長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Shin-ei / UNIVOX

DSC06009H
キャビネットの底にはリバーブユニット Accutronics 4AC3C1B が
あります。
本来は薄いビニールのリバーブバッグに包まれて木ネジで2点留めされて
いるのですが、ボロボロになっていたので撮影の前に棄却しました。
前の記事で本体の奥行きをリバーブユニットがやっと収まると形容していますが、
ほんとうにギリギリです。

シャーシを抜き取って回路を見てみます。
DSC06018E
背の高い 6CA7 は破損防止のため取り外しています。
左から電源トランス、チョークコイル、出力トランスと並びます。
右側の 12AT7 二本と 12AX7 二本の間にあるのはリバーブドライブ用
トランス。
重量物であるトランスやインダクタが左側に偏っているため重量バランスが
よくありません。

シャーシには 760505 のスタンプがあります。1976年製ということか。

シャーシの中身。背面側から見たところ。
DSC06025F

詳しく見ていきましょう。
まずは電源トランス周辺。
DSC06029G
電源トランス 6311A です。
一次側は 100V のみ。二次側は 340V の巻線が2つ。一方には
C 電源用の 36V のタップがあります。

電源基板
DSC06030H

ガラスエポキシの片面基板です。1976年だと高級な基板だったはずです。

B電源平滑用の電解コンデンサが並びます。100uF 250V x 2、22uF 450V x 3。
よく見ると膨らんでいることがわかります。当然交換対象です。
右上に 0.047uF 600WV のオイルコンデンサがあります。STANBY SW の
接点に並列に接続されているスパークキラー。これも交換対象。

C電源はダイオードで整流して分圧して平滑しているだけのシンプルなもの。
6CA7 に供給するバイアス電圧は固定です。

電源電圧値は本体のオーバーホール完了後に測定して回路図に記入することにします。

プリアンプ基板。
DSC06034J

やはりガラスエポキシの片面基板に部品がコンパクトに配置されています。
基板から真空管やポットをつなぐ配線材は 0.5SQ の太いもの。
回路を読み取っている間に断線することはなかったのはありがたい。

ただ電源基板もそうでしたが、この薄い奥行きのシャーシでの配置は
メンテナンスに都合が悪いです。
電源基板を取り出すにはスピーカージャック x 2 とヒューズボックスを
シャーシから取り外さなければなりませんでした。
プリアンプ基板では前面パネルのボリューム x 2 と入力ジャック x 2 を
外さなければ基板の裏面を見ることができません。
コンパクトに仕上げるためにこのような弊害もあります。

V1 12AX7, V2 12AX7 周辺。
DSC06036K

V3 12AT7, V4 12AT7 周辺。
DSC06037L

新映電気(SHIN-EI) の真空管アンプ FA-100 を入手しました。
例によって分解して回路を探り、回路図を作成することが目的です。
このモデルは 10年以上前から注目しておりました。
謎の多いモデルで資料も残っていません。なんとしても
回路図を作成して記録として残したいと思っていました。

ネットオークションで年に2、3台程度しか出品されないレアな
モデル。さらに常に高値で取引されるモデルでもあります。
何度も競り負ける、というかこれまで競り勝ったことがありません。
今回、覚悟を決めて入札に応じ、なんとか入手にこぎつけました。

入手して実物を見て思ったのは「小さい」ということ。
とてもコンパクトにできています。

DSC05985B

寸法は 600(W) x 430(H) x 160(D) mm。
VOX Pathfinder 10 と比べてみると高さ、横幅ともそれほど大きくないことが
わかると思います。奥行きに関しては 6CA7 (EL34) の Push-Pull アンプとしては
異例の薄さ(160mm) で、 Pathfinder 10 よりも薄いです。キャビネットの
底に Accutronics 4AC3B1C がやっと収まるくらいの奥行きしかありません。
重量は結構あります。現在分解した状態なので重量を測れないのですが、
10 inch スピーカー2本のためかずっしりとした重量感があります。
上の写真ではハンドルが右側に偏って取り付けられていることがわかります。
これは写真右側に電源トランスや出力トランス、チョークコイルの
重量物が搭載されているため、バランスを取るためです。

