長田(猫舌)のblog

主にギターアンプの解析、回路図の採取と公開を行っております。 回路図の公開は自身で読み取った回路図に限っており、主に国産のアンプを対象にしています。修理やメンテナンスなどにご利用ください。ただし公開している回路図は無保証です。内容の正確性には万全の注意を払っておりますが、誤記入や誤解の可能性は免れません。本サイトで公開している回路図によって生じた事故や損害については一切責任を負いかねますのでご了承願います。 また、電子回路とくに真空管に関する高電圧回路を取り扱っています。電子回路の知識や経験がない方が同様の作業をすると感電により生命に危険を及ぼすことがあります。同様な作業を行って生じた事故・傷害に対して当方は一切責任を負いません。

カテゴリ: Jugg Box

GW の巣ごもりの友(?) だった V-1 のスピーカーを交換します。
V-1 が手に入ったあと、JBX-60, OZ-660 とたて続けに入手できたため、
回路採取とメンテナンスが続き、楽しいやら忙しいやら。
本当はGW に V-1 にいろいろとスピーカーを載せ替えて
ONE に近づけようと思っていたのですが。

TWO に ALTEC 417-8H と ALTEC 417-8C を載せているので一つを
V-1 に載せ替えることもできるのですが、そうすると TWO が使えなくなる...
うむむ。
そろそろ ALTEC ではないスピーカーを探すべき時なんでしょうね。
もうなかなか入手できそうにないですし。
なんか良いスピーカーはないものか。

V-1 を入手して部品の準備等をしている間に注文したのが
Eminence Legend EM12 。
DSCN3617A

417 と同じアルミダイキャストバスケットを採用した 7.4 kg の
重いおも〜いスピーカー。
Electro Voice の EVM12L をイメージして作られているとのこと。
そりゃ、Electro Voice が買えればそれに越したことはありませんが、
価格は腰が引けます。まずは EM12 から試すことにしました。

V-1 のボディは ONE と共通なので、ALTEC と同じくらいの重さの
Legend EM12 も取り付けに問題はないはずです。

ただちょっと注意しなければならない問題があります。
Jugg Box はバッフル板にパーティクルボードを使っています。
バッフル板にメネジ(オニメナット)が取り付けられており、
そこに M4 のネジでスピーカーを取り付けるのですが、
締め付けすぎたり、無理に緩めるとオニメナットがパーティクル
ボードの中で空回りしてしまうことがあります。
そうなってしまうとその穴でスピーカーを取り付けられなく
なってしまうので、ネジの取り付け取り外しには充分注意しなければ
なりません。
私の TWO は入手した時点でいくつかのオニメナットがダメに
なっていました。

取り替え前のスピーカー 315-08007 (100W 8 Ω) はこちら。  

DSCN3621C

そういえば、このスピーカーはJugg Box シリーズではこの V-1 だけに
使われています。もしかしたら V-2 もこれかもしれませんが未確認です。

これを注意して取り外すと、
DSCN3623B

バッフル板が木の繊維を固めて作ったパーティクルボードであることが
断面からわかります。 Micro Jugg はバッフル板が合板なので
あまり気にしなくても良いのですが。

さて、Legend EM12 を取り付けてみます。
スピーカー取り付け部分のエッジが厚くなっているため、もともとついていた
M4  25mm の黒いネジでは長さが足りません。
あわててホームセンターに走り、 M4 40mm のステンレスのトラスネジを
買ってきました。35 mm あれば足りるとは思います。

取り付けが終わった状態がこちら。
DSCN3638D

背面。
DSCN3629E

さて試奏してみます。
もともと付いていた V-1 のスピーカーと比較することになりますが、
はっきり差がでました。
まず音量が上がりました。 スピーカーの能率が上がったためか、
出力が上がったように感じます。
ここしばらく V-1, JBX-60, OZ-660 と60W クラスのアンプばかり
扱ってたので、同じクラスとは思えない力強さ。
ボリュームを上げてもまだまだヘッドルームがあります。
(近所迷惑にならない程度に試してます。)
高音にキレが出ました。Treble を上げると音の差がはっきりします。
もちろん低音もドスが効いています。

