長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: ロッキンf エフェクタ復刻

パラメトリック・イコライザー II の試作を始めます。

パラメトリック・イコライザーは RF016 と RF057 の2種類があるのですが、
まずは構成が簡単な方から。

ロッキンf 1981年2月号の記事中のプリント基板とほぼ同じ大きさに
ユニバーサル基板をカットして部品を半田づけしました。

部品面。
DSC03512A

半田面。
DSC03511B

すこしパターンを変更していますが、レイアウトはほぼ同じです。

初段のプリアンプにはゲインを持たせていません。R3 の 1MΩ は取り付けて
いますが、R2 (100kΩ ) を取り付けていないので、初段はボルテージフォロワ。
オリジナルの記事では C1 0.33uF, C2 1uF にタンタルコンデンサが指定されて
いますが、積層フィルムコンデンサや電解コンデンサで代用しました。
当時はタンタルコンデンサが最新のデバイスだった時期で、従来より小型で
容量が大きいのでよく使われました。でも現在では特にタンタルコンデンサに
する必要もありません。
また C5, C6 (共に 2200pF ±5%)もスチロールコンデンサが指定されていますが、
±5% 誤差の積層セラミックコンデンサで代用しました。

記事中のレイアウト、基板パターンに従って配線を行い、回路チェック。
回路図を見ながら信号の流れる順にパターンが正しく配線されているか、
チェックしていきます。
ん? あれ? ちょっとおかしくないか? U2A の出力 (1pin) が VR2-1 の
2番を通って 10kΩ を通って... U2D の反転入力 (13pin) に来てる?
U2C の 9pin に行くはずだが ???
一晩悩みました。ま、そう言う時は寝るに限る。
次の朝、早々に解決しました。回路図もパターン図も間違えていません。
実体配線図に間違いがありました。二連ボリュームの2番への配線が
誤って記載されており、 VR2-1 の2番端子への配線と VR2-2 の2番端子への配線が
入れ替わっていました。当時の記事を参考にする方はご注意を。
ちなみに再録されている「だれにもわかるエフェクター自作&操作術 '81」
では実体配線図が改訂されており、正しい配線になっていることを
確認しております。

ロッキン・ミニコンプのノイズが気になります。
コンプレッサーなので無音時にノイズが大きくなるのは仕方がないのかも
しれません。ギターの弦を少しでも弾くとノイズが小さくなるので
演奏中は気にならないのですが、ミュートしてしばらくするとノイズが大きく
なってきます。
そのノイズが TJ7660 のスイッチングに由来するものかを明確にして
おきたいところです。

ただちょっと気になっているのが、無音時に出るノイズがスイッチング周波数
10kHz よりも低いようなのです。
COMPRESS を 12時くらいまで開くと特に大きくなるし、開き具合によって
ノイズの周波数が変わるので発振の可能性も考えられます。

最初に行った対策がバイパスコンデンサ 0.1uF の増設。
TL072 の電源 +9V (8pin) と -9V (4pin) の直近にそれぞれ 0.1uF 50V の
積層セラミックコンデンサを取り付けます。
この時点ではノイズは無くなりませんでした。

さてこれからが実験。
DSC03547A

TJ7660 を ICソケットから取り外し、+9V, -9V を 二本の 006P で
供給するよう配線します。この状態でノイズがでるようなら、
TJ7660 のスイッチングノイズが原因ではないことになります。
試奏してみると、ノイズが消えていません。
オシロを繋いでノイズの周波数を測ってみると 7kHz くらい。
スイッチングノイズではなさそう。やはり発振のようです。
-9V 電源回路はシロのようです。

COMPRESS のコントロールは 50kΩの B カーブ。
使ってみた印象ではこのコントロールは 10時以上に回してもあまり
面白みがありません。圧縮がかかりすぎて音がモコモコして
レベルも小さくなってしまうので、使える音かどうかは疑問です。
それよりも COMPRESS を絞った状態での Booster としても
使える鮮明な音、少し右に回した状態でのアタックを抑えた
カッティングに適した音にフォーカスした方がよさそうです。
というわけで、発振が起こらない範囲で COMPRESS を
使用するよう、R8 22kΩ の追加と VR1 の変更(50kB -> 10kA) を
行いました。

