長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Shin-ei / UNIVOX

メンテナンスが終了しました。
例によって電解コンデンサの交換を行いました。
スピーカー出力のカップリングコンデンサ 63V 2200uF の極性を
間違えて破裂させてメンテナンス完了が遅れてしまいました。

(20220321 追記 ここから)
メンテナンス終了後、電源電圧の測定を行いました。
直流電源整流直下の電圧(Vcc) が 80V に達しています。
回路図の C2  1000uF 80V では耐圧ギリギリです。
私は耐圧 80V の電解コンデンサが入手できなかったので、
耐圧 100V のものに交換しており、問題は生じませんでした。
C2 は 1000uF 100V に交換することを強くお勧めします。
(20220321 追記 ここまで)

メイン基板の部品面の写真を撮影するのを失念しており、
前回の記事で表示できませんでした。
電解コンデンサを交換した後の状態ですが、写真を掲載します。

DSC02337A

回路的にはトーンコントロールに特徴があります。
Fender Tone Stack ではなく、オーディオで使われる回路構成。
それも3バンドをそれぞれ独立にコントロールできる構成になっています。
Treble と Bass だけであればよくある構成なのですが、
Middle を独立のコントロールにするのはあまり見かけることはありません。
Jugg Box の Stuff シリーズと Micro Jugg も同様なオーディオのトーン
コントロールですが、 Middle は Bass のコントロールの一部を変更する
という簡易的な構成をとっています。
さらにこのトーンコントロール回路に NFB がかかっており、
通常よりもキレのよいコントロールになっています。

前の記事で温度補償用のトランジスタ Q8 2SC1364 の基板を割って
しまったことを書いています。
割れた基板を瞬間接着剤でつなぎ、裏面をユニバーサル基板の切れ端で
補修したのがこちら。
DSC02338B
 基板の右上にある丸い凹みにトランジスタを接触させます。
この写真ではもともと塗布されていた熱結合用のシリコングリスを
拭き取っていますが、トランジスタを設置するのに新しいシリコングリスを
凹みに充填します。トランジスタの平面を凹みの部分に接触させるよう
設置したのが次の写真。

DSC02343C

割れた基板を補強するためにユニバーサル基板の切れ端を接着して
います。切れ端の下には(ちょっと見えていますが)"UNIVOX" の
銅箔のロゴがあるのですが、こんなカタチになって残念。


メンテナンスが終了して、ギターを繋いで試奏してみました。
本来ベースアンプなので正当な評価はできないのですが、
クリーンが綺麗にでています。
15 インチスピーカーのためか、音圧に迫力があります。
トーンコントロールのキレが鋭いです。 Treble を上げるとギターの
音量も上がるので、高域を強調する設定になっているようです。
エレアコを繋いでみると素直な音色。とても良い。
いま手元にベースがないのと私自身がベースを弾けないので
正当な評価ができませんが、近々ベーシストに評価を依頼したいと思います。
 

ずいぶん間が空いてしまいましたが、UNIVOX U50BJ のつづき。

DSC02036A

おそらく1960年代後半から 1970年代の前半にかけてのアンプだと
思われます。この時代の国産アンプは縦長のキャビネットが特徴。
ただベースアンプだからか図体がでかい。50 (W) x 28 (D) x 58 (H) cm。 
背の高さだけでも他を抜きん出ています。

ベースアンプらしく、シンプルな操作パネルです。リバーブやトレモロが
ないので当たり前といえば当たり前ですが。
DSC02041C
入力ジャックは NORMAL, BRIGHT 1, BRIGHT 2 の3つ。
コントロールは左から VOLUME, BASS, MIDDLE, TREBLE。
DSC02042D

背面。

DSC02038B

背面はなんと15本のネジで頑丈に取り付けられています。
鉄製の放熱を兼ねた背面パネルがあり、これも別に6本のネジで
留められています。背面パネルには "UNIVOX CORP OF JAPAN, LTD." の
記述があります。
ヒューズは 3A。

背面を外して内部を見てみます。
DSC02046E

シャーシから背面パネルに長く伸びた配線。画面真ん中にピンと張った
3本の導線(赤黄緑)がありますが、これは温度補償用のトランジスタへの
配線。これは要注意。背面パネルにトランジスタ Q8 2SC1364 を熱結合
しているのですが、背面を強く引くとトランジスタを搭載している基板が
割れてしまいます。実際、割ってしまいました。この基板はパネルに
ネジ1本で留められているので、基板を割らないよう作業の前に
基板を取り外しておくべきです。
また背面パネルには終段の 2SD1427 x 2 が搭載されていることがわかります。

スピーカーは 15 インチ。 UNIVOX のスタンプがありますが、 ”8 Ω  JAPAN"
としか表示がありません。

シャーシを引っ張り出してみます。
DSC02049F
ノイズ対策のためか、シャーシの上面には鉄製の蓋があり、回路を囲んで
いました。
基板には UNIVOX の文字。"U50J, 30J, 50BJ, U50BPS, 50PS" という記述が
あります。おそらくこれらの機種で共通の基板なのでしょう。
いくつかの未使用パターンも見受けられます。
基板上には "ISOZAKI   48.12.1" という記述も見られます。設計者の名前と
設計した日付でしょうか。とすると昭和48年(1973年) の設計と考えられます。

回路図を採取するために、シャーシを引き抜こうと.... 抜けません。
前面のシルバーのパネル(UNIVOX と書いてある)の幅が広すぎて引き抜けない
のです。パネル自体はシャーシの前面に取り付けられており、分離できる
構造になっています。パネルに取り付けられている3つの入力ジャック、
4つのポット、ネオンランプ、電源スイッチを取り外すとシャーシと
パネルが分離できます。
面倒臭いのがネオンランプ。ネオンランプの配線を取り外して前方に抜かない
かぎりパネルが外れません。逆にパネルを取り付ける時にネオンランプの
配線をハンダ付けしなければならないということです。ああ、めんどくさ。

UNIVOX のベースアンプ U50BJ の回路図を採取したので
公開いたします。

”UNIVOX CORP. of JAPAN" という会社名が背面に記載されて
います。おそらく新映電気(Shin-ei) の 1970 年代の製品だと思われます。

DSC02036A

回路図
20220214 初出
20220320 プリアンプ、電源+パワーアンプ: 加筆
20220320-1 電源+パワーアンプ: 電源電圧測定値 記入

PNG:
プリアンプ

電源 + パワーアンプ

PDF:

↑このページのトップヘ

ライブドアブログでは広告のパーソナライズや効果測定のためクッキー(cookie)を使用しています。
このバナーを閉じるか閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます。
また、お客様は当社パートナー企業における所定の手続きにより、クッキーの使用を管理することもできます。
詳細はライブドア利用規約をご確認ください。