もっとも、スピーカーを取り付けたばかりなのでまだまだ本来の音では
ないのでしょう。エージングが必要で、また音の印象が変わってくるとは
思います。どんな風に変わっていくか楽しみです。

Jugg Box シリーズのアンプは新しいものでも 35 年は経過しており、
メンテナンスや修理が必要になります。

問題になるのは修理のためには入手しにくい Jugg Box 固有の部品が
あるということです。生産終了になった半導体(TA7136, BA521 等)が
入手難ということは良く話題になりますが、それよりも深刻な部品が
いくつかあります。

トランスや基板。

通常のアンプならメーカーに修理を依頼しますが、すでにメーカーが
なくなりサービスも終了しているので自分で部品を調達しなければ
なりません。電源トランスや出力トランスはアテネ電機に依頼すれば
修理してくれるようです。(私はいまのところ利用しておりません)

https://www.atenecorp.com/


比較的手軽な部品の調達方法として、使用不能になった個体から
(利用可能な)部品を取り出す、という手段があります。
今のところ Jugg Box はジャンクでなら比較的安価で入手可能です。
ただジャンクであっても、修理する機種と同じ機種が入手難である
こともあります。

最近になって Jugg Box シリーズは共通の基板や部品を使っていることが
わかってきました。個別に修理やメンテナンスを行なっていたので
特に意識していなかったのですが、PW-66 基板に注目しはじめたら
いろんな部品がシリーズを通じて共通であることに気がつきました。
トランスや基板などには 型式 が記入されています。それを集めて表に
してみました。部品取りのためにどの機種を入手すれば良いか参考に
なるかと思います。

ただし部品の型式が同じだからといって完全に互換である、とは
断言できませんのでご利用は自己責任でお願いします。
例えば注意を要するのは Stuff 020G の位相反転・出力段の基板である PW-40A は
シングル出力の 6CA7 をドライブする 12AX7 を搭載するために部品や配線が
変更されています。他の機種の PW-40A とは変更なしには交換はできません。

JuggBox部品表.pdf

追記:
ver. 20200524
初出

ver. 20200606 
リバーブユニットのメーカー欄を追加
ONE, V-1 のリバーブ型式を追加

ver. 20200725
JBX-Jr30 を追加

ver. 20200918
Micro Jugg rev.1, OZ-660 rev.1 追加
JBX-60 FL-106基板 (CH1) 追加

Jugg Box Stuff 060B の回路図を作成したので公開いたします。
ただし回路図は不完全部分がありますので、ご理解のうえご利用ください。

060B はベースアンプです。Jugg Box シリーズですが、真空管でなく
半導体によるアンプです。

回路を採取したのが 10年前で、すでに本体は手元にありません。
(機体の全体写真も撮影していません。)
当時は回路図を公開するつもりはなく、故障したアンプを
修理するために回路を採取しました。
なのであまり興味がなかった LINE OUT や HEADPHONE ジャック周り
(ジャックのスィッチ配線の解読が面倒)が不完全になっています。

それでもスピーカー出力までの回路は採取しているので、修理などの
参考にはなるかと思います。不完全バージョンながら公開することにしました。

なかなか入手が難しい機種でもありますし、図体がでかいので送料も
すごいことになるし、置く場所に困る、などの理由で再入手はご勘弁。

PNG:

プリアンプ部

電源部+パワーアンプ部


PDF:


schematics 060B.pdf

回路図を採取したあと、メンテナンスを行いました。
例によって全ての電解コンデンサの交換と PW-66 基板上の抵抗の交換。
要領は Micro Jugg のメンテナンスと同様なので作業工程は省きます。
DSCN3597A

