長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: NIHON VICTOR

キャビネットからシャーシを外します。
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キャビネットに取り付けられているスピーカーおよびリバーブとシャーシを
結ぶ線はハンダで直付けされているので、取り外す際にはハンダを外すか
線を切るなどして分離しなければなりません。

背面側から見たシャーシ。
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鉄製のフレームにポットが取り付けられていることがわかります。
写真中央にあるのが出力トランス。出力トランスからの漏れ磁束を
遮断するために鉛の板で TONE と REVERB のポットをカバーしています。

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真空管の配置。右から V1 6AV6, V2 12AX7, V3 6BM8, V4 6BM8。
松下のマークが見えます。
海外のアンプでは 6BM8 が搭載されているのを見ることはありませんが、
当時の国産アンプでは 6BM8 や 6GW8 などの三極管と五極管の
複合管がよく使われています。

6BM8 の奥に出力トランスが見えます。6BM8 に隠れて見えませんが、
出力トランスには 4Ω、8Ω、16Ω、800Ω の4種類のタップがあります。
実際に使っているのは 4Ωのタップ。トランジスタアンプと異なり、
スピーカーのインピーダンスが低ければ出力が大きくなるというわけでは
ないので4Ωのスピーカーを使っている理由が見当たりません。

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シャーシ内部。
ラグ板と真空管ソケットの端子の間に部品を配線する空中配線方式。
当時の国産のラジオやテレビなどでも行われていた配線方法です。
このような配線が当たり前だった時代。
昔はテレビやラジオの調子が悪くなると本体を叩くということが
どこのご家庭でも行われていました。このような配線方式だと
素子間のショートや接触不良が起こりやすくなります。
叩いて振動を加えると一時的に回復するということのようです。
いずれにしてもごちゃごちゃとした配線なのでメンテナンスはとても面倒な
作業になります。

1960年代、ベンチャーズブームの頃のギターアンプです。
1966年には発売されていたはず。
修理・調整の依頼があって、オーナー氏の同意のもと回路図の採取を
行いました。オーナー氏に感謝いたします。

ピンク色のキャビネットに鮮やかなレッドのスピーカーグリル。
この頃のアンプはトレックスがカラフルで見た目がキュートなものが
多数あります。
ベンチャーズブームがやってきて国産のエレキギターやギターアンプが
爆発的に売れたわけですが、各社は突然ギターアンプを一から開発した
わけではなさそうです。ベンチャーズブームの前にハワイアンブームが
あったようで、スチールギター用のアンプを作っていたメーカーが
急遽エレキギター向けのモデルを発売したということのようです。
実際、当時の主なアンプメーカー、Guyatone や TEISCO などは
スチールギター本体も製造していました。

前面コントロール。
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左から VOLUME, TONE, ECHO, TREMOLO DEPTH, SPEED と
ノブが並びます。入力ジャックは2つ。記述がありませんが左が HIGH,
右が LOW です。

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ビクターといえばこのニッパーくんのロゴ。最近は見かけることも少なくなりました。

背面
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コントロールやフットスイッチジャックなど一切ないシンプルな背面。
20W 程度なので大きな音を出すことは念頭にないのでしょうが、
キャビネット(側面)の板の薄いこと。トレックス込みで 11 mm。
この当時のアンプのキャビネットはだいたいこんなものです。

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スピーカーはビクター製 SK2033B。真空管アンプには珍しい 4Ω。
おそらくアルニコでしょう。

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リバーブユニット。型式の記述はありません。
シングルコイルの圧電式のようです。内部を開けていないので断定は
できませんが、リバーブトランスなしに 12AX7 で直接ドライブしているので
圧電式であることは間違いはないでしょう。下手にカバーを外して内部を
覗こうとすると圧電素子を破壊しそうなので深追いはしません。

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キャビネット底には真空管レイアウト図が貼付されていました。
国産では珍しい。ただ回路図はありませんでした。

背面パネルを外したところ。
DSC06291F

終段は 6BM8 x 2 の push-pull。

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