+9V から負電源 -9V を作る基板を作ったので、何かに応用したく
なりました。とはいえ予定通り Parametric Equalizer に使うのも
当たり前すぎて、この基板が役に立つことを充分にアピールできそうに
ありません。
というわけで考えたのがゲルマニウムトランジスタを使った FUZZ に
組み込んでみよう、ということ。
完成したものがこちら。
なんで FUZZ ? と思うかもしれません。
1960年代、FUZZ FACE などの FUZZ にはゲルマニウムトランジスタが
使われており、荒々しい歪みを生み出していました。
そのころのゲルマニウムトランジスタはほとんどが PNP で、電源に
-9V などの負電源が必要でした。
そのため今でもゲルマニウムトランジスタで FUZZ を作ろうとすると
電源の極性を反転させて動作させなければなりません。電池(006P) で
あれば +側を GND に接続させれば、-側が -9V になるので問題はありません。
問題は AC アダプタ。同様に +側を GND に接続することで-9V を
作り出すことはできるのですが、他のエフェクタと電源を共有できません。
他のエフェクタに供給している +9V がゲルマニウム FUZZ の内部で GND に
短絡するためです。AC アダプタに接続したエフェクタ全体が動作しなく
なります。
これを避けるにはゲルマニウム FUZZ 専用の AC アダプタを設けることです。
ただボードに組むには電源を統一することができないとか、注意事項を
忘れてショートさせてしまったり、トラブルのもとになるのは明白。
ゲルマニウム FUZZ を自作する場合、 電池を電源とするのが一般的なのは
このような事情があるためです。
そこで本基板の出番。
AC アダプタに接続される他のエフェクタと GND を共通にしながら
-9V 電源を供給できるので、問題は完全に解消されます。
作成した基板はこちら。
左が ±9V 基板、右がゲルマニウム FUZZ 基板。
ゲルマニウムトランジスタには 2SA472 (2個)を使用。
FUZZ FACE の回路ではありませんが、2石直結回路による FUZZ です。
交流と直流の2重フィードバックがあるちょっと面倒な回路。
交流フィードバックの定数(半固定抵抗)を変える実験を行うという
別の目的もあったのでこの回路を使いました。
AC アダプタを接続するジャックはケースの上側面に設置します。
上の写真のように9mm の穴を中心からずらした位置にあけます。
±9V 基板を仮組みしたところ。小さくまとまっていますが、これでも
他の基板や部品と干渉しないか穴の位置決めに検討が必要でした。
楽ではありません。
横から見るとこんな感じ。
FUZZ 基板に対して -9V (灰色) を供給します。
±9V を供給できる基板ですが、今回は +9V は使用しません。
すべての配線が終了したところ。
完成してみると部品の干渉もなく、すっきりとまとまっています。
電池 006P でも動作するように電池スナップも取り付けています。
電池で動作させる場合も +9V から -9V を作っているので
電池の節約のため入力ジャックにプラグが差し込まれると GND が
短絡して ON になるようにしています。
AC アダプタを接続すると電池からの供給は切れ、入力ジャックの
有無に関わらず -9V が常に供給される仕様になっています。
完成後は問題なく動作しています。
最後にACアダプタの電源分配器から通常のエフェクタ(SD-1) と共通の
電源を供給できているところを示します。
短絡もなく、両方のエフェクタが機能していることがわかります。