Modified


 

ユニバーサル基板を使った試作を行いました。

-9V 電源を TJ7660 で生成するので基板が若干大きくなりました。
フォトカプラは秋月で以前売っていた MI 0202CL を数個持っていたので
使いました。

DSC03540A

手前右側が TJ7660 による -9V 電源回路。
奥がロッキンミニコンプの本体。左の黒い直方体が MI 0202CL フォトカプラ。
ミニコンプの回路はロッキンf に記載されていたプリント基板の部品配置を
参考に配置しています。ただ回路中に 3MΩ (フィードバック抵抗) が二本
使われており、手元になかったので 1.5MΩを二本直列にして代用しています。
基板に余裕があったので、とくに問題なく結線できました。

基板裏面。
DSC03544B


フットスイッチをつけないまま(エフェクタ入りっぱなし)の状態で
動作確認(試奏)をします。

DSC03536C


COMPRESS ノブを絞っているとクリーンなトーンが飛び出します。
LEVEL ノブを開くと音量が増し、ブースターとして使えそうです。
クリーンブースターとしても使えるし、アンプの音量加減でクランチから
ディストーションを発生させることもできます。
COMPRESS ノブを開いていくと、音のレベルが下がります。
LEVEL を併用して音量を調整することになります。
レベルが下がったと同時にピッキング時のアタックが抑制されている
ことがわかります。5弦や6弦の振動が抑制されて、高音弦の
伸びが強調されます。
カッティングは音が歪むことなく、音の粒がそろうようです。
COMPRESS ノブが効きすぎるのか、ゼロから少し回したところで
使えそうな音が出せそうです。このポットは 50kB を使っていますが
50kA にすると音作りが容易になりそうな気がします。

さて、 TJ7660 で -9V を作っていることのデメリットですが、
COMPRESS を開いたところで無音の状態(ギターを繋いで
弦を触れている状態)でスイッチングによるリップルの影響らしい
10kHz 付近のノイズが聞こえます。この状態はほぼ無音なので
微小なノイズを最大ゲインで増幅している状態なので、弦を弾くなど
音を出すことによって気にならないほど小さくなります。
このノイズはちょっと対策をしなければならないかと思います。

ロッキンf 1977年7月号の「ロッキン・ミニコンプ」を復刻します。
歪みを伴わないコンプレッサーです。圧縮 Compress ノブを絞ると
ブースターとしても使えるとのこと。

昨日試作実験したTJ7660 による -9V 負電圧回路をエフェクターに
導入しようと着目したのがこの「ロッキン・ミニコンプ」。

負電圧回路を導入する前に、オリジナルの回路図を復刻します。

ロッキンf 1977年7月号

DSC03532A

ミュージック・マシン自作シリーズ第12弾。

DSC03534B

復刻した回路図はこちら。

012_RockinMiniComp

回路図 PDF

初段のゲインをフォトカプラを使ってコントロールし、入力信号の
大小に応じてレベルを一定に保つ回路になっています。
フォトカプラ MCD521 はモリリカの製品。製造元のモリリカが無くなっているため
入手困難。ただ LED と CdS の組み合わせのフォトカプラなので、代替品を
探して使えそう。秋月で取り扱っている VTL5C3, LCR0202, LCR0203 などが
使えるのではないかと思います。ちなみに VTL5C3 は真空管アンプ(Mesa/Boogie や
Yamaha T100 など)のチャネル切り替えによく使われるので、アンプ修理を
する人はいくつか持っておくと良いでしょう。もっともあまり壊れることは
ありませんが。

回路図をみれば分かる通り、±9V 両電源で OP アンプを動作させています。
この回路を +9V 単一電源で動作させようとすると 1/2 Vcc (+4.5V) を作って
仮想 GND に設定するのが定石です。ただ、後段の OP アンプでフォトカプラの
LED をドライブしようとすると LED の順方向電圧 Vf =1.7V を超えなければ
動作しません(実際には (仮想 GND)4.5V + 1.7V = 6.2V)。
4558 は出力 Rail-to-Rail ではなく出力電圧の上限は電源電圧から 1V ほど
低いので、LED をドライブできる範囲は 6.2V ~ 8V の間ととても狭く
なってしまいます。この電圧範囲で LED に流れる電流値を調整するのに
R4 の抵抗値を試行錯誤して探らなければならないのではと推測します。
±9V 両電源を使えば LED をドライブできる範囲は 1.7V ~ 8V とかなり広く
なり、制御が安定するはず。
以上の理由(推測も含めて)で Tj7660 による -9V 負電源回路を適用する予定です。



