P100G には特徴ある回路構成がいくつかあります。
最初の一つはトーンコントロールが4バンド・イコライザーになっていること。
CH1 と CH2 共通の回路で、トーンコントロールが2段になっています。
LOW と HIGH を取り扱う前段と MID1, MID2 を取り扱う後段に
なっています。それぞれ OP アンプ(4558) による NFB をかけることで
キレのよいフィルターを構成しています。
トーン回路自体はオーディオで使われるものでギターアンプでよく
使われる Fender Tone Stack ではありません。
P100G の特徴は MID1, MID2 の中音のコントロールを充実させたこと。
ギターアンプでオーディオ型のトーンコントロールが採用されていれば
この回路の前段の HIGH (TREBLE) と LOW (BASS) の構成だけを
使い、 R114 を可変抵抗に置き換えて MIDDLE にします(例:Micro Jugg)。
そこをMIDDLE を別段にし、さらに音域を2つに分けて調整できるように
しています。
次は CH2 の第2段目以降。
初段で増幅した信号を IC201-1 の OP アンプによるオーバードライブ回路で
歪みを加えます。これは CH1 ではない部分。
ただ GAIN で歪みの調整はできるものの、音色を調整できる部分は
ありません。次の段に行く間に IC203-2 によるノッチフィルター
BEF: Band Elimination Filter)を通過し、特定の周波数帯がカットされます。
フィルターの中心周波数は 880 Hz ですが、Q が 0.82 とブロードです。
歪みによって生じた倍音成分の中音に相当する部分をわざとカットしている
ようです。
最後にパワーアンプ。
なっています。
PNP トランジスタ BC212L (Q001, Q002) による差動アンプから
ドライブ段の BD139 (Q003) まではオーソドックスな構成。
バイポーラトランジスタのプッシュプル構成で必要なVBE に起因する
バイアス電圧調整や温度補償の回路がすっぱりとなくなっています。
1980年代後半から1990年代にかけての設計だと思いますが、
パワー MOS FET が出始めのころなので当時としては最先端の回路技術が
つかわれていたと推測しています。