PA-66 基板を取り付けた後なので、部品交換後の様子は電源部と PW-66 基板しか
みえません。
本当はこのあと電源コードや入力ジャック、リバーブケーブルの交換を行う予定
でしたが、コロナウィルス緊急事態の影響で部品の通販が遅れているようで
ちょっと時間がかかりそう。とりあえずこれで音を出してみることにしました。

ケースに組み込み、スピーカーを接続し、リバーブに繋ぎ、 EL34 を装着。
ギターを繋ぎ電源を ON。異音、異臭はなし。感電もなし。
Stand by ON。異常なし。

コントロールを上げていきます。
いつものようにストラトのフロントピックアップ。
ブライトなトーンが飛び出しました。 Jugg Box のフルチューブシリーズのような
存在感があります。MIDDLE の Level を中点に設定しています。それでも中音が
強調された音がします。ブライトでタイトな音です。 
おそらくスピーカーのキャラクターじゃないかなぁ。
EL34 らしいダークさもちょっと感じますが、よく通りそうな音。
クリーンのまま弾いてて気持ちがよいです。
いやぁ。週末に弾き込んでみたいですね。気に入ってしまいました。

さてメンテナンスも終わり動作確認も終了したので電源電圧を測定します。
+B02 が 460V, +B1 が 420V, +B2 が 295V 。
PA-66 に供給する半導体回路用の直流電圧値が +52V と -56V。
これらの値を追記した電源回路を ver. 20200521 に update しました。

さて、バイアス設定を確認します。
 
プレート電圧 Eb  444V
スクリーン電圧 Eg2 390V

の条件下で
V1  
グリッド電圧 Eg1 -26.7V
カソード電流  Ik 120 mA

V2 
グリッド電圧 Eg1 -26.6V
カソード電流 Ik 126mA

う〜ん。カソード電流が大きすぎる...
でもこれは予想しておりました。回路定数からするとこれくらい流す
設定だろうと。通常の2倍以上流してますけどね。
真空管の寿命は短いだろうなぁ。

すでに回路図は公開しておりますが、回路としての特徴を挙げておきます。

プリアンプ部のトーン回路。
MIDDLE レンジには LEVEL と FREQUENCY の2つのノブが
あります。その関係の回路を抜粋します。
OZ-660 parametric equalizer

この回路だけで OPアンプを3つ(IC 1.5個)使っています。
なにか、といえばパラメトリックイコライザーです。
周波数とレベルにコントロールを絞っています。
初段のOPアンプ HA1457W であまり信号を加工せずに信号増幅し、
その信号から中音(MIDDLE)をパラメトリックイコライザーで
増幅/減衰させます。
取扱説明書には以下のような記述があります。

「この FREQUENCY のツマミは MIDDLE のピーク点およびディップ点を
TREBLE や BASS とは独立に移動させるもので、 LEVEL ツマミにより、
その点でのレベル調節を行うことができます。ツマミを左に回し切ると
ピーク点が 100Hz、 右に回し切るとピーク点が 5KHz まで連続に移動します。」

グラフィックイコライザーは良く知られた装置であったけれども、80年当時は
パラメトリックイコライザーはそれほど一般的ではなかった時代なので、
取扱説明書にもカタログにもパラメトリック〜の記述はありません。

Jugg Box の Stuff シリーズは有名な Fender Tone Stack を使用せず、
オーディオでよく使われているトーンコントロール回路を使っています。
それに対して OZ-660 はパラメータを変更した変形 Fender Tone Stack を
使っています。ちなみに私の blog で公開しているギターアンプ(半導体アンプも
含めて)の回路図を見ればわかりますが、ほとんど変形 Fender Tone Stack を
使っています。
OZ-660 のトーン回路は Bright 付きの変形 Fender Tone Stack と言えると
思います。
OZ-660 tonestack
R117 と VR07(BASS) の間が直結されています。
普通だとここに一つコンデンサがつくのですが、
直結に変更されています。

