。
真空管を交換したり、ソケットに圧力を加えるとクラックが一時的に
接触するため症状が改善されたように見えるのですが、
根本的な解決にはなっていなかったようです。

このメンテナンスに関しては特に部品代が生じるわけではありませんので
PW-66 基板関係の手入れをするときに行っておけばよいでしょう。
頻繁にすることはありません。毎日のように Jugg Box を使うような環境でも
10年に一度起こるかどうかだと思います。

OZ-660 回路図更新完了。
プリアンプ部にも2箇所間違いがあったので修正しておきました。
C104 の極性の間違いと、リバーブ入力部のコンデンサ C132 の追加。
あと VR04 TREBLE の値が Rev.0 では 100kA でしたが、
Rev. 1 では 50kB に変更されているので回路図に反映しました。

DSC00247A

さて、PW-66 基板のパターンカット部をワイヤで復元し、焼けていたスクリーン抵抗
1.5kΩ 3W を交換。EL34 のカソード抵抗である2本の 4.7Ω 1/2Wの
カーボンコンポジット抵抗を1W 酸化金属皮膜抵抗に変更。
あと電解コンデンサの4個と高電圧がかかる 1/4W 抵抗を1/2W に交換する作業を行って
PW-66 基板は完了。この作業の詳細は Micro Jugg のメンテナンスと同様。

Micro Jugg メンテナンス 2019 (6) PW-66 基板


電源部は取り外されていた R4 に 1kΩ 3W の酸化金属皮膜抵抗を装着。
定番の平滑用電解コンデンサ4本を交換しました。
47uF 500V はアキシャルリード(チューブラー型)を使わざるを得ないので
UNICON の製品を使っています。あとの3本 (100uF 350V x2, 33uF 350V) は
ラジアルリードの 100uF 400V x2, 33uF 350V に交換。基板にラジアルリードを
取り付けるために基板に 1.0mmφの穴をドリルで開けて取り付け、さらに
ホットボンドで基板に接着し振動対策をします。

プリアンプ部は目視では埃で汚れている以外は問題はないようだったので
エタノールで半田面を洗浄し、基板上の電解コンデンサを全て交換して
メンテナンス終了。

この時点で試奏します。
電源 ON,  正常。
Stand by ON, 異常なし。ちょっとハムノイズが気になる。
ボリュームを上げてギターを弾きます。正常に音が出ます。
トーンコントロール(Treble, Bass)正常。
パラメトリックイコライザ(Middle- Level, Frequency) 正常。

.... ガリッ。 ... ガリッ。

Stand by ON 後、1分ほどすると断続的なノイズが発生します。
背面の真空管EL34 をみると1本が赤熱しています。

DSC00215B

出力管が赤熱する原因はいろいろ考えられます。
プレート電流が過大に流れてプレートが発熱している状態なので、
そういう状態になる原因はいく通りもあります。
グリッドに到る線が断線していた、バイアス電圧が正常でなかった、
位相反転段からのカップリングコンデンサが劣化して直流電流(プラス)が
漏れていた、等等。
関連する回路、とくに PW-66 のバイアス自動調整回路を入念にチェック。
特に回路動作に問題はないのですが、時間とともにカソード電流が増え
続けます。
これまでは EL34 が正常である、という仮定で回路をみていましたが
EL34 を疑ってみます。2本の EL34 を入れ替えてみます。
するとソケットが変わっても同じ EL34 が再び赤熱しました。
あぁ。EL34 が寿命か。せっかく GE の 6CA7 が付いていたのに。

というわけで EL34 x 2 交換決定。手持ちの Electro Harmonix EL34 に交換。
DSC00244C

あと EXT SP ジャックと OVERDRIVE ジャックを新品に交換。
無音時のハムノイズがちょっと大きいのが気になりますが、
これでメンテナンス終了とします。

