長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ロッキンf エフェクタ復刻

基板4枚ができたのでシャーシ内部のレイアウトを考えます。

DSC03054A

今回タカチの YM-250 をシャーシに選んだので、スペースに余裕があります。
2つのトランスの重量バランスも少し考慮。
大雑把ながら、基板や部品が近づきすぎないように配置します。
6ピンの平ラグ板で作ったトーンコントロール回路はトーンコントロール
ポットの近くに配置したいのでシャーシの前面パネルに搭載することに
しました。写真の位置はとりあえず置いてみたという位置ですが、
この位置でも特に問題はないですね。

おおよその配置が決まったら、部品が干渉したりしないように注意しながら
取付位置及び取付穴の位置を決定していきます。
今回もケース加工図を作成しました。

前面
YM-250前面

底面
YM-250底面
背面

YM-250背面

正確を期すため、加工図を作ってから穴あけ作業をしたのですが、
それでも何ヶ所か失敗してしまいました。(^^;)
それも目立つ前面パネルに集中しているのでカッコ悪い。

穴あけが全て終わって仮組みをしているのが次の写真。
DSC03056B

失敗したのは MIDDLE と BASS のポットの間隔。それとトーンコントロール
基板の取り付け場所。
とりあえず開けてしまった失敗した穴はネジで塞いでおりますが
やはりカッコ悪い。
ただ機能的には問題はないのでこのまま使うことにします。
体裁を気にするならもう一台作れば良いだけの話。

仮組みを背面から見た写真。
DSC03057C

シャーシ内部に余裕があるのがわかります。

さて気になっていた真空管ソケットのフットプリントのチェックも
無事終わり、製作工程に突入です。

今回発注したメイン基板と電源基板は共に GND ループができていると
いうミスがありました。GND ループがあるとノイズを拾いやすくなる
ので良いことではありません。
とりあえず GND ループを解消すべく、パターンカットを行いました。
DSC03040A

両方の基板とも左下の部分の銅箔を剥がしました。
実は改良版の基板を既に発注しており該当部分のパターンを削除して
いるのでそれに合わせたパターンカットでもあります。

忘れそうなので最初に明記しておきますが、トーンコントロール回路
(Fender Tone Stack)は上記の基板には含まれていません。
今回も6ピンの平ラグ板に組んでトーンポット周辺に設置します。
DSC03047B

メイン基板に全ての部品を搭載したのがこちら。

DSC03059C

オリジナルでは抵抗は 1/2W のものを使っていた関係上、抵抗の
フットプリントを大きめにとっていました。今回も同じフットプリントを
使っていますが、1/2W 抵抗が近年小さくなったこともあり、
搭載する抵抗に対してフットプリントが大きく感じてしまいます。
ただ、高電圧がかかっていることや従来の大きめの1/2W 抵抗を使うことも
あるのでフットプリントを小さくすることはないと思います。

DSC03062D
メイン基板裏面。真空管ソケットのハンダ付もうまくいっています。
メイン基板は垂直取付ブロックを使って底面にねじ止めします。

電源基板。
DSC03067E
お断りしておきますが、この基板の中央手前の C104 400V 22uF の
電解コンデンサは極性を間違って搭載しています。
後になって気がつきました。ご注意を。

ダイオードブリッジは回路図上では W02G を指定していますが、
AM1510 (1000V 1.5A) で代用しています。 W02G だと極性を示す
切り欠きがあってシルク印刷の向きに合わせればよいのですが、
AM1510 だと切り欠きがないので + のマークを写真の方向に合わせて
搭載します。

また今回はリレー基板を使ってエフェクトの切り替えを行うので
エフェクトのインジケータはリレー基板の LED を使います。
またリレー基板の電源 +12V を電源基板から供給するため、
 R105 を取り外してジャンパ線(黄色)で代用します。
LED2 の端子にリレー基板の電源を接続します。

リレー基板の仕上がりはこちら。
DSC03076F
写真の赤の線が電源 +12V。これを先ほどの電源基板の LED2 の端子に
接続します。



発注していた基板が届きました。

電源基板、メイン基板ともにパターンに GND ループができていると
いうミスがあるので、最低限もう一度の基板発注をしなければ
なりません。ただ、ミス自体は致命的なものでもなく対処可能な
ものなので、これらの基板を使って試作を進めます。