さて、パワーアンプ部。
位相反転段に関しては Micro Jugg の回路とほとんど変わりません。
変わるのは自動バイアス調整回路のパラメータ。
この機構が採用されているのは Micro Jugg, JBX-40, JBX-60 そして OZ-660。
これらのなかで EL34 は OZ-660 だけ。あとはすべて 6L6GC。
真空管の特性の違いに依存するパラメータに変更があります。

OZ-660 PW-66_1
矢印の部分4箇所が他の 6L6GC の機種と変わります。
注意して頂きたいのは、 EL34 と 6L6GC の接続上の違いがある
1pin です。 EL34 ではサプレッサグリッド(G3) が接続されていますが、
6L6GC では N.C (無接続) になっています。 EL34 では 1 pin は
カソード(8 pin)と接続するのが一般的です。PW-66 基板では
もともと 1 pin と 8 pin が接続されており、 6L6GC と EL34 の
どちらも接続できる設計になっています。これは 6L6GC の機種でも、です。

回路図に示した残り3箇所のパラメータは EL34 に適用させるために
変更されています。6L6GC に比べるとバイアス電圧が浅目の電圧になるように
パラメータが変更されています。D103 のツェナーダイオードは 6L6GC の
20V に対して 15V に替えられています。

いまのところ、 EL34 にどのようなバイアス電圧、アイドリング電流が
設定されるかは測定しておりませんが、後日メンテナンス終了後に
測定結果を示したいと思います。


OZ-660 独自基板の PA-66 を見てみます。

DSCN3590A

今回の個体はほんとうに修理や改造などで手が入れられていなくて、
回路を採取するものとしてはとても有り難かった。
反面、操作ノブも外したことがないような状態で、ノブとシャフトが
固着していました。ノブを外さないことには基板の部品面をみることが
できないので、力任せにノブを引っ張りました。
失敗したのは MIDDLE LEVEL のコントロール。写真右から2つ目の
可変抵抗は20kB 中点付きの特殊なタイプ。シャフトが外れず、もうすこしで
シャフトの軸が可変抵抗本体から外れるところでした。
この部品、壊したら入手困難。可変抵抗を分解してなんとか元に
戻しましたが、冷や汗ものです。
MIDDLE FREQUENCY の可変抵抗もその左側にありますが、
これも入手困難。50kΩ Cカーブの2連ボリュームっておそらく特注。
MIDDLE 関係の可変抵抗は要注意です。

Jugg Box のハイブリッドシリーズといえば TA7136 やら TA7322 やら
今となっては手に入りにくい IC を使っていますが、今回も同様でした。

DSCN3593B

日立の HA1457Wが2つ。8ピンの SIL パッケージ。(2pin は N.C.)
2回路入り OP アンプ 1458 の関係(改良版?)のOP アンプか?と
思ったのですが、関係はなさそう。日立のオリジナルのようです。
データシートは入手できました。HIGH VOLTAGE LOW NOISE
PREAMPLIFIER だそうです。1回路入り。例によって±22V という
高めの電源電圧で動作させています。3 pin と 5 pin の間に 100pF (IC1)
と 47pF (IC2) のコンデンサが接続されていますが、位相補償用ですね。
いまのところ入手できるパーツ屋が見つかっていません。
代替するとなるとやはり 5532 かなぁ。電源電圧ぎりぎりだけど。

電源トランスを示します。
DSCN3523B
ちょっと見にくいですが、307-01193 の型式。
ハイブリッド方式の 60W 機、 Stuff 060G, JBX-60 と共通の電源トランス。
JBX-60 の電源トランスにはもうちょっと詳しく

100V, 360V, 136VA

と記載されたラベルが貼っていました。
とはいえ二次側巻線のそれぞれの電流定格が書かれていないのであまり
参考にはなりません。
それでもこの電源トランスで EL34 x2 を動作させているということは
結構情報になります。
6L6GC のヒーター電流は 0.9A。2本で 1.8A 必要。
対して EL34 (6CA7) は 1.5A。2本で 3.0A 必要です。
ということはこの電源トランスは A電源 6.3V 3.0A は供給可能ということです。

