長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Jugg Box

Micro Jugg と大きく異なるのはプリアンプ部です。

Micro Jugg では他の Jugg Box シリーズと異なり、Volume 1 には
Over Drive フットスィッチでON / OFF できる音量という役割が
あったわけですが、Volume 1 で歪みが大きく加わることもありません。
JBX-40 では Volume 1 を Gain に変更し、歪みを加える仕様になりました。
ダイオードの3本直列と2本直列が逆方向に接続されているフィードバック
ループは Boss の OD-1 で採用された非対称歪みによるオーバードライブ。
Gain を少しでも上げるとザラついた歪みが加わります。

トーンコントロールは Fender 型トーンスタックが採用されていますが、
定数は変更されています。

OP アンプに使われているのは 東芝の TA7322 。Jugg Box シリーズで
従来使われていた TA7136 によく似た 9 pin の SIP のシングル OP アンプ。
例によって現時点では生産完了品ですし、入手も難しいと思われます。
この OP アンプの電源は±30V まで使用可能で、JBX-40 では ± 21 V という
高めの電源で動作させています。もしこの OPアンプを代替させるので
あれば 5532 (±22V)でギリギリ。電源に余裕のある OP アンプを
選ぶ必要がありそうです。

生産完了品といえば Jugg Box シリーズにはもうひとつ。
リバーブドライブに使われる Rohm の IC、 BA521。
幸いなことに、JBX-40 では(おそらく当時)新開発のリバーブが
搭載されており、一般的な OP アンプ 4558 でドライブできるように
なっています。リバーブからの出力はゲイン 10 倍の増幅を行なっており、
リバーブ自体の出力レベルを補っています。
そのためか JBX-40 のリバーブは Jugg Box シリーズとしては
浅いように感じます。効きが悪い、というわけではなく、従来の機種が
効きすぎるくらいのピチャピチャなリバーブなのに対して、ドライな
リバーブという意味です。

問題なのは前面パネルに設置されている Gain フットスィッチ。
これにフットスィッチを接続し、ON にすると Gain のコントロールが
キャンセルされ、ノーマル(クリーン)な音に切り替わる、はずなのですが、
初段で増幅された信号が二段目のアンプに接続されません。
リレー 松下 HB2-DC12V の Normally Open の端子の先に繋がっている
 CH OUT 端子。これがどこにも繋がっていないのです。
二段目のアンプの入力部に CH IN という端子があるのですが、これにも
何もつながっていないのです。どうもこの2つの端子間にクリーン
チャンネルが繋がる仕様になっているようなのですが、JBX-40 では
何にも繋がっていません。おそらく上位機種の JBX-60 (2ch アンプ)と
基板を共通にするための仕様なんでしょうが、JBX-40 では無意味な
仕様です。Gain のフットスィッチを ON にすると全く無音になって
しまいます。

私が入手した JBX-40 はリレー HB2-DC12V が接点不良を起こしており、
交換が必要でしたので、変換基板を作成して新しいリレーに交換しました。


DSCN2557
ちなみに交換したリレーは秋月電子の 941H-2C-12D です。

電源部について

JBX-40 では電源部のメイン PS-101 基板、プリアンプ PA-106 基板、
パワー・アンプ PW-66 基板の他に、電源スィッチ部 SW-118 基板、
入力ジャック SW-117 基板、前面ジャック SW-116 基板の
3つの小さな基板が追加されています。

電源スィッチと Stand-By スィッチが搭載されている SW-118 基板が曲者で、
2つのロッカスィッチを前面パネルから嵌め込んだ状態で
SW-118 基板に端子を(ケース内側から)半田づけする構造になっています。
SW-118 基板は 写真左上に垂直に搭載されている基板。(ちょっと見難い)

DSCN2538

なにが面倒かというとこの SW-118基板から2つのロッカスィッチ
(電源、Stand-by)の半田を外してスィッチを取り外さない限り、
黒色の前面化粧パネルを外すことができないということです。
前面から操作する各種ジャック(入力、フットスィッチ)は
この化粧パネルを外さない限り取り外しができません。
ジャックの取り付けネジが緩まないようにするためのアイデアかも
しれませんが、メンテナンス性はよくありません。

今回の機体は SW-118 基板の2つのロッカスィッチとも劣化しており、
交換の必要性がありました。交換する現行のロッカスィッチの
端子形状が SW-118 基板に直付けできないため、この基板を使わない
ことにしました。


電源部の基板 PS-101 基板は写真左の茶色いベークライト基板。
PS-101 基板自体は Micro Jugg で使われているものと
変わりませんし、搭載されている部品も全く同じです。
型式に若干違いがありますが、電源トランスも同じものかと思います。
 

さきに回路図を公開した JBX-40 は次の写真1のような機体です。

DSCN2517A

1981年頃に従来の Jugg Box シリーズのモデルチェンジが行われ、Micro Jugg の後継という
形で発売されました。当然、このモデルと入れ替わりに Micro Jugg は廃版。