届いた基板のチェックを行います。

まずは電源基板
DSC03034A
DSC03035B

とくに問題はないようです。

続いてメイン基板

DSC03017C
DSC03018D

第一次試作のメイン基板と大きさを比較してみます。
DSC03020E
コンパクトになったことがわかります。

メイン基板では真空管ソケットのフットプリントを設計しています。
慎重に寸法を出して設計したつもりですが、実物と合わせてみないと
実用になりません。
真空管ソケット(シールド付)を仮組みしてみます。
真空管ソケットは garret audio で購入した V902D19。
DSC03029F

問題なくちゃんと搭載できています。裏面は...
DSC03031H
うまくいきました。

DSC03030G
真空管ソケットは 8 mm のスペーサーで支えることにしました。
この高さはソケットの種類ごとに異なります。写真に写っている
ソケットでは 6 mm のスペーサーを使うと基板との隙間がなくなるので
安定しそうです。ただ 5 mm のスペーサーがちょうど良いソケットも
あり、悩ましいところ。また 5 mm, 6 mm のスペーサーだと
M3 x 5 のネジで固定できなくなることがあるので、これも悩ましい。
結局、ちょっと隙間が開くものの 8 mm のスペーサーで妥協しました。

他の一般的な MT9 用のソケットも仮組みしてみます。
DSC03037K

特に問題はないようです。
右が QQQ (中央無線) の 9 ピンモールドソケット。門田無線で購入。
左は amazonで購入。現在在庫なし。



Tube Distortion のシャーシがリードの GTS-2 であった理由の
一つはフットスイッチを搭載するための傾斜面があることです。

当時(1980年代初頭)、ステージで足元に並べるエフェクターも
さほど多くはありませんでした。単独のペダルを2、3個接続するだけ。
そんな中では GTS-2 のシャーシは小さいとは言えないまでも、
実用的な大きさだったのだろうと想像します。
ただ現在だとやはり GTS-2 の大きさは気になります。
エフェクターボードに組み込むことが難しいです。
真空管(12AX7) が二本入っているので、ある程度の大きさになるのは
避けられないのですが、フットスイッチを搭載できる形状のシャーシを
選んだのでさらに大きくなってしまったという印象です。

今回、GTS-2 の代わりに YM-250 を選んだ理由は薄型(50mm)であること。
ではフットスイッチをどう搭載するのか。
今回考えたのはフットスイッチを外付けにすること。
フットスイッチジャックを増設し、スイッチ自体は本体と距離を置いても
良いようにします。Tube Distortion 本体にはリレーを内蔵させ、
その ON / OFF を外付けのフットスイッチでコントロールします。

そのためのリレー回路を設計しました。
Relay

設計した PCB がこちら
RelayPCB1

リレーは 12V の2回路2接点の一般的なものを使います。
秋月の 941H-2C-12D などが使えます。
Tube Distortion では 12AX7 のヒーター電源を利用するため12V の
リレーを使っていますが、リレーを電源電圧に適したものに
取り換えれば 9V や 5V などでも使える回路になっています。
Tube Distortion に限らず、電源電流に余裕のあるエフェクターなどに
流用できそうです。

昨日基板を発注しました。
発注するまで何度も見直し、何度も改良を加えたはずなのですが、
発注してからメイン基板、電源基板ともに GND ループが
パターンにあることに気づきました。がっかり。
この基板のままでは配布することはできそうにはないですが、
簡単な修正で済みそうなので第二次試作を続けます。
GND ループはノイズの原因になるので避けるに越したことは
ないのですが、実際に部品を搭載してノイズや発振の原因に
なっているかを確認してから対処することにします。
基板のパターンを1ヶ所だけカットすれば対処できます。

これを書いている時点では発注から一日半がすぎ、基板は
すでに完成して出荷待ち状態のようです。
今週末にも組み立てが始められそうなので、準備を始めます。

基板設計に先立って、今回シャーシを先に入手しております。
タカチの YM-250。この筐体に回路を組み込むことを考えて基板のサイズを
決定しています。
タカチの  YM シリーズはとてもポピュラーで地方のパーツ屋でもよく見かけるし、
オーディオなどの自作にもよく使われているのを目にします。
入手しやすく安価なのがメリットです(昨年値上げされましたが)。
DSC02965A