前面パネルのコントロールを見てみます。
DSC05988B

入力ジャックは2つ、 LOW と HIGH。
前面に配置されたコントロールは "MAIN POWER VOLUME" と
"POWER DRIVE VOLUME" の二つのみ。トーンコントロールは背面に
設置されています。
"MAIN POWER VOLUME" はプリアンプ初段のボリュームで通常の
Volume とか Gain に相当します。
"POWER DRIVE VOLUME" はプリアンプ終段のボリュームで MASTER
VOLUME に相当します。
それぞれノブはアルミ製でノブの表面に指標が刻まれています。

DSC05990C
普通のアンプであればトーンコントロールなどのノブが並ぶスペースには
複葉機のイラストとエンブレム "SHIN-EI FLYING MONITOR"。
当時の広告でも「アンプ」とは呼ばずに「モニター」を呼んでいました。
でもなんで FLYING なんだ?

前面パネル右側にあるのは STANDBY スイッチと POWER スイッチ。
STANDBY スイッチはエスカッションがなく、脱落した状態。
この2つのスイッチは乳白色をしています。内部に豆電球が
仕込まれており、ON にしたときにスイッチレバーが光るように
なっています。壊れていたら入手困難な部品でしょう。

背面。
DSC05994D
12AX7 x 2, 12AT7 x 2, 6CA7(EL34) x 2 が並びます。すべて松下製なので
真空管は当時のオリジナルのままのようです。
6CA7 が割れてゲッターが白くなっているのがわかります。
真空管が高騰している折ですので出費が痛いですが、復活させる
ためには仕方ありません。とりあえず試験用にキープしている
EL34 を使って動作確認をしたのちに新品のペアを発注しようと思います。
それまでに値上がりなどしませんように。

スピーカーは松下製の 10 インチ 二本。どちらも端子板がなくなっており、
ボイスコイルに至る線が引きちぎられていました。
ただテスターで抵抗を測定するとスピーカー自体は両方とも導通があるので
これも復活させたいところ。

DSC05998E
背面パネル左側から、AC アウトレット、 GROUND スイッチ、ヒューズが
並びます。 ヒューズは 3A。入手して中を見てみると切れていました。
なにかアンプ自体に異常がある可能性があります。

AC アウトレットの下に "DESIGN BY DESIGN PACK YELLOW" のロゴ。
アンプのデザインを外部委託したのか?アンプらしくないデザインはそういう
ことなのか?

続いてその右側。
DSC06002F

スピーカージャックと外部スピーカージャック。トータル 4 Ω。
LINE OUT ジャックがついています。

DSC06003G

トーンコントロールなどの操作部を背面に配置しています。
左から BASS VOLUME, MIDDLE VOLUME, TREBLE VOLUME。
続けて REVERB VOLUME と REVERB FOOT スイッチジャック。
キャビネット底面に設置されているリバーブユニットへのライン
REVERB IN, REVERB OUT の各 RCA ピンジャックが配置されています。

1970年代後半の新映電気(SHIN-EI) の真空管アンプ FA-100 の
回路図を採取したので公開いたします。

DSC05979A

回路図
  
  20230702  初出
  20230708  パワーアンプ:R35 誤り修正 220k -> 56k 1W

    PNG:

      電源  Power Supply




    PDF:


schematics   FA-100.pdf

今週、新映電気の当時のカタログが手に入ったので紹介します。
DSC05461A

70年代中頃はカタログに発行年月を印刷する慣行がなかったので、
このカタログがいつのかは厳密にはわかりません。
ただ 1976年10月号のPLAYER誌の広告に掲載されていた FA-100 の記載が
ないので、それ以前のものかもしれません。
A-200G に関する限り、PLAYER 誌の広告の情報以上のものはありません。
ちょっと残念。
同時期のギターアンプとして、A-5G (¥12,000) , A-7G (¥14,500),
A-100G (¥31,000), A-300G (¥53,000), GA-601 (¥83,000), GA-901 (¥120,000)
などの機種が併記されています。
これらの機種を扱う機会があるかもしれません。