DSCN2521

Micro Jugg (左)と比べてみました。奥行きは薄くなったようですが、
高さ、ゴツさ(?)は増量したようです。
重さは Micro Jugg 12.1 kg に対して 15.0kg 。
Micro Jugg はその軽量さが魅力だったのですが、この差は大きい。
たかが3kg と思うかもしれませんが、自宅から 500 m ほどの距離にある
ライブハウスに徒歩で持参すると、この差が腕や腰に与える影響は明確でした。
どちらも出力40W。

Micro Jugg となにかと比較することになるとは思いますが、
次回からJBX-40 の回路図から分析を行なっていきたいと思います。

Micro Jugg の後継機種 JBX-40 の回路を追っている途中、Micro Jugg の回路と
比較を行いながら回路図を作成しました。
細かな点で回路の改善が行われていることに気がつきましたが、
もともとの Micro Jugg の回路図の誤りにも気がつきました。
というわけで、現時点での Micro Jugg (MJ-3) の回路図も更新いたします。

回路図
20200202 プリアンプ部 C34 電解コンデンサの極性を訂正
20220102 プリアンプ部 R3 訂正 (390k -> 39k)
20220716 プリアンプ部 R12 訂正 (8.2k -> 82k)

PNG:
電源

プリアンプ、リバーブ

パワーアンプ


PDF:
https://juggbox.blog.jp/JuggBox/MicroJugg/MJ-3.pdf



schematics MJ-3.pdf

Yahoo! ブログ終了に伴い、 livedoor Blog に移行しました。
これまで PNG で公開していた回路図を PDF でも公開できるようになりました。
ご利用ください。

2020.0508 追記: ONE, V-1 の初期バージョン(Rev. 0) と後期バージョン(Rev. 1) を
別ファイルで提供することにしました。

20200919 追記: Jugg Box シリーズではありませんが同一メーカーで回路的に
関連の深い OZ-660 をリストに加えました。
また初期バージョン(Rev.0) と後期バージョン(Rev.1) に分類
しました。

JuggBox ONE, JuggBox V-1 回路図
Rev. 0  回路図 PDF
Rev. 1  回路図 PDF

JuggBox TWO 回路図 PDF

JuggBox BASS 100 回路図 PDF



JuggBox Stuff 020G 回路図 PDF

JuggBox Stuff 060G 回路図 PDF


JuggBox Stuff 060B ベースアンプ 回路図 (不完全) PDF


Jugg Box Micro Jugg 回路図 PDF



JuggBox JBX-40 回路図 PDF

JuggBox JBX-60 回路図 PDF

JuggBox JBX-Jr30 回路図 PDF



日本ハモンド OZ-660 回路図
Rev. 0 回路図 PDF
Rev. 1 回路図 PDF

Jugg Box のハイブリッドタイプの機種、Stuff 060G, Stuff 020G, MicroJugg, 
さらにベースアンプの Stuff 060B のプリアンプ部には TA7136P が
使われています。 TA7136P およびその改良型 TA7136AP はそろそろ入手が
難しくなってきています。 半導体はメーカーの再生産がほぼありえないので、
部品の代替を考えなければなりません。 

そこで、TA7136P を通常の2回路入り 8pin OPアンプで代替する基板を
2種類製作しました。一つは DIP 用(写真1)、
もうひとつは SOP 用(写真2)です。 

イメージ 1
イメージ 2
どちらも2回路入りの片方のOPアンプだけを使います。 
写真1、2とも左側が表(部品)面です。 

これらに OPアンプとL型ピンヘッダとバイパスコンデンサ(0.1uF, 50V)を
取り付けた のが写真3。 TA7136AP と大きさを比較しています。 
イメージ 3

搭載する OP アンプは電源電圧 ±18V で動作するものを選びます。 
右側の DIP用基板には IC ソケットを取り付け、OP アンプを取り替えられるように 
しました。写真では NJM4558 を搭載しました。 
左側の SOP 用基板には手持ちの SOP OPアンプ NJM4580 を搭載しています。 


バイパスコンデンサは 1608 タイプのチップコンデンサを搭載する予定でしたが 
あいにく手持ちがなかったので積層セラミックコンデンサで代用しています。 
どちらも MicroJugg の初段のプリアンプに搭載し、問題なく動作しております。 
イメージ 4
イメージ 5

BA521 代替レポートのつづきです。
ハイブリッドタイプの Jugg Box, Stuff 060G, Stuff 020G, Micro Jugg (MJ-3) が
対象です。

TA7252AP もそろそろ入手困難になりそうなのはちょっと予想外でした。
次の代替候補は日電のμPC2002です。これもすでに製造中止ではありますが、
秋月電子には在庫があるようです。


TA7252AP でギターアンプを製作しようとしていた 2006年頃には μPC2002 はすでに
製造中止だったので、入手していたものの利用することを躊躇しておりました。
ただ、これを使ってみようと検討してみたところ TA7252AP より簡単であることが
わかりました。

