柔軟剤や化粧品などに含まれる人工的な香料の化学物質が原因で体調不良を引き起こすいわゆる「香害」を巡って、兵庫県宝塚市はこのほど、同市内の小中学生の保護者を対象にしたアンケート結果を公表した。それによると、市内の全小中学生の約5%が人工的な香料を不快に感じたことがあり、1.4%が体調不良を起こしたことがあると回答した。自由記述では、各家庭で洗濯する共用の給食用エプロンの扱いや、学校行事で来校する保護者の香水などについて言及があった。
アンケートは、市内の全小中学生の18.3%に当たる3087人(小学校2223人、中学校864人)が回答。結果によると、子どもが人工的な香料(化学物質)を不快に感じたことがあると回答したのは、全児童生徒に対し小学校で5.0%、中学校で5.3%だった。同じく体調不良を起こしたことがあると回答したのは、小学校で1.4%、中学校で1.5%だった。
自由記述では給食用エプロンの扱いや学校生活への配慮について、462件の意見が寄せられた。
給食用エプロンを巡っては、共用ではなく個人持ちにしてほしいという意見が32件あり、「他の児童生徒と共用のため、前に使用していた児童生徒の家庭が洗濯時に使用した柔軟剤などの臭いが強く、頭痛や吐き気など気分が悪くなる。柔軟剤などの臭いは児童生徒だけではなく、同居する家族にも影響がある」「過敏症でなくても不快になるほどの香りがある。洗濯後もきつい香りが残っているため、気持ち悪いと感じていた」などの声があった。
また「オープンスクールや参観日などで香水や整髪料をつけて来られる保護者の方も多々いるので、影響があるのか心配している」「学校説明会で隣に座っている人の香水で気分が悪くなったことがある。あまりに臭くて一日中、頭痛が治まらなかった」など、学校行事で来校する保護者に対しての要望もあった。
一方で「人の集まる場所ではなるべく香料を避けたいとは思うが、全くなくすのは難しいと思う。お互いを尊重して暮らしていきたい」「過敏症に過敏になり過ぎている現状にも窮屈さを感じる。体調に関する事なのでシビアにならざるを得ないが、各家庭への嗜好(しこう)までにも制限を設けて良いものでもないと思う」など、配慮することへの課題も挙げられた。
これらの結果を受け、市教委では新学期の開始を目途に各学校経由で保護者に対し、▽参観日などの学校行事では、香水や整髪料などの使用に配慮する▽給食エプロンなど他の児童生徒も使用する衣類の洗濯には、香料を含むものの使用を自粛する――などを呼び掛ける方針。
市教委の担当者は「学校生活の中で、困っている子どもが一定数いることが分かった。(香害や化学物質過敏症については)まだエビデンスも少なく難しい問題だが、引き続き実態を調査しつつ対応していきたい」と話している。