A-200G の回路の特徴的な部分を挙げます。
まずは初段。
first-stage

2石直結回路ですね。この当時のトランジスタアンプではよく使われています。
FUZZ FACE などにも採用されている回路ですが、歪みに特化した回路というわけでは
ありません。直流と交流のフィードバックを加えて安定したゲインを
得るための回路です。

tone-control

トーンコントロールはちょっと独特。
典型的な BASSコントロールにハイパスフィルタによる
TREBLEを加えているという構成です。
UNIVOX の U65RJ では TONE コントロールのみで TREBLE は
なかったけれどこれに似た構成になっていました。

phase-inverter

パワーアンプ部の位相反転段と出力段。
U65RJ と同様に結合トランスが使われています。
U65RJ と異なるのは終段トランジスタが NPN の 2SA840 であること。
U65RJ では PNP の 2SB407 が使われており、トランジスタの主流が
PNP から NPN に移行したことがわかります。

回路構成の共通点から UNIVOX U65RJ は新映電気で製造されていたと
推測され、A-200G よりも前に製造されていたと考えられます。

さて、これを書いている時点でメンテナンスも終了し、動作も確認しております。
残念な点としては電解コンデンサを交換しても無入力時のハムノイズが
大きいことが挙げられます。ただ VOLUME を上げてもハムノイズは一定なので
パワーアンプ部で発生しているノイズであることがわかります。
パワーアンプの電源 V1 に大きなリップルが出ており、C1 2200uF 50V を
3300uF 50V に替えても低減しません。C1 と R1 の間に 1Ω 2W の抵抗と
2200uF 50V の電解コンデンサによるローパスフィルタを挿入して
ハムノイズを低減させましたが、ノイズが皆無になったわけではありません。
演奏中は気にならない程度までにはなりました。

試奏した感触です。
出力が 23W ということですが、VOLUME ポットが Bカーブのためか
ノブを少し回したところでハリのあるクリーントーンが飛び出します。
トーンコントロールは簡単な回路にもかかわらず、TREBLE も
BASS もよく効きます。音作りの範囲が広いように感じます。
リバーブはシングルスプリングのためか単調に感じますが、
使えないわけではありません。

結構気に入ってます。ただハムノイズをもうすこし抑えられないものか。

シャーシ内の回路を見てみます。
DSC05340A

シャーシ内に4つの基板がコンパクトに配置されています。

まずは電源回路
DSC05345B

電源トランス SA200-1 と電源平滑用ブロックコンデンサ C1 2200uF 50V。
この写真では電源基板がトランスの陰に隠れていますが、
電源基板にあるのは全波整流用ダイオード D1~ D4 と平滑用抵抗 R1, R2、
平滑用コンデンサ C2, C3 のみのシンプルなものです。

DSC05348C
プリアンプ部を構成している2つの基板。
奥にあるのがプリアンプ基板、手前にあるのがリバーブとトレモロの
エフェクト基板。

プリアンプ基板では2石直結回路による2段の増幅をおこなっています。
トーンコントロールはBASS コントロールとハイパスフィルターによる
TREBLE コントロールを加えたシンプルなもの。Fender トーンスタックでは
ないですね。UNIVOX U65RC ではトーンコントロールが TONE ノブ
一つだけだったのですが、その構成を少し発展させたような回路に
なっています。

エフェクト基板の中央にある灰色の円筒形の部品はモリリカの
フォトカプラ MCL-703C。トレモロの出力;変調に使われています。

DSC05349D
パワーアンプ基板。

UNIVOX U65RC と同様、結合トランスがあります。
終段トランジスタは2SC840 x 2。
U65RC では PNP の2SB407 でしたが、NPN の 2SC840 の回路構成に
変更されています。

DSC05351E
背面パネルの裏側に回路図が貼付されていました。

もっともBLOG に掲載した回路図を作成する過程では全く参考にしていません。
先入観を持たないで回路を解析するためです。
回路図を採取したあとでも答え合わせのようなことはしておりません。
マイナーチェンジなどで回路定数が変わってもメーカーの回路図に
反映されていないこともあるので、今回作成した回路図と
比較しながら利用するのが得策かと思います。