うむむ。やっちまった。
2台目の OZ-660。HELL FLAME スピーカーが取り外されてない個体
であることを確認して入手。
シリアルナンバーから、以前(1台目)の OZ-660 より製造が新しい
ものであることがわかっています。

入手後、最初に HELL FLAME スピーカーが生きているか確認。
DSC00185A

スピーカーが断線していないことを確認するにはテスターで導通をみるのが
一般的です。最近私が使うのは秋月で売っている LCR メーター。
普通の導通試験でなく、交流(1kHz)でインダクタンス等を計測できます。
というより。これを使ってスピーカーのインダクタンスを計ると
「ぴーーー」
っという音がスピーカーから出てきます。導通だけでなく音でもチェック
できるので最近よく使ってます。
ふふふ。HELL FLAME 健在 (^-^)。

シャーシ内部を見てみます。

DSC00189B

PW-66 基板がなんか怪しい。特にオレンジ色の導線がくるっと
丸めてまとめられているところがとっても怪しい。
どうも修理をしようとして途中で手に負えず放置したようです。
PW-66 基板の裏側に何箇所かパターンカットした跡がありましたが
回路が完結しておらず正しく動作するはずもない状態。
回路の動作を理解していなければ修理も改造も難しいです。
まぁ、今は OZ-660 の回路が公開されているから修理も簡単に
なってるんですけどね。
スクリーン抵抗 1.5kΩ 3W が焦げて端子が折れてます。これは交換。
上の写真の右奥、電源基板の R4  1kΩ 3W が取り外されています。
おそらくこれも焼けたのでしょう。これがないと PW-66 基板に
B 電源が供給されません。上記のオレンジ色の導線はここに
接続されるはずの線でした。

ところで PW-66 基板の材質がベークライト(茶色)に変更されてます。
以前の OZ-660 の PW-66 は紙フェノール(クリーム色)でした。
進化しているのか? 部品面のシルク印刷は相変わらずありません。
部品面に焼けた跡が見えるので用心して修理しなければ。

以前(5月)に修理した OZ-660 と構成が違うことに気がつきました。
電源基板が PS-40a から PS-101 に変更になっていました。
DSC00197C

PS-40a は Jugg Box ONE や TWO などのフルチューブシリーズから
Stuff 060G にも使われていた電源基板。真空管の B 電源(高電圧)と
バイアス電源(マイナス)の2種類の直流電源を作る基板です。
以前の OZ-660 では PW-40a 基板は B 電源のみ作っており、
バイアス電源と半導体用プラスマイナス電源を外付けのラグ板上で
作っていました。
今回の OZ-660 では Micro Jugg から使われた PS-101 が使われています。
基板上のブリッジダイオード 1D4B41 でバイアス電圧と半導体用電源を
作り、外付けラグ板を廃止するのみならず、電源基板の小型化に成功しています。
この OZ-660 は改良バージョンのようです。

というわけで、OZ-660 も Rev. 0,  Rev. 1 のようにバージョンによって
回路図を分けることにします。
以前のバージョン(PS-40a 搭載)が Rev. 0, 今回のバージョン(PS-101 搭載)を
Rev. 1 とします。
近日中に OZ-660 の Rev. 0, Rev. 1 の回路図を更新いたします。
 
20200919 追記:
OZ-660 の回路図を更新しました。
日本ハモンド OZ-660 回路図

ちょっと間が空いてしまいましたが、 JBX-Jr30 の続編です。
先の記事のあと、ちょっと考えることがありました。
JBX-Jr30 は OEM 製品ではないかと言う疑問は消えていないのですが、
OEM 先については Guyatone ではないかもと思うようになりました。
この件に関してはペンディングにして、 JBX-Jr30 独特の仕様について
見ていくことにします。

リバーブユニットがシャーシ内部で宙吊りになっている構造は先に述べました。
なんだかリバーブが雑に扱われているように印象をうけるのですが、
リバーブユニット自体は ACE TONE HB-604 GCD が付けられています。