もう40年以上も前のロッキンf の回路図を見ていると感慨深いものがあります。
当時は OPアンプが普及し始めた時期で、まだ使いこなせる技術者も多くなかった
はず。あの名著 岡村迪夫氏の 「OPアンプ回路の設計」(CQ出版)の初版が 1973年。
(私の持っている改訂第1版が 1981年。当時は OPアンプといえばこの本しかなかった
ので学生だった私は意を決して購入したものです。)

当時の回路を見るとまだまだ過渡期であったためか、使用している OP アンプの型式や
回路構成などに古臭さを感じることはあります。
なかでも OP アンプの電源として ±9V の正負両電源を使う回路が多く見受けられます。
エフェクターとして使えるように 006P を2個で ±9V を供給するようにしている
ものが大半ですが、当然のことながら電池を格納するためケースがデカくなって
しまいます。当時はアルミダイキャストのケースなどどこに行っても売っていなかった
ので、余裕のある大きめのアルミケースでエフェクターを製作したものです。
今のようにエフェクターをずらりと並べてボードに組む、というような発想では
ありません。

当時の最新の OP アンプが uA741 であり、RC4558 であったわけで、これらを
+9V 単一電源で動作させようとすると出力電圧範囲が狭いため歪みが発生します。
歪みエフェクターならそれでも良いのですが、歪み以外のエフェクター、
たとえばフェイザーやワウなどはヘッドルームを確保するために正負両電源を使って
いるようです。

ロッキンf の当時の回路を復刻する上で悩んだのがこの両電源をどうするかです。
当時の荒削りながらオリジナリティのある回路を復刻しても、現在のギタリストに
使ってもらえなければ意味はありません。図体がでかくてボードに収まらない、
+9V 単一電源で使えない、006P でしか使えない、などの問題はクリアしなければ
なりません。

そこで考えたのが「チャージポンプ」による -9V の生成です。
使う IC は TJ7660。
DSC03528A

有名なインターシルの ICL7660 のセカンドソース。
これを使えば +9V 電源から -9V を作ることができます。

ICL7660

図中 VEE として -9V を生成します。
取り出せる電流は 50 mA 以下なのですが、エフェクターのような
電力を消費しない回路では充分です。入力電圧の上限が +10V であることは
要注意です。

チャージポンプによる負電圧作成はこれまで何度か行っており、ノイズが
とても少なくて良い印象を持っています。ただ使っていた IC は NJW4191 
などの新しめ(かつ SOP パッケージ)のものだったので、作業しやすい
DIP の ICL7660 を今回初めて試すことにしました。
気になったのが ICL7660 のスイッチング周波数が 10kHz ということ。
可聴周波数ですね。ちょっと低い。おそらく上図の C1、C2 に
電解コンデンサが使えるように周波数を抑えたのだろうと思います。 
ちなみに NJW4191 だと 300kHz。
生成した負電源に大きな(10kHzの)ノイズが乗らないかが気になりました。

ということで正負両電源で動作するアナログ回路に使用して
ノイズがどれだけ出るかを実験することにしました。
±9V を電源とする「ヘッドフォンアンプ」を作ってみました。
回路図はこれ。


HPA


回路図 PDF

この TL072 の負電源を TJ7660 で作ります。

できた基板がこれ。
DSC03524B

-9V 電源のノイズだけにフォーカスするために、+9V の電源は
006P から供給しています。
ヘッドフォンを繋いで、ノイズを確認します。
入力に何も接続していない状態ではノイズは全くありません。
ポットを全開にしてもノイズがありません。
次に CDプレーヤーを接続して音楽を流してみます。
ポットを徐々に右に回すと音量が増えますが、ノイズは皆無。
うん。これは良い。
ノイズは問題にならないようです。