型式名が同じだからといってトランスの仕様がまったく同じとは限らないので、
出力管の種類を替えたりするのは自己責任でお願いします。

さて、シャーシを開けてみます。

DSCN3517A

修理や改造などが施されたあとがありません。おそらくオリジナルの
回路であろうと思います。

プリアンプ部は PA-66 基板。これはこの機種独自のもののようです。
基板の型式(部品番号かなぁ) は 419-52056。
Stuff 060G, 020G が PA-39  419-52046, 060B が PA-41  419-52051,
Micro Jugg が PA-43  419-52061 です。
型式が開発順に付けられているとすると、Stuff シリーズと Micro Jugg 
の間に開発されたモデルと考えられます。
(もっともJugg Box 最初のモデルである ONE, TWO, V-1, BASS-100 の基板は
PA-40 で、上に挙げた順番から外れていますが。)
基板の名称 PA-66 というのは OZ-660 用のプリアンプということでしょうか?
Jugg Box シリーズの順番ではありません。

電源トランスの上部にラグ板による回路がありますが、これもオリジナルの
ままのようです。半導体アンプ用のプラスマイナス電源のための整流回路です。

さて、残りあとの2つの基板。
電源部は PS-40a  424-14066A 。見慣れた基板ですねぇ。
ONE, TWO, V-1, Stuff 060G と共通です。ただし真空管の G1 バイアス電圧用の
負電圧電源は上記の半導体アンプ用の電源と同じものを使うため、
PS-40a 基板内の回路は使っていませんし、該当する部分の部品も
搭載されていません。
Micro Jugg, JBX-40, JBX-60 では PS-101  824-01001 が使われていますが、
この時期に電源基板の見直しが行われたのではないかと想像します。

さあ。位相反転段。
PW-66 ですねぇ。見慣れてしまいました。 418-24076 です。
Micro Jugg, JBX-40, JBX-60 でも使われている、自動バイアス調整回路が
搭載されている基板です。改良版の 418-24076e ではありません。
また、Micro Jugg の PW-66 では部品面に部品番号( ”R18" など)を
書いているシルクスクリーン印刷がありましたが、この個体のものには
印刷されていません。ということは最も古いバージョンの PW-66 かも
しれません。
またプリアンプ部の基板と同じ番号 66 が使われていることを考えると
PW-66 基板は OZ-660 のために開発された基板なのかもしれません。

これらの部品番号の情報からすると日本ハモンドでの開発は
Stuff シリーズ -> OZ-660 -> Micro Jugg -> JBX シリーズ
という順番でなされたのだろうと想像します。
また OZ-660 と Micro Jugg はほぼ同じ時期の開発のようですが、
OZ-660 の方が少し前だったと考えています。

もしかしたら 60W クラスの Micro Jugg として開発が進められたのかも、
などと想像するのは楽しいですね。

背面パネルを外すとこんな感じ。

DSCN3508D

HELLFLAME スピーカーがやはり目立ってしまいますが、
出力管 EL34 (6CA7) と出力トランス、リバーブユニットが見えます。
シャーシの背面部は黒く塗装されています。 この写真には写っていませんが、
ヒューズと AC アウトレットとの間に英語で注意が印刷されています。

CAUTION
TO PREVENT ELECTRICAL SHOCK, 
DO NOT REMOVE BACK.    .....

21世紀の現在だと良く目にする定番の注意ですが、1980 年前後で
こんなことを書いている電気製品ってあったかなぁ。
もしかしたら輸出向けに開発されたのか?