A-200G の操作パネル(左側)
DSC05324A

コントロール部の背景色が黒と銀のバージョンがあるようで、2色ラインナップ
されていたのか、マイナーチェンジで色が変わったのかは不明です。
それでもこの個体は後期バージョンではないかと推測しています。

コントロールは左から VOLUME, BASS, TREBLE, REVERB,  DEPTH, SPEED と
並びます。リバーブやトレモロの ON / OFF スイッチやフットスイッチはなく、
REVERB や DEPTH のつまみを絞ることで OFF にする仕様です。

ノブの下にジャックが5つ設置されており、INSTRUMENT 1, 2, 3 、CASSETTE、
PHONE の順に並んでいます。
"CASSETTE" はライン入力のようです。若い世代の人にはピンとこないでしょうが、
カセットテープレコーダーからの入力を意識したものでしょう。
"PHONE" はステレオ出力(といっても左右同じ音が出る)なので "PHONES" が
正しいんだろうなぁ。この時代、国内メーカーで同じ誤りが散見されます。

コントロール部右側
DSC05325B
電源スイッチ関連はとてもシンプル。
パイロットランプは 6.3V の豆球。電源入れても点灯しません。
豆球自体は健全なのですが、ソケットに導通がありません。
最近は電球を作っているメーカーがなくなっているので、交換に困ることが
増えています。仕方なく LED を AC 電源で点灯するように代替するの
ですが、なんとかならないものか。

SPEED ノブの下にモデル名 "A-200G" が筆記体で印刷されています。
よく見ないと見逃してしまいそう。

背面
DSC05328C

とってもシンプル。AC アウトレットやフットスイッチもありません。

DSC05331D

スピーカーは松下の EAS-30P26SA。8Ω 50W。
フェライト磁石のスピーカーですね。
A-200G にはスピーカーがやはり松下のアルニコ磁石のバージョンが
あるようで、この点をもって「後期バージョン」と考えています。

リバーブユニットはキャビネット底部に取り付けられています。
DSC05333E

シングルスプリングと思しき大きさ。
外見からはメーカー名等の情報は見つけられませんでした。

背面パネルを外します。
DSC05335F

シャーシ内に回路部品が見えます。

新映電気は今となっては資料が少なく、謎の多い会社です。
すでに取り上げている UNIVOX ブランドのアンプも新映電気で
製造されていたようなので、本 BLOG でのカテゴリーを
"Shin-ei / UNIVOX" に改称してまとめることにしました。

A-200G に関しては PLAYER 誌の 1976年10月号に
広告がありました。

DSC05384A


新製品の紹介なのか、モニター募集のお知らせなのか、よくわからない
広告なのですが、少なくとも 1976年10月には発売されていたことは
確かなようです。

ちなみに広告中に記載されている FA-100 (モニターアンプ?)は
1976年8月号の広告に掲載されていました。
「発売記念モニター」を募集しているのでその時期に発売されていたと
推測されますが、なんとも商売っ気のないこと。
ただこの FA-100、オークションで大変な高値がつく機種です。
もう10年くらい前から注目しているのですが、歯が立ちません。
年に1、2台程度しか出品されない希少な機種でもあります。

とはいえ、資料と言えばこの広告しかないので、
情報も少ないのですが抜粋いたします。

--- ここから ---

A-200G ¥42,500

出力           23W
スピーカー       30cm x 1
チャンネル          1
インプット          3
ボリューム          2
トーンコントロール      2
リバーブ           1
トレモロ           2
寸法     W410 x D200 x H580
重量            10kg
付属品      ビニールカバー
         フットスイッチ
--- ここまで ---


"ボリューム 2" は誤植でしょう。1つしかありません。

リバーブについて書くのを忘れていました。

DSC04585F

この画像の上部にある黒い立方体。黄色いシールド線が2本途中で
消えて見えますが、この黒い部分がリバーブユニット。

黒い材質はちょっと硬めのラバースポンジ。これでリバーブユニットの
周囲を取り囲んで振動や埃からユニットを守っています。
接着剤で貼り付けて密閉していますが、ユニットを確認するために
底部から接着部を剥がしてみます。