サイズは 250(W) x 50(H) x 170(D) mm。
以前のリード GTS-2 に比べると幅が広くなったものの、薄型になっています。

DSC02966B

横から奥行きを比べてみます。
DSC02968C

内蔵する二つのトランスの高さが 44 mm なので高さ 50 mm は必要です。
幅 250 mm はちょっと大きいかとも思いますが、YM シリーズで 50mm 以上の
高さのシャーシは YM-250 以上になってしまいます。

前回と同様に真空管2本を横向きに搭載するのであればメイン基板の高さを
小さくしなければなりません。第一次試作では高さ 50 mm でした。
これではシャーシに収まりません。そのためメイン基板を 100 mm x 45 mm の
サイズに変更。部品の配置を変えながらこのサイズに収めました。

メイン基板で面倒だったのは真空管ソケット。
第一次試作では基板実装向けの BELTON VT9-PT-C を使い、ネットから
探してきたフットプリントを使いました。
ただ入手先が限られることと、小型化の障害になりそうなので
より一般的な9ピンの真空管ソケットを基板に取り付けられないか考えました。
たとえば QQQ (中央無線) の 9 ピンモールドソケットなど。
試行錯誤してできたのが次のシンボルとフットプリント
MT9_socket
mt9 socket
真空管自体は9ピンなのですが、中心のピンやねじ止めの穴2点も
GND に落とせるように 12 ピンのシンボルにしています。



今年の2月から3月にかけて製作していた Tube Distortion の試作を
再開します。今回は第二次試作です。試作が完了して特に問題がなければ
基板をリーズナブルな価格で配布する予定です。

第一次試作で製作した機体はこちら。DSC02312A

本機は1983年発行の ロッキンf 別冊 「エフェクター百科」に掲載されて
いる「チューブ・ディストーション」の記事をもとに製作しています。
ほぼ40年前の回路なので現在の事情とは異なる点もありましたが、
できる限りオリジナルに沿うように作製しました。
これをリファレンスとして回路を発展させることが第二次試作の目的です。

第一次試作で明らかになった問題点はこちらに総括しています。
整理して要約すると

(1) ディストーションが強く、クリーンブースターやプリアンプとしては
使えない。
(2) ケース:エフェクタとして使うためフットスィッチを内蔵している。
比較的大きなケースに収められているが、スペースに余裕があるわけではない。
操作面のポットへの(シールド線による)配線が煩雑。
(3) 電源基板:平滑用電解コンデンサはラジアルリードにすべきである。
(4) メイン基板:基板取り付け型ではない一般的な 9 pin 真空管ソケットを使えるよう
フットプリントを作成する
(5) 基板一般:信号引き出しポイントに対する信号名のシルク印刷を追加する
(6)  メイン基板:基板サイズを 100 mm x 50 mm 以内に収める
(7) 基板一般:マウンティングホールを2ヶ所から4ヶ所に増やす

ということ。
第一次試作で得られたこれらの知見をもとに改良を加えたものが
今回始動する第二次試作。現時点では基板設計が完成に近づいたところです。
特に大きな問題がなければ基板発注を行おうと思っております。

第二次試作のケースは一次試作で使用したリードの GTS-2 にはこだわりません。
もちろん GTS-2 にも組み込めるよう考慮したものになっていますが、
もう少し製作が容易で使い勝手のよいケースにすべきと考えます。
今回は タカチ YM-250  ¥2,244(https://www.marutsu.co.jp/pc/i/4656/)
をベースに製作します。

第二次試作の全体の回路図はこちら。
TubeDistortion

回路図1枚に収まっていますが、実際には電源基板とメイン基板、トーン基板
の3枚の基板で構成されています。トーン基板は6ピンの平ラグ板です。
電源基板上の部品の番号を 100 番台(R103 など)、メイン基板の部品番号を 200 番台、
トーン基板の部品番号を 300 番台にして区別しました。
回路的には第一次試作とほとんど変わりはありません。
一つだけ電源基板に電源オフ時の放電用抵抗 R103  1MΩ 1/4W を加えました。
感電対策です。

基板はどちらも片面基板にしています。
電源基板
TubeDistortion_PSa1

メイン基板
TubeDistortion_Amp1



第一次試作で製作したプリント基板を限定7セット、希望者に送料のみの
ご負担で配布いたします。ただし希望者1名について1セット限りの配布です。
先着7名様限定です。

