1980年のホラー映画『シャイニング』に隠された秘密が、43年越しに話題を呼んでいる。ジャック・ニコルソン演じる主人公のジャック・トランスが映画中、奇妙な行動を繰り返しているという。
問題の行動は、ニコルソンの目の演技だ。ストーリー上は本来そこに「ない」はずのカメラのレンズを、ニコルソンはあえて凝視している。見開いた目で明らかに観客を見つめるが、その時間は1秒の数分の1と非常に短い。
ソファに座っての会話中や、立ちながらの談笑中。また、追い詰められ憎しみの表情を浮かべながら、ひいては階段を駆け上がり格闘シーンを演じるさなかでさえ、カメラへの不気味な視線が止まらない。
不気味なイメージを増幅
見つめる時間はあまりに短時間だ。とりわけ意識していない観客の多くは、おそらくは違和感すら抱くことがない。それでいて無意識下に、不気味な印象を残す。名作『シャイニング』の根底に流れる、淀んだ不気味なイメージを増幅しているかのようだ。
英インディペンデント紙は今年10月、「これまで誰も気づくことがなかった、ジャック・ニコルソンの新たなディテールが明らかに」と題して本件を取り上げている。
記事によるとカメラを一瞬凝視する演技は、『シャイニング』の撮影でメガホンを取ったスタンリー・キューブリック監督が意図して実施させたようだ。
同紙は、撮影の舞台裏を明かした番組『Making 'The Shining'』において、ドアを斧で破壊する有名なシーンの撮影の舞台裏が収められていると指摘。破壊の直前のシーンで、キューブリック監督がニコルソンに対し、カメラを一瞬見るよう演技指導を施している様子を確認できる。
発見者のポストは600万回表示の話題に
本件はもともと、エッセイストのフィリッポ・ウリヴィエリ氏が発見し、今年5月にX(当時のTwitter)で明かした。投稿は600万回以上表示され、2.2万件の「いいね」を集めている。
ウリヴィエリ氏は、50個のポスト(ツイート)からなる長文を投稿。「スタンリー・キューブリックの『シャイニング』で、奇妙なことが起きていることに気づいた。確かに『シャイニング』には奇妙なことがたくさんあるが、これは本当に奇妙だ」と切り出し、多くのシーンの実例を動画で挙げている。
氏が取り上げた各カットでは、ニコルソン演じるジャックがカメラを見やる。短くて数コマ、長くても2秒に満たない程度だ。誰もいないはずの廊下を歩いている最中にカメラを直視したり、大勢での談笑中、誰もいないはずの方向にあるカメラを突然凝視したりと、不自然な行動が続く。
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