音楽再生中(負荷時)の VEE ラインをオシロで観測してみました。

DSC03514G

リップルの周波数は11.3kHz なので、TJ7660 のスイッチング周波数であることは
間違いないでしょう。リップルは 100mVp-p 以内に収まっているようです。
スパイクが見られますが、この程度ならOPアンプ直近にバイパスコンデンサを
つければ除去できるはず。

実験の結果、TJ7660 で負電源を作成してノイズの問題はなさそうだと言うことが
わかりました。
これを使ってロッキンf の回路の電源周辺を改良しようと思います。

ロッキンf  1977年5月号に掲載された「ロッキン・ドライブ」を復刻します。
別冊には掲載されていません。
この号から製作記事を竹内常夫氏がメインに執筆しています。

ロッキンf 1977年5月号
DSC03505A


ミュージック・マシン自作シリーズ第10弾
DSC03508B

復刻した回路図

010_RockinDrive

回路図 PDF

この頃は「歪み」と言えばファズだったり、ディストーションだったり、
オーバードライブだったり、ブースターだったり、すべてごっちゃ。
これらの定義が曖昧なまま。
本機も「ドライブ」という名称ですが、記事中では「ブースター」として
いたり混乱が見られます。

メインの執筆者が代わって、初心者にも作りやすい回路のエフェクタに
方向転換がなされたようですが、なかなか凝った回路です。
この記事で初めて 4558 が登場します。それまで uA741 や LM301 などの
シングル OP アンプが使われましたが、デュアル OP アンプはこの記事が
最初。RC4558D という型式の記述があるのでオリジナルのレイセオンを
使っていたのかもしれません。とは言えこの頃にはすでに新日本無線(
(現)日清紡マイクロデバイス)の NJM4558D が発売されていたようで、
記事中に NJM4558D の写真があります。

初段の回路がゲイン約100倍の非反転増幅になっており、出力にダイオード
クリップがついています。構造的には「ディストーション」です。
2段目がバンドパスフィルターになっており、Frequency ノブでピーク
周波数を変化することができます。外部コントロールとしてフット・ボリューム
(ローランドの FV1 や FV2)を接続するとワウとしても使える、との記述が
あります。ワウとしてどれだけ効くのかは作ってみないとわかりませんが。
Frequency コントロールはスイッチ付きの 50kΩの C カーブまたは B カーブ。
Cカーブが望ましいようですが、スイッチ付きとなると入手は困難でしょう。
またスイッチが SPDT なので B カーブであっても手に入るかどうか。
フットスイッチをもう一つ増設するのが無難な気がします。
それ以外は入手困難な部品はないので、気軽に製作できるのではないかと
考えています。



ロッキンf 1978年7月号の「MOS Driver」を復刻いたします。
ロッキンf 別冊「だれにもわかるエフェクター自作&操縦法 '81」にも
Project 10 として再掲載されています。

C-MOS の論理回路に使われる MC14049UB を使ったオーバードライブです。

ロッキンf 1978年7月号

DSC03500A

ミュージック・マシン自作シリーズ第23弾

DSC03504B

「真空管サウンドに肉薄」などの文字が踊りますが、あまり期待しては
いけません。C-MOS インバーター MC14049UB にネガティブフィードバックを
かけることによって OP アンプと同様な動作をさせているので
MOS FET 単体の特性が表に出てくるわけではありません。
ただ歪みが生じる場合はフィードバックが効いていない状態になるので
特徴のある音になるかもしれませんが、その辺は作ってみないと何とも
言えません。

復刻した回路図を示します。
023_MOSDriver

回路図 PDF

MC14049UB はモトローラがオリジナルで各社からセカンドソースが販売
されました。TI であれば CD4049B など。ただ 74HC4049 などの
Hi-Speed CMOS シリーズは電源電圧 9V では動作しないので使用できません。
74HCU04 も同様。
同じ C-MOS インバーター MC14069UB は使用可能ですが、ピン数と
ピン配列が異なるので要注意。
6個あるインバーター(NOTゲート)のうちの2つのみをアンプとして
使用しており、残りの4個は使用しません。使用しないゲートは
入力を GND に接続することで誤動作を防止します(回路図下側参照)。
出力は開放で構いません。