DSC02131B
DSC02143C

応募は2022年3月7日 00:30 から 2022年3月 31日 23:59 までの間ですが
希望者が7名に達した時点で応募を終了させていただきます。

本基板セットは無保証です。他の部品は一切添付しません。
電子回路に関する実力がある方に限らせていただきます。
直流高電圧を扱い、感電の危険があります。
真空管アンプを作ったことがない方、ご自身での製作に
自信のない方は応募をご遠慮ください。
製作上の質問に当方が必ずしも応えるとは限らないことに
ご注意願います。無料配布ですので懇切丁寧な説明・指導は
ないものと考えてください。
また、「エフェクター百科」「ロッキン f 」の松本浩之氏の
記事をもとに製作した基板ですが、本基板セットに関して
松本氏への質問、問い合わせ、リクエスト等は絶対にしないで
ください。また著作権上、松本氏の記事をコピーして配布する
ことはありません。記事が欲しい方は古本を探す等の自助努力を
お願いいたします。

今回の試作基板に改良を重ねたのち、決定版の基板が確定したら
適正価格で希望者に配布する予定です。今回の基板で製作できる
自信がないようであれば、それまでお待ちください。

メイン基板と電源基板は回路的には間違いがないことは確認して
いるので、正しく部品を搭載すれば正常に動作するはずです。
ただこの BLOG の "0xx Tube Distortion (n)"  スレッドで述べている
ように色々と問題点があります。
この直前の記事("0xx Tube Distortion (14) 試作総括")

https://juggbox.blog.jp/archives/13680034.html

に資料をまとめており、問題点を列挙しているので
最低限こちらを読んだ上で応募してください。
なお、ラジアルリードの電解コンデンサに対応した改良電源基板も
セットにして配布しますが、動作確認はしていません。

応募に関しては本 BLOG の右側にあるメッセージ欄に
名前(ハンドル可) 、メールアドレス(必須)を記入のうえ、
本文に「Tube Distortion 基板セット(第一次試作) 希望」と書いて
応募してください。
折り返し私からメールを差し上げますので、メールに記入されて
いる配布手順に従ってください。
応募者が7名を超えた場合もその旨を書いたメールを差し上げます。
(メッセージ欄に記入した情報はコメントと違い、 BLOG には
公開されないのでご安心ください。)

なお、応募に際して当方が知り得たメールアドレスや住所、氏名などの
個人情報は今回の基板配布以外に利用することはありません。

第一次試作が終わりました。
試作途中で明らかになった問題点や課題を総括します。
今後、これらをもとに改良を行いたいと思います。

今回の試作では「エフェクター百科」に記載されている内容に
できる限り近づけることを目的にしました。
実際にはいくつかの点で変更をしなければならない点がありましたが
まずは確実に動作させることを優先しています。

[1] 試作データ
まず、今回の試作で作成した図面等を集約しておきます。
これらの図や表は本 BLOG の記事中ですでに公表しているものですが、
今後も修正や改良が生じてバージョンアップする可能性があります。
この記事のリンクでは最新のバージョンを提供する予定ですので、
こちらのリンクから図や表をダウンロードしてください。

(1) 全体の回路図
(2) 部品表
(3) 基板レイアウト図(メイン基板、電源基板、改良電源基板)
(4) ケース(GTS-2) 加工図


[2] 試作上の問題点と改善案
(A) 本機のコンセプト
本機はエフェクタとしての「ディストーション」であると考えて
ください。そのためにフットスイッチが必要ですし、足元に置いて
あまり邪魔にならない大きさのケースに収めています。
反面、比較的小さな入力レベルでも歪みが加わるので、このままの回路
ではクリーンブースターやプリアンプとしての機能は期待できません。
ただ、トーンコントロールを2段目に移動する、3段目と4段目(ボルテージ
フォロワー)の間を(カップリングコンデンサを省いて)直結にする、
などの回路変更によってクリーンブースター、プリアンプとしての
構成に変更すること可能です。検討してみる価値はありそうです。

(B) ケースの問題
リードの GTS-2 という傾斜型のケースに全ての回路を収めましたが、
ケースに余裕はあまりありません。特に上部パネルにコントロール類を
配置している関係上、メイン基板とパネルの間を6本のシールド線で
繋がなければならず、配線が煩雑になります。 
DSC02328A