DSC00054B

Jugg Box シリーズでは HB-604  GCD はこれまで使われていませんが、
自社ブランドのリバーブ。入力をドライブするのは OP アンプの 4558。
どちらかといえば 10mA 程度の電流しか流せない OP アンプですが、
リバーブの入力インピーダンスを大きくして対応しています。


DSC00049A

松下製 12AX7 がついていました。プリアンプに使われています。
プリアンプ部は手前の半田面が見える基板 FL-107 なのですが、12AX7 だけは
電源+パワーアンプ部の基板 PW-107 に搭載されています。
12AX7 のヒーターと 100 Ω 5W の抵抗が直列接続されており、
そこに直流 30V を加えています。ヒーター電流 150mA が
100 Ωの抵抗を通過する際に2.25W 消費します。
効率、という観点からするとあまり真似したくない方法ですね。
でも利点としては電源トランスの二次側を単純化することが
できるのでコストを下げることはできます。
12AX7 の電圧増幅部には直流 ±30V から Vcc1 20V, Vee2 -24V を
作って 44 V で動作させています。  12AX7 の本来の性能を発揮させるには
低い電圧ですが、Tube Driver などの真空管エフェクタのように 9V で
動作させるよりはマトモ。
でも直流 44V は感電するので要注意です。

リバーブユニットはパワーアンプの放熱フィンを兼ねたアルミプレートに
取り付けられています。このアルミプレートを取り外すと
DSC00056B

パワーアンプ STK1035 (SANYO) が現れます。

 DSC00067D

このパワーアンプ IC は ハイブリッド IC でプラスチックでモールドされた
内部には基板に取り付けられた複数の部品で構成された回路があります。
パワーアンプ回路に必要な調整が IC 出荷時に終了しているため、
ギターアンプメーカーとしては調整工程を省略できるという大きなメリットが
あります。
ただ、この IC が入手困難。いろいろ探していますが、見つかりません。
これが壊れたら部品交換での修理は不可能と考えてよいかと思います。

Jugg Box 部品表に JBX-Jr30 を追加して更新しました。

http://juggbox.blog.jp/archives/6490024.html


前の投稿で 「JBX-Jr30 は OEM 製品ではないか」という疑問をずっと持っていた
と述べました。今回、 JBX-Jr30 を部品表にまとめるにあたり、違和感が
強くなりました。

JBX-Jr30 では電源+パワーアンプ+真空管部の PW-107 基板、真空管を除く
プリアンプ部のFL-107 基板の二枚の基板で構成されています。
この2つは JBX-Jr30 のために新規開発された基板のようです。
PW はパワーアンプ部に対して他の Jugg Box シリーズでも使われていた
名称ですが、FL はこれまで例がありません。

違和感はこれだけでなく、Jugg Box シリーズの基板に必ずと言って良いほど
記載されていた部品番号と思しき型式の記載がないのです。
たとえば Micro Jugg の位相反転基板PW-66 には 418-24076 または
418-24076e の型式が記載されています。
おそらくアンプの製造過程で部品(バージョンを含む)を区別するためと
考えられるのですが、 JBX-Jr30 にはありません。
製造ラインが他のアンプと同じであれば部品の混入がないようにするための
型式と考えられます。
これがないということは全く異なる製造ラインで作られた、または
(型式を考慮しない)別の製造文化をもつメーカーで作られた、と考えられます。

この機種が OEM で作られたのでは、という疑問が強くなりました。

JBX-Jr30 は Jugg Box シリーズの中で私が気に入らなかった唯一のモデルでした。
今回の入手は2回目になります。
最初に入手した時期は明確ではありません。おそらく10年ほど前のことだと思います。
気に入らなかったので、中古で入手し、ほどなくして売却しています。

2009年に出張先のハードオフで Micro Jugg をジャンクで購入して、
それ以来 Jugg Box シリーズに取り憑かれています。
その後、オークション等で Stuff 020G や Stuff 060G を入手しては修理して
いましたが、そのうち JBX-Jr30 を手に入れました。