写真1に必要な材料を示します。
μPC2002 とシリコンシート、10pin のピンヘッダ、5芯の平行ケーブル。
今回は Micro Jugg のシャーシに 3mm の穴を開けて固定しますので、
前回で使った放熱フィンは使いませんし、長さ8mm くらいの 3mm ビスと
3mm のナットが他に必要です。

イメージ 1



写真2のように5芯平行ケーブルを介して μPC2002 と 10pin ヘッダを接続します。
今回は μPC2002 の5ピンに合わせて5芯平行ケーブルを接続しました。
5本だけ接続すれば良いので、TA7252AP に比べて簡単になりました。

イメージ 2


μPC2002  基板(BA521) ケーブル色
1   ーーーー   5        茶
2   ーーーー   6        赤
3   ーーーー   2        橙
4   ーーーー   1        黄
5   ーーーー  10        緑

写真3のように取り付けます。前述のように μPC2002 をねじ止めしています。

イメージ 3


現在問題なく動作しています。
μPC2002 のデータシートでは負荷(スピーカが前提)に並列に、
2Ω程度の抵抗と 0.1μF のマイラーコンデンサを接続することが奨励されています。
Jugg Box の BA521 の回路にも 2Ωの抵抗が接続されていますが、コンデンサは
接続されていません。場合によっては発振してしまう可能性があるので
少し時間をかけて様子を見てみようかと思っています。

私が読み取った JuggBOX Stuff 060G の回路図を公開いたします。

以前修理した Stuff 060G を某ライブハウスで使っていただいておりましたが、
許可を頂き持ち帰り、メンテナンスも兼ねて回路を確認いたしました。
回路図は以前作っておりましたが、何箇所か不完全な点(後部ジャックの配線、バイアス調整部、
トランスや基板の型式など)がありましたので今回補完致しました。

修理したものですので、電解コンデンサ等を交換しております。修理した時はできる限り
オリジナルのコンデンサと同じ値で交換したはずですが、手元にない場合は代替している
可能性があります。(オリジナル 47uF 16V  -> 交換後 47uF 25V)
もしかすると電解コンデンサの耐圧や容量にいくつか誤りがあるかもしれません。

図1が電源部、図2はプリアンプ部、図3はパワーアンプ部です。(ver. 20141206)
(パワーアンプ部は修正のため ver.20141207)

イメージ 1

イメージ 3


イメージ 2


Schematics 060G.pdf

Jugg Box の Stuff 060G, Stuff 020G, Micro Jugg でリバーブのドライブに使われている
ローム社のパワーアンプ IC BA-521 はすでに製造中止で入手困難です。
互換品としては ECG1166, NTE1166 などがありますが、これらもなかなか
入手が難しいです。

では BA-521 の代わりに IC はないか? と検討したところ東芝の TA7252AP という
IC が目に止まりました。(写真1。左が BA-521, 右が TA7252AP)

イメージ 1


http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-00629/

もしかすると製造中止品かもしれません(東芝のサイトからはデータシートが探せません)が、
秋月電子にはまだまだ在庫があるようです。

MicroJugg の BA-521 の代わりに TA7252AP を取り付けて実験をしてみました。
写真2が使用した材料。TA7252AP の他、IC ソケット用のピンヘッダ(10pin)、
10芯の平行ケーブル、ヒートシンク、シリコンシート。

イメージ 2

今回は実験なので TA7252AP にヒートシンクをつけて仮設置しておりますが、
実際に使う時には金属シャーシに 3mm の穴を開けて TA7252AP をねじ止めすることを
お勧めします。

写真3のように TA7252AP のピンに平行ケーブルを半田付けします。
イメージ 3

BA-521 があった場所(SIP 10pin )には写真4のように IC ソケットを半田付けして
おきます。

イメージ 4

IC ソケット用ピンヘッダ(10pin) に平行ケーブルを写真5のように半田付けして先ほどの
IC ソケットに差し込みます。

イメージ 5


今回は仮設置なので写真3のように TA7252AP とヒートシンクを置いています。
ちょっと中途半端な位置ですが、とりあえず他の部品と接触しない程度にしています。
ねじ止めすべきですね。

イメージ 6


10芯の平行ケーブルを使った配線は以下のようにして TA7252AP と接続します。

基板側      TA7252AP   平行ケーブルの色
1  ーーーーー  5        黒
2  ーーーーー  4        茶
3  (不使用)
4  ーーーーー  3        橙
5  ーーーーー  1        黄
6  ーーーーー  2        緑
7  (不使用)
8  (不使用)
9  ーーーーー  6        灰
10  ーーーーー  7        白

これだけです。
実験結果:
ちゃんとリバーブが動作いたしました。
もう一台の MicroJugg と音質を比較いたしました。
比較するとリバーブのかかり具合がちょっと薄いか?という印象を受けました。
TA7252A と BA521 はゲイン設定方法が違うのでその影響だとは思いますが、
実用上問題はないと考えております。

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