OZ-660B のメンテナンスが終了しました。
プリアンプ基板 PA-66 を除き、電源基板 PS-101、パワーアンプ基板 PW-66 は
Micro Jugg と共通なのでメンテナンス方法は Micro Jugg のメンテナンスに
準じます。ただし、若干の差異があります。
(1) PS-101 基板(Micro Jugg でのメンテナンス方法はこちら)
60W の電源構成なので、電解コンデンサと抵抗の数と定数に違いがあります。
(Micro jugg は 40W)
C1 100uF 350V, C2 100uF 350V, C3 33uF 350V, C4 47uF 500V
R1 150kΩ 1W, R2 150kΩ 1W, R3 3.9kΩ 1/2W, R4 1.5kΩ 3W
このうち電解コンデンサ全部(C1~C4)とカーボンコンポジット抵抗 R3 を
新品に交換しました。
R1, R2, R4 の抵抗値は誤差範囲内に収まっていれば交換の必要はありません。
(2) PW-66 基板(Micro Jugg でのメンテナンス方法はこちら)
最初に真空管ソケットの半田クラック対策を行います。
最初に真空管ソケットの半田クラック対策を行います。
8pin ソケットの半田づけ部分を合計16ヶ所加熱します。
電解コンデンサと抵抗を新品に交換しますが、部品番号(C1 など) は
Micro Jugg などの機種の PW-66 基板にはシルク印刷されていますが、
OZ-660B では印刷がありません。回路図と Micro Jugg でのメンテナンス
方法を見ながら基板上の部品を特定してください。
電解コンデンサの交換:
C1, C10 : 47uF 63V x 2
C2, C9 : 47uF 6.3V x 2
C2, C9 : 47uF 6.3V x 2
抵抗(1/2W) の交換:
R11 820 kΩ
R14 100 kΩ
R17, R20 68 kΩ x 2
R18 330 kΩ
R19 680 kΩ
R14 100 kΩ
R17, R20 68 kΩ x 2
R18 330 kΩ
R19 680 kΩ
Micro Jugg のメンテナンスでは触れていませんが、EL34 のカソード抵抗として
カーボンコンポジット抵抗が装着されているのでこれも新品に交換します。
カソード抵抗の交換:
R3, R25: 4.7Ω 1/2W x 2
(3) PA-66 基板
電解コンデンサを全て交換します(11個)。
C126, C129 220uF 63V x 2
C127, C130 100uF 25V x 2
C128, C131 100uF 16V x 2
C104 220uF 6.3V
C119 47uF 6.3V
C106, C110, C115 1uF 50V x 3
ポット6点を基板から取り外し、接点復活剤を少量塗布します。
(ガリ対策)
以上のメンテナンスを行いました。
電源スイッチ、STD-BY スイッチ、入力ジャックの交換も適宜行うと
良いかと思います。
アイドリング電流測定(Micro Jugg での測定はこちら)
PW-66 基板にはバイアス自動調整が搭載されているので、
バイアス電圧の手動調整を行う必要はありません。
ただ自動調整が正しく動作しているかを確認する必要はあります。
PW-66 基板の EL34 のカソード抵抗 R3, R25 (4.7Ω) の両端の電圧(Vk)から
カソード電流(Ik)を算出し(Ik = Vk / 4.7)、無音時に120mA ± 20mA の範囲に
入っていれば正常に動作していると考えられます。
私の場合、上に示した写真のように真空管のピンに加わる電圧、電流を
計測する装置(自作、パネルメーターを3台使用)を使って測定しています。
これだとアンプのシャーシを開けずに測定することができるのが大きなメリット。
カソード電流の測定にはパネルメーターの分流抵抗 1Ω が与える影響と
誤差は小さいとは言えませんが、おおよその目安にはなります。
(正確にカソード電流を測定するには上記のカソード抵抗の両端電圧から
算出するのがベターです。)
今回の測定結果は次のとおり。
共通の電源電圧条件
プレート電圧 Eb 454 ± 2 V
スクリーン電圧 Eg2 409 ± 2 V
スクリーン電圧 Eg2 409 ± 2 V
V1: 6CA7/EL34
バイアス電圧 Eg1 -26.7 V
カソード電流 Ik 134 mA
カソード電流 Ik 134 mA
V2: 6CA7/EL34
バイアス電圧 Eg1 -26.7 Vカソード電流 Ik 116 mA
V1 の EL34 のアイドリング電流が大きめではありますが
異常というほどではなさそうです。
ただしプレートが赤熱します。
測定中の EL34 (V1) が赤熱しているのがわかります。
もっとも、カソード電流は少し大きいもののバイアス自動調整が
働いていることもあり、安定しています。
いまのところ熱暴走の兆しはないのですが、V1 だけの現象なので
そろそろ EL34 自体を交換する時期なのかもしれません。