当初 JBX-Jr30 は Micro Jugg の後継機と思っていました。
Jugg Box シリーズについての資料は乏しく、Micro Jugg のその型式 "MJ-3" から
出力 30 W (実際には 40W)とずっと誤解していたせいで、30W クラスの
 JBX-Jr30 には当初後継機として期待していました。
入手して試奏してみると、それまでの Jugg Box シリーズのイメージと
違うことに気がつきました。Jugg Box シリーズの音圧のあるクリーントーンが
感じられませんでした。それまでのなかなか歪まない Jugg Box シリーズで
なく、歪みを容易に加えられる路線に方向転換したことは理解できるの
ですが、クリーンが美しくないのは私にとっては興醒めでした。
(ただし同時期の JBX-40 や JBX-60 についてはそれほど違和感を感じません。)

もちろん当時としても分解して回路を眺めたり、メンテナンスをしたりしていました。
ところが写真は撮影していませんし、回路図を途中まで採取した記憶はあるの
ですがメモが残っていません。 
ただ記憶に強く残っているのが、シャーシ内部の構造に感じた違和感。
ひとことで言うと「Jugg Box らしくない」。
いちばん最初に目に飛び込んでくる宙吊りのリバーブユニット。

DSC00044A

小型化のためとは言え、回路に手を入れるのが難しい構造になっています。
この宙吊りのリバーブユニットを外さない限り分解できません。
このような構造といえば Guyatone の各種モデルを連想します。
たとえば FLIP 1000 MKII はこんな構造。

DSCN3886A

この機種は  1980 年前後の製品なので JBX-Jr30 より前のもの。
作りが似ているのと、回路に対するメンテナンス性が大きく犠牲に
なっている点が共通しています。

これだけでは根拠に乏しいのですが、 JBX-Jr30 は Guyatone が製造して
Jugg Box の商標で売っているのではないか、という疑問を持つように
なりました。今で言う OEM (相手先ブランド製造製品)ですね。
 

Jugg Box JBX-Jr30 の回路図を採取したので公開いたします。


DSC00035A

PNG:
プリアンプ Pre-Amplifier

電源+パワーアンプ Power Supply and Power Amplifier

PDF:



schematics  JBX-Jr30.pdf


さて、 Jugg Box シリーズのギターアンプの回路図をほぼ全て公開いたしました。
(V-2 が未着手ですが、 TWO と同様の回路と予想されます。)
最後に残っていた JBX-Jr30 の回路を今回公開するわけですが、
明らかになった事実があります。

JBX-Jr30 のプリアンプ部の回路は H&M Celestion (Guyatone) のプリアンプ部と
ほぼ同一です。
部品定数、部品番号に至るまで一致しています。メーカーが違いますが
おそらくこの2機種の開発者は同じであろうと考えられます。

詳しい考察は次回の投稿以降に行いたいと思います。


先の記事では V-1 のリバーブユニットを交換しましたが、
入手時に付いていたリバーブは Accutronics の 1AC2C1B でした。
Stuff シリーズ以降では ACE TONE の刻印の入ったリバーブが
ついているのですが、Accutronics は当時 Fender のアンプなどにも
搭載されていた有名なブランドだったはず。
もしかしたら交換されているのか?という疑問が拭えません。
そのため ver. 20200524 のJuggBox部品表にはリバーブについては
「要調査」としておりました。
また ONE についてはリバーブの動作に問題がなかったので
わざわざリバーブユニットを引っ張り出すということはしなかったので
リバーブの型式・メーカーについてのメモがありません。
これも「要調査」にしておりました。

Jugg Box TWO にも Accutronics 4AC3C1B がついていたので
Accutronics がついているのは不自然ではないのですが。

やはり確証が欲しい。
V-1 と ONE のリバーブユニットが全く同じものであれば
両方とも交換した、それも同じユニットに、という可能性は
かなり低いので、「もともとこのタイプが付いていた」と
考えて良いでしょう。

