長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Roland

Roland (BOSS) MG-10 の回路図を採取したので公開いたします。
BOSS ブランドのアンプですが、Roland の製品として区分します。

規模の小さなアンプなので、電源+プリアンプ+パワーアンプで
1枚の画像にまとまりました。

DSC01131A

回路図
20210407 初出
20210411 電源部:電源電圧測定値記入

PNG:



schematics   MG-10.pdf

MA-12AV の記事のあとなので紛らわしいですが、
今回は MA-12 の記事。

修理して音が出る様になった MA-12 の修理依頼が再び。
前回の修理が問題ではなく、前からノイズが気になっていたので
対策をして欲しい、とのこと。
記事にするときに修理部位の写真を撮影し忘れていたのに気づき、
悔やんでいたのでお受けいたしました。記録を取っておかないとね。

MA-12 の問題のコンデンサは uPC1238 の取り付け基板に次の
写真のように搭載されています。
DSC00743C

uPC1238 の基板に写真の様に宙ぶらりんの形で比較的大きな電解コンデンサ
(2200uF 50V) が半田づけされています。以前の修理が終わっている状態なので
半田づけの位置が少し変わっていますが、こんなふうに電解コンデンサを
2本のリードの半田付けのみで支えていたわけです。
電解コンデンサが振動したらリードの半田付け部分に大きな応力がかかります。
上の写真では電解コンデンサを本体基板からのリード線が接続されるパターンに
半田付けしております(修理後)。もともとは uPC1238 の 3 ピンと 5 ピンに
直接リードが半田付けされていました。5 ピンのパターンが割れ、+Vs 電源が
供給されなくなったために故障したわけです。

上の写真は uPC1238 基板と本体基板を分離させて撮影したので
宙ぶらりんの状態が強調されています。本来は問題の電解コンデンサが
単独にある状態ではなく、本体基板に近いところにあります。
問題はその本体基板に固定されていないということ。

DSC00746D

対策として行ったのが、電解コンデンサの振動防止。
あまり良い方法ではありませんが、タイラップで周囲の導線にからめて
振動を抑制することにしました。

この電解コンデンサは正負電源(+Vs,-Vs) 間のバイパスコンデンサ。
ハムノイズ低減のために付加されたものと考えられます。
ただ後発の MA-12AV にはこのコンデンサは付いていませんし、
この個体よりもノイズが少ないです。
ノイズ対策はちょっと頭の痛い問題ですが、おいおい対処していきます。

今回ネットオークションで MA-12AV を入手したのですが、
2台セットでした。
前回の回路図採取をした MA-12 は借り物でしたので改造や
実験はできませんでした。今回は実験ができます。それも
2台あるので使用前と使用後の比較ができます。

MA-12、MA-12AV どちらも出力アンプとして日電の uPC1238 が
使われています(正確には μPC1238 )。同じ Roland の JC-20 にも
同じ IC が使われていますが、すでに製造中止。
いまのところ入手先が見つかりません。

MA-12 の記事の中で、
ピン配置が TDA2030 と互換なので、交換可能かと推測しますが
試していません。
と書いております。

では試してみましょう。 
DSC00726A
写真の左が uPC1238、右が取り替える TDA2030 。
同じ5pin のパワーアンプ IC。 uPC1238 は 10W, TDA2030 は 12W。

uPC1238 が写真に写っているってことは、この段階ですでに基板から
取り外してるってことですね。(^^;)

uPC1238 は専用の片面基板についているので取り外しは簡単。
取り外す際の写真も撮影していませんが、 TDA2030 を
取り付ける写真も撮影していません。
ま、それくらい簡単ってことで (^^;)

交換して電源 ON。動作確認してみます。
問題なく音が出ます。異音がするとか、音が小さいとかの問題も
ありません。

TDA2030 に交換したのは1台だけ。もう1台は uPC1238 のまま。
比較してみました。
ほとんど変わりません。公称出力は若干 TDA2030 の方が大きいのですが
音量も変わった印象がありません。
音質はほんのちょっとブライトになった気もしますが、気のせいと言われれば
そうかも、と思えるレベル。トーンの調整でカバーされてしまう範囲です。
 HIGH BOOST, LOW BOOST のノブの位置の誤差かもしれません。
いずれにせよ、区別がつかないレベルで交換ができました。
これで修理の可能性が広がり、まだまだ長く使えそうだということがわかりました。