DSC04601H

右が INPUT, 左が OUTPUT 。
磁気式のシングルスプリング。国産のユニット。
密閉されていたおかげで綺麗な状態です。

70年代の前半のアンプだと思われます。
UNIVOX のアンプは以前 U50BJ というベースアンプを扱いましたが、
回路に使われている素子や回路構成などから U50BJ よりも前の機種かと
考えています。

DSC04550A

フロントパネルから受ける印象は U50BJ と同様。
入力ジャックが3つあるところとか、電源スイッチが横向きであるところとか、
よく似ています。コントロールノブが5つなのが違う点ですが、
この辺はベースアンプとの違いです。
入力ジャックは左から GUITAR, MIC, ORGAN となっており、
各種楽器に対応しているようです。(もっとも入力レベルの差に対応して
直列抵抗を変えているだけですが。)ボーカルアンプも兼用できるように
配慮されているようです。
コントロールは左から VOLUME, TONE, REVERB, SPEED, INTENSITY 。
TREMOLO が装備されています。
トーンコントロールは TONE だけ。U50BJ では TREBLE, MIDDLE, BASS の
3つのノブがあり NFB トーンコントロールを構成していたのですが、
この機種ではとてもシンプル。

DSC04554B
背面もシンプル。

DSC04552C

ヒューズボックス(0.75A) と TREMOLO, REVERB の各フットスイッチ・ジャック。
ヘッドフォンジャックもありません。

"MADE IN JAPAN BY UNIVOX  CORP. OF JAPAN, LTD." 

DSC04556D
資料がないのでアンプの出力がわかりませんが、スピーカーに
30W MAX と記載されているので 30W 程度だと推測します。
アルニコマグネットですね。U50BJ はフェライトでした。

DSC04559E

キャビネットからシャーシを取り出します。シャーシは鉄製。シャーシの
上面はノイズ対策のための鉄板で覆われています。これは U50BJ と同じ。
シャーシと鉄板はセロハンテープで留めているだけ。電気的な導通はないでしょう。
キャビネット上部と鉄板の間にスポンジが貼り付けられていたようですが、
スポンジが劣化してボロボロ。すごい埃なのでスポンジ部分を排除しました。

シャーシ内部。
DSC04585F
鉄板で覆われていたため、(スポンジの破片以外の)埃が侵入せず、
中身が綺麗に保たれています。
基板一枚に回路が収まっています。半田面のパターンに
"U-65RC 48/9/15 PLC-2121 ISOZAKI" の文字。
"ISOZAKI" は U50BJ にもありました。やはり開発者の名前か?
"48/9/15" が設計年月日であるならば昭和48年(1973年) 9月15 日と推測されますが、
U50BJ の "48.12.1" と同時期となります。

DSC04590G

回路基板の部品面。
バイポーラトランジスタによるディスクリート回路。
初段のトランジスタはメーカー不詳の 536GZ 。NPN のようです。
BE間電圧 が 0.67V あるのでシリコントランジスタでしょう。
リバーブのドライブに使われているトランジスタは 2SB405。
なんで PNP を使うのか?と思っていたらこれが Ge トランジスタ。
写真中央上にあるDT-1500 のスタンプあるトランスはパワーアンプ部の
トランス結合用。YAMAHA の TA-30 と同様の回路方式。
U50BJ ではトランスに頼らずトランジスタでドライブ回路を構成していたし
温度補償までこなしていました...
古いっ。絶対的に古い回路構成。U65RC と U50BJ の(回路設計の)間には
3、4年の時間差があるはず。

設計が古いままロングセラーだったのかもしれませんが。
基板上の "48/9/15" が設計年月日ではなく、基板の製作ロットを示している、
ということも考えられますが。

いずれにせよ、UNIVOX 関連の資料がとても少なく情報も限られています。
おそらく新映電気(SHIN-EI)が製造していたのでしょうが、確証はありません。
さらなる検討が必要です。

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