上の写真を見るとそれほど煩雑ではないように見えるかもしれませんが、
Gain と Volume のポットをパネルから外して撮影しています。外していなければ
これらに至る4本のシールドが邪魔して上部パネルが開きません。
配線が煩雑になるばかりではなく、上部パネルを下部ケースに取り付けた
状態ではシールド線がどのような3次元配置になるのかは怪しいところ。
真空管回路では配線の位置によって発振が起こるので、甚だ心もとない。
シールド線を使っているので漏洩磁束は少ないとは思いますが、
オリジナルの記事で 12AX7 2本にシールドケースをつけているのは
発振対策だろうと考えています。
配線の問題もありますが、回路のメンテナンス性もよくありません。
配線終了後にメイン基板のプレート電圧、カソード電圧の測定を
行いましたが、直流高電圧が加わっている状態で回路を探るのは
危険が伴います。メイン基板にテストポイントを入れることも
必要ですが、やはり回路に手を入れやすいレイアウトにすべきです。
その意味では操作パネルとシャーシが一体となっているケースが理想です。
小型のラックケースをイメージするとわかりやすいかもしれません。
もっともそのようなケースだとフットスイッチの取り付けが難しいので
痛し痒しですが。
タカチの CU-15N (https://www.marutsu.co.jp/pc/i/101260/) ¥2,607 くらいが
ちょうど良いかもしれませんが、実際に使用しての検討が必要です。

(C) 電源基板
搭載する電解コンデンサをラジアルリードにするべきです。
アキシャルリードにこだわると妥当な電解コンデンサの入手が限定的に
なること、結果的に大きなものを搭載しなければならず基板内に
収まらないという問題があります。
一方、今回はラジアルリードを取り付けましたが、電解コンデンサが
耐電圧を超えたり、極性を逆に接続したりして電解液が噴き出した場合に
周辺の部品(今回のレイアウトだと電源トランスなど)を汚損する畏れがある
ことは理解しておかなければなりません。
今回は使用していませんが、ラジアルリードを使うことを前提とした
改良電源基板も用意しているので、これに代替して問題がないか確認
する作業をすべきです。

(D) メイン基板
今回は 12AX7 2本をシールドケースで保護することを前提にしました。
真空管ソケットとして BELTON の VT9-PT-C を使いましたが、ソケットに
付属するスペーサーを固定する穴(GND兼用)を設置しなければなりませんでした。
ただ今後も VT9-PT-C を使うかというと入手先が限られる(Garrettaudio) と
いう問題もあるので、基板取り付け型ではない一般的な真空管ソケット
(シールド付き)を取り付けられる基板パターンに変更するのが得策と考えます。
真空管ソケットの基板パターンを自前で設計しなければならないので
あと何度かの試作が必要です。
今回はシールド線などの引き出しポイントに対するシルク印刷をしていないため
接続が分かりにくくなってしまいました。上述の基板配置図には記入しているの
ですが、シルク印刷レイヤーに書き込むのを忘れておりました。これは
確実に改善すべきです。
メイン基板についてはもう一つ。現在のサイズ 120mm x 50 mm では基板が
割高になります。片面基板 10 枚で $25 くらい。これが 100mm x 50 mm に
収まれば 10枚 $ 5 で試作できるので検討の価値があります。また小型化すると
GTS-2 ケース以外に変更するときに有利です。
あとマウンティングホールが2ヶ所だけですが、4ヶ所にして設置の自由度と
強度を改善したいところです。

試作を開始すると宣言したのが、先月の6日。
完成までちょうど一ヶ月かかりました。

YouTube に上げてみました。



Gain 5, Volume 5, Master Vol. 4,  Treble 5, Middle 5, Bass 5 で設定しています。

この回路の特徴は最終段。直流バイアスが 0V の入力をカソードフォロワーに
加えているため、強烈にクリップがかかります。
かなり小さな入力信号であっても歪みが加わります。ザクザクしたちょっと荒い歪み。
低音弦の歪みで音が潰れるというほどではありませんが、好みが分かれる歪みです。
トーンコントロールで Bass を絞り気味にするとカラッとした歪みになります。

ディストーションとしての性格が強く、クリーンブースターとしての用途には
向きません。最終段をバイパスするよう回路を変更すればクリーンブースターに
できるとは思います。高 μ 三極管3段による電圧増幅ですでに強く歪みが
加わっているかもしれませんが。