ただちょっと気になるのは TDA2030 もオリジナルの STマイクロでは
 OBSOLETE (製造中止) となっていました。ちょっと不安に感じますが
台湾の UTC というメーカーからセカンドソースが製造販売されており、
日本では秋月電子で 1個 ¥60 で入手できます。今回の TDA2030 も UTC 製造。
TDA2030 は VOX Pathfinder 10 などでも使われている IC なので、
そう簡単には入手困難にはならないと思います。

先に投稿した MA-12 は内部の写真をあまり丁寧に撮影しなかったので
今回はじっくりと。とはいえ、今回の個体は正常に動作しているもの
なので、回路図を採取したら直ぐに復元してしまいましたが。

MA-12AV ということはモニタの横に置いても大丈夫なように防磁している
モデルということです。
あぁ、そうか。CRT モニタを知らない世代がいるのか。う〜ん。
スピーカーには比較的強い永久磁石が使われており、昔の TV のブラウン管
(CRT) に近づけると電子ビームの軌道が逸れるため色むらが生じます。
そのためスピーカーの永久磁石からの漏れ磁束を少なくするために磁気シールドを
施したモニタースピーカーが必要とされました。
というわけで磁気シールドをしたスピーカー。
DSC00709AV

MA-12 のスピーカーではフェライト磁石が露出しているのに対し、
鋼鉄のカバーで磁石を覆っているのがわかります。
でも MA-12 より重くなった様な気がします。比べてませんが。

 MA-12AV ということで防磁しただけのモデルかと思っておりましたが、
回路もずいぶん変わっていました。

DSC00705B

ケースから基板を取り出し、前面から見た写真です。
奥に3つの入力ジャックが取り付けられた背面パネルがありますが、
そのパネルにパワーアンプ uPC1238 が取り付けられています。
先の MA-12 では記事で触れた様に、このIC が取り付けられている小さな
基板にでかい 2200uF 50V の電解コンデンサが取り付けられていました。
この個体にはついていません。なんらかの改良があって不要になったのだと
推測します。どんな具合に取り付けられていたかを写真に撮影して
いなかったのが悔やまれるぐらい危なっかしい取り付け方だったんです。
(実際、その部分で故障していたんですけどね。)

MA-12 ではパワーアンプの uPC1238 が信号増幅も兼ねていました。
そのためキーボードなどのライン出力のある楽器向けでした。
MA-12AV では入力ジャック3つは変わらないのですが、上から
MIC, INST., LINE とラベルが付けられています。INST. は楽器のことでしょう。
これらの入力は OP アンプ M5218L (4558相当) で増幅され、
LOW BOOST, HIGH BOOST のトーン回路を経てパワーアンプ uPC1238 に
送られます。
DSC00716C

基板は MA-12AV 用に設計したもののようです。
写真上部の右側に四角い小さな基板がありますが、これが uPC1238 を
搭載している基板です。

Boss のモニタースピーカー MA-12AV の回路図を採取したので
公開いたします。

先に公開した MA-12 のマイナーチェンジと思っていました。
外見上の変化はケース密閉のためのラバーパッキン(サイド部)の
色が青からグレーに変わったこと、前面の [AV] のラベル、背面の
ジャック名称のラベルくらいしかありません。

ところが内部は回路基板が変更されており、回路は大きく変化しています。

DSC00704A

回路図は従来より Mac 版 Bsch3V の QT-Bsch3V で描いておりますが、
Mac OS Big Sur へのアップグレードに伴い、 QT-Bsche3V の不具合
(異常終了)が多発しました。気づかない誤記入等があるかもしれませんので、
お気づきの点がありましたらご指摘ください。


回路図

20201119 初出
20220627 R17 位置修正
20220628 トーンコントロール回路修正


PNG:


PDF:


schematics MA-12AV.pdf

この MA-12 は知人から修理を依頼されたもので、修理が完了した
現在手元にはありません。
回路図は採取していたのですが、ひとつだけ謎が残ったので
回路図の公開に時間がかかりました。

MA-12 の基本的な回路は uPC1238 を大きな出力を出せる OP-Amp と
考えれば難しい回路ではありません。
問題だったのは Low Boost に関する回路。
Q1  2SC2603 の周辺の意味がわからない。
回路の配線を追っていると、当初このような回路図を
書いていました。
LowBoost_dummy_1
Q1 の出力がどこに行っている?
エミッタ接地回路だと C3 の先に何らかの回路があるはずですが、
GND につながっています。
エミッタからフィードバック抵抗 R5 がつながっています。
これだと正帰還になってしまうのですが、入力側につながった
コンデンサ C1 との関係で負帰還になる周波数がありそう
ですが。