Jugg Box ONE については現在某ライブハウスに貸し出しており、
手元にありません。
お店に行ってリバーブを開けるくらいは許可してもらえるのですが、
また時期が時期。営業自粛期間もあって、2ヶ月半ほどお店に
行けませんでした。

ライブハウスも営業を始めたので、ONE を見に行くことに
しました。

DSCN3696A0

イェ〜イ 久しぶり〜〜
リバーブを止めるネジ2箇所を外し、ユニットを取り出します。

DSCN3700AB

リバーブを取り出します。
DSCN3702AC
DSCN3705B

Accutronics 1AC2C1B です。 V-1 と同じものですね。
型式が一部不明瞭で 1AC*C1B に見えます。* の部分は 2 でしょう。
Accutronics の型式方式からすると 1, 2, 3 のどれかですが、
少し残ったインクのあとから 2 と判別するのがいちばん妥当だと思います。

DSCN3707C

リバーブの中身。V-1 のものと同じですね。

DSCN3709D

INPUT, OUTPUT のジャックの配置、刻印も同じことを確認。

というわけで、V-1 と ONE のリバーブが同じものであることを
確認しました。
というわけで 
「ONE と V-1 のリバーブは Accutronics 1AC2C1B」
であると明言いたします。

JuggBox部品表を更新いたしました。ver. 20200606 です。

現在調整中の V-1 はリバーブが不完全です。
メンテナンス中にリバーブを取り出したところ Accutronics 1AC2C1B が
搭載されていました。このリバーブがもともと V-1 に付いていた部品なのか
ちょっとわかりません。
DSCN3314AA

中を開けてみると2スプリングモデルのリバーブの一方のスプリングが
切れていました。
DSCN3368AA

一方のスプリングは動作しているので、これでもリバーブは動作しました。
ただリバーブが薄いのと奥行きがない、という印象を持ちました。

やはりリバーブは交換したい。
Type 1 (1AC2C1B) のリバーブは2スプリングのショートタイプ。
ところが Type 1 を扱っている店が見つかりません。
出力インピーダンスなどの特性の合った代替のリバーブとして選んだのが
Accutronics-Belton  8AC3C1B。
DSCN3682C

リバーブユニットを伏せた上の写真の状態で 右の RCA ジャック(白)が
INPUT,  左の RCA ジャック (赤) が OUTPUT です。
INPUT / OUTPUT はリバーブユニットに対しての信号の方向です。V-1 の
12AU7 + リバーブトランスからの出力がここに接続されます。
間違いそうなので強調しておきますが、 V-1 からの出力は 赤 の RCA プラグ
です。つまり、 白 のジャックに 赤 のプラグをつなぐのです。

8AC3C1B の内側。
DSCN3684D
3スプリングモデルですね。
1AC2C1B と比較してみます。
DSCN3692CC

全体のサイズは同じくらいですが、スプリングの数と長さが違います。

DSCN3693DD

RCA ジャックはどちらも同じ配置。右が INPUT。1AC2C1B にもともと
繋がれていた RCA プラグをそのまま載せ替えて

DSCN3695EE

この接続にします。まぎらわしいでしょ (^^;)
でもこれが正しい。

これをリバーブバッグに収め、2箇所ねじ止めして取り付け完了。
ついでにリバーブケーブルも交換しておけばよかったかなぁ。
RCA コネクタってよく接触不良を起こすから。

試奏してました。リバーブが深い。3スプリングにしたためか
リバーブが重厚になっているようです。さらに Decay Time が
2 (Medium) を 3 (Long) に変更したため、残響が長く続きます。
ゴージャスなリバーブになりましたが、どちらかといえば
2 の方が好みかなぁ。

Jugg Box の ONE, V-1 に搭載されているリバーブユニットは
もともと Accutronics がついていたのか少々不明な点があります。
もう少し調査をして報告したいと思います。

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