長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: EVANS

メイン基板の部品面を見ようとすると結構面倒です。

DSC03972F

前面パネルに設置されているポット類への配線と背面パネルへの配線が
入り混じっているため、どちらかの配線を切らない限り基板を
ひっくり返すことができません。
上の写真の左端にある終段のトランジスタと温度補償ダイオードの
半田を除去して基板から取り外さなければならないのも面倒。

配線数の少ない背面パネルへの配線を記録を取りながらニッパーで切って
なんとか部品面にたどり着けます。

DSC04004A

電源平滑用の電解コンデンサ 2200uF 80V がでかい。
メンテナンスでは新しい小さな電解コンデンサに交換することになります。

基本的に JFET と バイポーラトランジスタによるディスクリート回路です。
OP アンプ IC uA741 が基板中央部に見えますが、これはリバーブドライブ
に使われています。
プリアンプ部は3段増幅の構成になっています。各段は JFET 2SK66 の
ソース接地回路とNPN バイポーラトランジスタ 2SC1328 のエミッタフォロワで
構成されています。2段目の回路を示します。

JFET+BiTr

JFET の扱いに慣れていない時代なのか、エミッタフォロワで
出力インピーダンスを下げて使っています。
時代的には ELK の Vesser や Guyatone のハイブリッドの FLIP など
と同じ時期のモデルです。JFET の特性が真空管に似ていると言われて
この時期にどのメーカーも導入していました。

この JFET と エミッタフォロワの組み合わせ回路が果たして
なんらかの意味を持つのか、回路だけでは分かりかねます。
やはりメンテナンスをしてギターを繋いで弾いてみないと
わからないのかもしれません。

78年秋発売のモデルで、Mesa/Boogie に似せたルックスをしています。
トランジスタによるディスクリート回路で構成されているので、
Mesa/Boogie に似ているのは外見だけです。

前面コントロール

DSC03940A

入力は H.I. と L.I. の2つ。
左から VOLUME, MASTER, BASS, MIDDLE, TREBLE, REVERB。
リバーブのフットスイッチが REVERB コントロールの右側に配置されています。

DSC03942B

パワースイッチは普通の ON-OFF タイプ。

背面。
DSC03949C

スピーカーは "E-330"。
前出のエバンスのカタログにはオリジナルスピーカーユニットとして
記述があります。
30 cm 50W RMS, 100W PEAK, 感度 102dB/W 、別売り価格が ¥9,500。

保護するようなものは何もないためか、背面パネルもありません。
背面パネルが取り外されているのではなく、もともと付いていなかった
ようです。
シャーシを取り出してみるとこんな感じ。
DSC03965E

トランスとブロックコンデンサの頭の部分だけがシャーシ裏面に配置
されています。他のアンプに比べても非常にシンプル。

シャーシ内部。
DSC03957D

内側もとてもシンプル。
数日前に ELK の Vesser V30 で「エルク独自のシールド材「銀紙」です」と
書きましたが、ここでも「銀紙」が使われています。

銀紙を取り外すと
DSC03972F

プリント基板が一枚現れます。ポット類は前面パネルに搭載されており、
シールド線などを介して基板に接続されています。
電源部、プリアンプ、パワーアンプが一枚の基板にまとめられています。


DSC03974G

基板の下にはアルミのサブシャーシが取り付けられており、終段トランジスタ
2SD613, 2SB633 の放熱も兼ねています。

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リバーブはシャーシ内部に細身のものが設置されています。
ケースを開けてみると上の写真のようにシングルスプリング。
奥行きのないリバーブと予想できてしまいますが、断線もなく
直流抵抗が測定できたので動作はすると思われます。

エバンスは PA 機器を製造販売する国内の会社でした。

1978 年秋のエバンスの総合カタログ
DSC04011AA

EG-401
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EG-401 の仕様をカタログから抜粋します。

--- ここから ---

EG-401 ¥47,000
出力 40W R.M.S. 80W PEAK 8Ω
スピーカー 30cm (E-330) x 1
インプット 1CHAN、2INPUT(HIGH, LOW)
入力感度 HI.(-40dB/1MΩ), LOW(-30dB/150kΩ)
コントロール VOLUM(PULL HI. BOOST/LED レッドシグナル),
MASTER(PULL BOOST/LED グリーンシグナル),
BASS, MIDDLE, TREBLE, REVERB
アウト端子 LINE OUT(0dB)
HEAD PHONE(ST.)
フットSW端子 REVERB
リバーブユニット RE-6
定格電圧 AC100V, 50/60Hz
AC OUTLET MAX. 200W x 1
FUSE UL型 2A
寸法 460(W) x 435(H) x 240(D) mm
重量 15.5kg
エンクロージャー 裏面開放型

--- ここまで ---

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