さて、ここまで5日間連続でロッキンf の掲載回路図を復刻して公開しました。
とりあえず回路図さえあれば製作に進める方もいらっしゃるので、回路図の公開を
前倒しにしました。
製作が完了していないのに回路図だけ公開しているので、なんか食い散らかした
ような印象もないわけではないのですが、実際の製作は追々行っていく
予定ですので、それぞれ続編をお待ちください。


ロッキンf  1981年2月号に掲載された「パラメトリック・イコライザー II 」を
復刻いたします。
このエフェクターはロッキンf 別冊「だれにもわかるエフェクター自作&操縦法 '81」
にも
Project 20 として再掲載されています。

昨日投稿したのは1977年12月号の "016 パラメトリック・イコライザー"。
パラメトリック・イコライザーのコントロール、Frequency, Resonance(Q),
Master Vol. に加え、High, Mid, Low のトーンコントロールまで装備していました。
二重積分ループ(状態変数フィルタ)を使うと LPF, BPF, HPF の3種類の
フィルタが一度に作成できるという特徴を活かしているのですが、
ストンプボックスとして使うには機能が多い気もします。

"ロッキン F&S" と同様に 006P 電池を2個使う点も気になります。
おそらく歪みを抑えてヘッドルームを確保したいための ±9V 電源なのでしょうが
現在エフェクタによく使われるダイキャストケース、ハモンドの 1590B や
タカチの TD6-11-3 などのケースに収納することはほぼ不可能。
(ロッキンf のエフェクタに多いこの問題はいずれ解決策を提示します。)

それらの問題点を解決してコンパクトなケースにまとめたのが
今回の「057 パラメトリック・イコライザー II」。
コントロールは GAIN, BAND WIDTH (Q), FREQUENCY の3つ。
電源は 006P 1個のみ。この当時は AC アダプタが一般的でないため
DC ジャックがついていないのですが、付け足すのは容易ですね。


ロッキン f  1981年2月号

DSC03468A


ミュージック・マシン自作シリーズ第57弾。

DSC03477B



復刻した回路図はこちら。(202209010 修正)

057_ParametricEQ_II



回路図 PDF

回路は "016 パラメトリック・イコライザー"を簡略化したものに
なっています。
使用する OP アンプは TL072 と TL074。
100kB の二連VR は本来は100kC の二連が望ましいのでしょうが、
入手できたらラッキーと考えたほうがよいでしょう。
製作記事中では上記回路図中の C5 と C6 にスチロール(polystyrene)
コンデンサ 誤差 ±5% を指定しています。おそらく誤差を小さくして
C5 と C6 のばらつきを抑えるための指定だと思います。
スチロールコンデンサは製造終了のため入手が難しい... と思ったら
秋月でまだ取り扱っていました。

昨日、本日とパラメトリック・イコライザーを2件紹介しました。
誤解のないように。昨日の "016 パラメトリック・イコライザー" が
良くないと言うわけではありません。ストンプボックスの形でなく、
ラックマウントのエフェクタとして、または録音用のプリアンプとして
使うにはよい構成ではないかと思います。

これら 2種類のパラメトリック・イコライザーは今回は回路図だけの
投稿にとどめますが、後日これらを並行して試作に進んでいこうかと
思っております。

ロッキン f 1977年12月号に掲載された「パラメトリック・イコライザー」を
復刻します。

パラメトリック・イコライザーは狙った周波数帯を強調したり減衰させたり
することができ、ギターの音作りに有効な装置です。
特に中音域を強調することによりアンサンブルに適した音を作ることができます。

ただパラメトリック・イコライザーは自作が難しい。何が難しいかというと
特殊なポットが2種類ほど必要で、これがほぼ入手不可能ということ。
これまでパラメトリック・イコライザーを搭載したアンプ(OZ-660, F50-112,
F100-112) 、簡略化した回路を搭載したエフェクター(Metal Monster MM-X)
を解析しています。OZ-660 と F50, F100 で共通なのが、Cカーブの二連ボリューム
とセンタータップ付きのボリューム。おそらく特注品。部品屋の店頭に
並んでいるものではありません。
Metal Monster の回路はなんとか自作できそうですが、Q を変更できません。
そのためか、パラメトリック・イコライザーの自作例というのは
あまり見かけることがありません。