理解ができないまま数週間。もういちどチャレンジ。
C3 と C6 に注目しました。
このコンデンサが定電圧を作っていると考えると、
電源( +Vs1, -Vs1) と扱うことができます。
LowBoost_dummy_2
回路を書き換えるとヒントが見えてきました。
Q1 の周辺はエミッタフォロワー回路ですね。電圧ゲイン = 1 です。

ここでピンときたのは数ヶ月前に回路を採取した Guyatone FLIP-3000 の
グラフィックイコライザで使われていた回路構成。

「シミュレーテッドインダクタ」

FLIP-3000 では TL022 でボルテージフォロワを構成していましたが、
ボルテージフォロワをエミッタフォロワで代用すると同等の回路に
なります。FLIP-3000 の時にも触れていますが、トランジスタで
構成するシミュレーテッドインダクタの例が「トランジスタ技術」
2020年7月号に掲載されています。ここで確信が持てました。

シミュレーテッドインダクタを意識して回路図を書き直すと
このようになります。

LowBoost

この回路で中心周波数 およそ 100 Hz をブーストできます。

いやぁ、持つべきは資料ですね。

この記事を公開する前に回路図の訂正(Ver. 20201104) を行いました。

小型のモニタースピーカーで、Roland ブランドと
BOSS ブランドの両方で販売されていたようです。

知人から修理を依頼された個体で、電源が入っても音が出ない、という
症状でした。

DSC00212B

修理にはいる前に回路図を採取します。

中身はシンプルで、10W のパワーアンプ IC uPC1238 が電圧増幅と
電力増幅を担当しています。
uPC1238 は Roland JC-20 にも使われていましたが、これも製造終了品
ですね。入手難。
これが壊れていたら修理が難航します。

ピン配置が TDA2030 と互換なので、交換可能かと推測しますが
試していません。ゲインや音質が変わるのではないかと思いますが、
次善の策として考慮に入れておきます。
(試していないので、実行に移す場合は自己責任で)

故障の原因はコンデンサでした。と言ってコンデンサが
故障していた訳ではありません。
uPC1238 は放熱のため小さな別基板に搭載され背面の金属プレートに
ねじ止めされています。電源の安定のために 50V 2200uF のかなり
大きな電解コンデンサが uPC1238 の基板パタンに直付けされていました。
コンデンサを接続するためのパタンや部品番号がないので
発売後の改良のために付加された部品でしょうが(おそらくハムノイズ対策)、
この大きなコンデンサが物理的にどこにも固定されていないのです。
(写真を撮り忘れたのでわかりにくいかと思います。)
コンデンサの重量を基板パタンへの半田付け2箇所だけで支えていたのです。
筐体が振動するとコンデンサも振動するため、基板パタンに力が加わります。
これが原因で基板パタンが割れ、uPC1238 に電源が供給されなくなった
ようです。
uPC1238 の3ピンと4ピンに電解コンデンサを半田付けしなおし、
(あまり良い方法ではありませんが)周辺のワイヤ数本にコンデンサを
タイラップで縛りつけて振動対策を行いました。
これで修理が完了しました。正しく動作しはじめました。

BOSS のモニターアンプ  MA-12 の回路図を採取したので
公開いたします。

DSC00207A


回路図

Ver. 20201101 初出
Ver. 20201104 バイパスコンデンサ C 2200uF 50V 追加。
Ver. 20201104-2 誤り修正。
Ver. 20201117 C12, C13 値修正。


PNG:

PDF:


schematics MA-12.pdf

Roland JC-20 の回路図を公開いたします。

この回路図の採取は苦労しました。
以前、2012年頃にトライしたのですが、途中まで採取して挫折。
今回は今年3月から再トライして、何度か挫けそうになりましたが
なんとか完遂しました。

それでもなんとか回路図公開に漕ぎ着けたのは

「これほど面白い回路図のアンプは見たことがない!」

と思ったためです。これを公開したくて。

このアンプを設計開発したのは、おそらく個人。
そして設計者は 変人 !!
よくまぁこんな回路を製品にしたなぁと感動した次第です。

詳しくは回路図をご覧ください。

IMG_3958A

回路図

20200422 初出
20210503 プリアンプ部 修正

PNG:

プリアンプ部+コーラス部

電源部+パワーアンプ部

PDF:


schematics JC-20.pdf

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