あとはこの回路をベースに改造をしていく予定です。

さて、めんどうな配線も終わり、あとは動作確認。

作業スペースに散らかったリード線や被覆の屑などを除去します。
ケース内部にも工具やリード線が残ってないことを確認してパネルを
閉じます。

心を落ち着けて電源を入れます。
DSC02312A

ヒューズ(0.3A)は切れなかったようです。異音や異臭がないかを確認します。
とくに問題なし。おそるおそる右手でケースを触り、感電しないか確認。OK。
真空管のヒーターが温まるまで待ちます。

動作確認の前に、6つのコントロールは全て 0 の位置に設定しておきます。

低周波発振器の信号(1kHz) を Input ジャックに入れ、Output ジャックに
オシロスコープを接続して波形を観察します。
フットスイッチ OFF (スルー)の状態で入力した信号がそのままオシロに
表示されていることを確認します。
まぁ、あたりまえか。

次にTreble, Middle, Bass をすべて5に設定してフットスイッチを ON。
Gain, Volume, Master Vol. もすべて5に設定して増幅された信号が
オシロに表示されていることを確認します。
出力波形が表示されましたが、かなり歪んでいます。
でもその割には電圧の振幅は大きくなく、数 V 程度。
この状態で Treble を右に回すと歪波形が小さくなる現象がありました。
あ、これは。ピンと来ました。配線間違いですね。
Treble ポットの 1番端子と 3番端子を間違えて逆に接続してるのでしょう。
よくやる間違いです。
一旦、電源を切り、修正のためケースを開けることにします。

電源を切ったものの、この Tube Distortion の電源部には電解コンデンサに
蓄えられた電荷を放出する抵抗(ブリーダー抵抗)が備わっていません。
電源を切った状態でも電解コンデンサ両端には直流の高電圧が保たれている
ので、作業の前にこれを放電する必要があります。

そこで使うのがこれ。単に50kΩ 2W の抵抗にミノムシクリップを付けただけの
装置ですが、電源部のコンデンサ両端に接続することで素早く放電させる
ことができます。(安全のため接続して1分ほど待機。)

DSC02317B

次の写真では +B2 電源と GND の間に接続して電荷を放出させています。

DSC02305C

電荷を放出したのちに、Treble ポットまわりの回路を確認。
やはり 1番端子と 3 番端子が逆になっていました。
修正しました。

とりあえず、この状態でパネルを閉じて、ギターとアンプに繋いで
試奏してみます。
全てのポットを 0 に設定。フットスイッチ ON でギターを弾いて
音が出ないことを確認。 トーンを全て 5 にしたのち、
Gain, Volume, Master Vol. をそれぞれ少しずつ上げて、アンプから
ギターの音がでることを確認します。
Treble, Middle, Bass がそれぞれ動作していることを確認。
先ほど修正した Treble も正しく動作しています。

とりあえずの動作確認をしましたが、回路が正しく動作しているかの
確認をします。
回路図中に電源電圧(+B1 310V, +B2 300V) やプレート電圧、カソード電圧が
記入されているので、実際の回路と違いがないか確認します。

DSC02307E

+B1  310V のチェック。R6 の端子電圧を測定します。322V。ちょっと高い。
4%程度の差なので誤差かもしれませんが...
ダイオード全波整流直後の電圧がやはり 322V。おや?電圧降下していない。
ついでに +B2 300V もチェック。260V ? 今度は低すぎる。

ここで気がつきました。
R6 として 2.7Ω 2W を接続しましたが、3.0kΩ 2W の間違いでした。
手元に 3.0kΩがないので 2.7kΩ 2W で代用。
さらに R10  10kΩ 1/2W を間違えて 100kΩ 1/2W を付けていました。
電源基板の電解コンデンサのレイアウトを考えている時に
とりあえず適当な定格の抵抗をレイアウトしたのを思い出しました。
結局そのまま抵抗値を確認せずハンダ付してしまったんだね。
危ないなぁ。これも早速修正します。

R6 と R10 を正しい値に修正して再度確認。
+B1  313V,  +B2  302V。  OK。

次に初段から4段目までの三極管のプレート電圧とカソード電圧を
測定します。
DSC02308F

U1A  プレート電圧 207V, カソード電圧 1.48V
U1B  プレート電圧 209V, カソード電圧 1.54V
U2A  プレート電圧 208V, カソード電圧 1.54V
U2B  プレート電圧 313V, カソード電圧 4.05V

いずれも正常です。

これで動作確認は終了。


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