ところがこれらのアンプやエフェクターが発売される以前に、ロッキン f では
製作記事が掲載されていました。

ロッキンf 1977年12月号
DSC03464A

ミュージック・マシン自作シリーズ第16弾

DSC03474B


この製作記事の回路では特に入手が難しい部品はありません。
初段の OP アンプに LM301A が指定されていますが、uA741 で代用可能と
記載されています。ローノイズの OP アンプを使うのがベターなので
TL071 で代用するか、 TL072 で片方の OP アンプのみ使用するか、
というところでしょう。後者では基板パターンを変更しなければなりませんが。

復刻した回路図はこちら

016_ParametricEQ


回路図 PDF

(20220920  R19 追加:ロッキンf 1978年1月号 pp. 184 の訂正記事により修正)


基本的な回路は「ロッキン VCF」でも使われていた「二重積分ループ」
(状態変数型フィルタ)によるフィルタ回路の応用です。
動作原理は

富澤瑞夫, Rock音!アナログ系ギター・エフェクタ製作集, CQ出版, 2020, pp. 133-149.
(ISBN978-4-7898-5030-8)

が詳しいです。

今回は回路図の掲載のみです。プリント基板の作成や試作は後日行う
予定です。

ロッキンf 1977年8月号に掲載された「ロッキン F&S」を復刻します。
F&S は "Fuzz and Sustainer" の略のようです。

ロッキンf 1977年8月号

DSC03491A

ミュージック・マシン自作シリーズ第13弾

DSC03494B

OP アンプ 4558 の2段目をコンパレータとして使用して歪みを作ると
ともにサスティンを得るエフェクターです。
部品点数が少ないこともありますが、入手できない部品がないので
現在でも気軽に作れそうです。

復刻した回路図はこちら。
013_RockinF&S

回路図 PDF

面倒なのは電源として 006P 9V 電池を2個使用して±9V を使用すること。
製作上は大きな問題ではないのですが、
(1) 006P 2個を格納できる大きめのケースが必要になる。
(2) AC アダプタを使おうとすると2台必要になる。
というデメリットがあります。
9V 単一(±4.5V)で動作するように変更するのもそれほど難しいことでは
ないのですが、まずはオリジナルのままにします。

どんなエフェクターなのか作ってみないとわからないので、手っ取り早く
ユニバーサル基板を使って試作してみることにしました。
基板は秋月電子の Cタイプ片面基板を記事中の基板とほぼ同じサイズに
切って使いました。

部品面の実装
DSC03483C

半田面の配線
DSC03486D

基板上の半固定抵抗 47kΩ は密閉型の GF063P 50kΩ で代用しました。
R5  1.8MΩ は手持ちがなかったので 2MΩ で代用しています。
大きな違いは生じないでしょう。

ジャック等の周辺部品を接続。
DSC03488E

この状態で試奏してみます。うむむ。レベル調整ポットをつけ忘れてますね
(あとで気がついた)。

FUZZ ですね。バリバリの歪みです。
FUZZ FACE に代表される FUZZ と違い、入力レベルを下げると
音がプツンと出なくなります。サスティンは同じレベルの音が継続され
ますが、入力レベルが低くなったと思しきところでパタっと途切れます。
逆に弦をミュートしているときにはノイズが全く出ません。
低音弦の入力レベルが大きいため、コードを弾いても高音弦の
音が潰れてしまいます。ロッキン f の記事中でも「和音奏法には向かない」
「グラフィック・イコライザーを前につければ、雑音の影響を受けること
なく補正することができる」等の記述があります。

クリーントーンを出すことはできません。必ず多少の歪みを伴います。
サスティンが切れると突然無音になるので、弾き方を工夫する必要が
ありますがそれほど苦にはならないとは思います。

006P 電池を2つ使う点でケースを作成するか迷っています。
± 4.5V 電源に変更して音がどう変わるかを比較したあとに判断したいと
思います。

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