長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ロッキンf エフェクタ復刻

回路図エディタは長らく BSch 3V (実際には Mac で動く
qtbsch3v) を使っていましたが、アップデートもなくなり、
メンテナンスされていない現状。
一昨年くらいから OS のアップデートした後、パネル上の
ボタンを押すと必ずクラッシュするようになりました。
そこで少しずつ KiCAD に乗り換えるよう準備を進めました。
今後は KiCAD での回路図作成がメインになってくると
思います。

KiCAD は今年リリースされた ver. 6 を使っています。
ちょっと気が早かったかとも思いますが、各種ファイル形式が
新しくなったので(旧ファイルとの互換性はあるものの)
今後ファイルの配布などを考えた場合に早い時期に新しい
形式にしておく方が良いと考えました。

というわけで、前回作成した回路図をもとに基板を設計しました。
設計した基板は2種類。プリアンプ部と電源部。
片面基板でどちらも「エフェクター百科」のオリジナル基板の
レイアウトに近い形に作っています。

電源部 部品面
TubeDistortion_PS1
電源部 裏面パターン
TubeDistortion_PS2

プリアンプ部 部品面
TubeDistortion_Amp1
プリアンプ部 裏面パターン
TubeDistortion_Amp2


立東社 ロッキン f 別冊 「エフェクター百科」1981年7月, pp. 152 - 156. に
掲載されている松本浩之氏の「チューブ・ディストーション」の回路図を
復刻しました。

基本構成は三極管 12AX7 を2本使った真空管プリアンプ。
320V の B 電源を使用しており、3段の電圧増幅と
Fender tone stack、出力インピーダンスを下げるための
カソードフォロワで構成されています。

真空管プリアンプとしては電圧増幅2段で充分な信号レベルに
達するのですが、さらにもう1段電圧増幅を加えることで
信号をクリップさせて歪みを生み出しています。
いわゆるハイゲインアンプの原理です。
ダイオードやトランジスタなどの半導体の非線形特性を
利用した歪みではありません。

追記(ここから)
最終段をカソードフォロワと断じておりましたが、グリッドに
直流バイアスが加わっていない、という指摘がありました。
なのでこの部分はカソードフォロワではなく、三極管によるクリップ回路
であると考えられます。
追記(ここまで)

同様な回路は何度も試作しておりますが、12AX7 で3段増幅と
なると頻繁に発振やモーターボーディングに悩まされます。
正常に動作させること自体が難しい構成です。
真空管周辺をプリント基板にまとめることにより、発振の原因
となる配線の問題がクリアされるはずです。


「エフェクター百科」
DSC02054A

「チューブ・ディストーション」の記事
DSC02056B

回路図:
TubeDistortion


PDF 回路図

追記 
KiCAD 6.0 で作成した上記の回路図ファイルを公開することにしました。
プロジェクトファイル(TubeDistortion.kicad_pro) と回路図ファイル
(TubeDistortion.kicad_sch) です。基板パターンは基板(2枚)ごとに
作成するので別プロジェクトで作っており、配布ファイルには含まれて
いません。

回路図ファイル(KiCAD 6)

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