出力トランスには型番を示すラベルがあり、307-03012 が記載されています。
これは Jugg Box シリーズの 60 W クラスの製品と共通の型番。
 ONE, V-1, Stuff 060G, JBX-60 で使われているものです。
同じ出力トランスを EL34 プッシュプルで使っているということですね。
ということは上に揚げた 60W クラスの Jugg Box でも定数を変えれば
6L6GC から EL34 に改造できそうです。面白そう。

リバーブユニットには HS-300GCD の記載。
Stuff 060G, 020G が HS-300ACG, Micro Jugg が HS-300ACD, JBX シリーズは
HB-804 GCD なので、これは他の機種と違うもののようです。


OZ-660 の背面はこのようになっています。

DSCN3502B

OZ-660 の発売は 1980 年のようです。
日本ハモンドの昭和55年6月のカタログに初登場。
取扱説明書が付いてきましたが、印刷が "Printed in Japan 197909-03A"
Micro Jugg の取扱説明書は "Printed in Japan 7906-05A"
OZ-660 の方が後かもしれません。

カタログによると当時の定価が 89,000 円。
仕様と特長を取扱説明書から抜粋します。

仕様:
出力 60W (RMS) 8 Ω負荷
スピーカー HELL FLAME  SD-1265
真空管 6CA7  x 2
消費電力 80VA (規定ヒューズ 2A)
外型寸法 500(W) x 442(H) x 260(D) mm
重量 23kg

特長:
(1) メインアンプ部に真空管、プリアンプ部には IC を採用。
(2) 新開発のオリジナルスピーカー「ヘル・フレイム」搭載。
(3) 3 ボリューム・コントロールと FREQUENCY(フリケンシー)
を含む 4 トーンコントロールが、多彩な音創りを可能としまし
た。
(4) 定評のあるオリジナルリバーブユニット。


Jugg Box シリーズと異なるのは (2) と (3) でしょうか。
今回入手した個体は真空管(Sovtek EL34)以外はまったくのオリジナルの
ようでした。
HELL FLAME スピーカーがこちら。
DSCN3504C

スピーカーバスケットがアルミダイキャストです。ごつい。
ALTEC 417-8H を彷彿とさせます。
ただこの時期以降、Jugg Box シリーズに ALTEC が搭載された
新製品は出ていません。

「長年の研究開発の結果、完璧なまでの特性を備えた『ヘル・フ
レーム』を完成。」

とカタログにも取説にも記載されています。
相当な自信作だったのか。でも以降の Jugg Box には採用されていません。
コストが高すぎた?

この時期は Roland の R&P, Guyatone の GHV-3 など、ギターアンプ用
スピーカーの開発が盛んでした。

実は R&P の OEMではないかと思っていました。
以前、修理したJugg Box Stuff 060B (ベースアンプ) に 15 インチの
R&P C-1238B がついていたことがありました。ユーザーが後から付け替えた
可能性もないとは言えませんが、修理や改造された形跡がない個体でした。
(なので Roland からの部品供給があったのかとちょっと驚きました。) 
なので 12 インチの R&P C-1230 (¥23,000) かと思っていましたが、
実物とかなり形が違うことがわかります。
MADE IN JAPAN とあるので、Guyatone の GHV-3 のように外国メーカーとの
共同開発ではなさそうです。

なかなか謎が深いです。

日本ハモンドの真空管アンプ OZ-660 の回路図を採取しましたので
公開いたします。

同じ日本ハモンドの製品ですが、 Jugg Box シリーズではありません。
ところが回路図を見ていただければわかるように
Jugg Box シリーズと共通な基板や部品、回路方式を使っています。
おそらく開発チームは同じでしょう。

Jugg Box と同じカテゴリーに分類することにします。
詳しくはこれ以降に説明いたします。

20200919 追記:
複数の OZ-660 の回路を検証したところ、初期バージョン(Rev.0)と
後期バージョン(Rev.1)があることが判明しました。よって回路図を
Rev. 0 と Rev. 1 の2種類を併記することにします。

回路図
Rev. 0 
PNG :
電源部
プリアンプ部
パワーアンプ部


PDF :


Rev. 1
PNG :
電源部
プリアンプ部
パワーアンプ部

PDF :


schematics Rev. 0 OZ-660_r0.pdf
Rev. 1 OZ-660_r1.pdf

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