「腕力と魔力は見た。あとは……何かあるか?」
ロレーヌがそう言ったので、俺は言う。
「そうだな……一応、リナは俺から血を受けたってことで、眷属扱いになるんだよな?」
「一般的な
言いながら、ロレーヌはイザークを見る。
ロレーヌも色々と
イザークは頷いて、
「そうですね。基本的にはそういうことになるかと。例外としては、眷属側の力量が主を上回った場合には独立されることもある、ということでしょうか。これはあまり人の間では知られていないかと思いますが……」
そう言ってロレーヌを見る。
ロレーヌは、
「確かに、初耳ですね。まぁ、人族にとって調べようのない情報だからということでしょうが……ちなみによくあることなのですか?」
「あまり、ないことですね。かなり難しいことですから。眷属が地力を上げても魔力や血は主に徴収されるものですし、そうなると普通ならば無理です。例外として、主の方がそれを推奨している場合には不可能ではないでしょうが、そこまで余裕がある
「なるほど……ちなみに徴収とは?」
「眷属が得た血や魔力を主は強制的に奪うことができるのです。これだけ聞きますと、一般的な、奴隷のように
それはデメリットもありそうだが、人間の血なんて得ようと思っても難しいものだからな。
主の方はそういう能力を使って、眷属を支配している、ということかな。
「俺にも出来るのかな、それって」
俺がそう言うと、イザークは少し悩み、
「それははっきりとは……。しかし、血を摂取する魔物であることは同じであるわけですし、眷属を得られるのも同じでした。眷属とて血は必要でしょうし……
と尋ねられた。
今までは……こいつにもロレーヌの血を与えていたが、体の大きさが俺と違うからか消費量も俺よりずっと少ない。
一滴の血で三日はもつくらいだった。
そうイザークに言うと、
「レントさんは極端に血の摂取量が少なくて済むタイプのようですから、エーデルさんもそうなっているのかもしれません。それか、勝手にレントさんから補給している、ということも考えられますが」
聞き捨てならないことを言うイザーク。
勝手に?
「それはどういうことだ?」
「主の方が特に制限していないのであれば、眷属は主から血や魔力の補給を自由に受けられるのですよ。ですから……」
エーデルもそうしているのでは、というわけだ。
なるほど、心当たりはある。
魔力や気、聖気を勝手に持ってかれたことがあったからな。
血も同じということだろう。
俺は補給基地か……。
まぁ、いいけどさ。
しかしエーデルにできるなら……。
「リナも出来るのか?」
リナにそう尋ねてみる。
リナも出来ると考えるべきだろう。
というか、初めに聞こうとしていたのは、これだ。
リナも、エーデルと同じように俺の魔力などを活用したりできるのか。
出来るとすれば、かなり便利で、リナの力の底上げが出来る。
やっぱり魔力なんかは何をおいてもとりあえず量があることが大事だからな。
その意味で、かなり多めの魔力を持つようになった俺から魔力を持っていけるのなら、リナにとってもいいはずだ。
魔物になってしまったわけだし、どんな場合に誰に狙われるかもわからないからな。
「……うーん。分かりません。どうやってやれば……」
リナは俺の質問にそう返してくる。
しかし、俺の肩に乗っていたエーデルがぴょん、とリナの頭の上にジャンプして、ぺしぺしとそのおでこを叩くと、
「……はっ!? ええと、はい……な、なるほど……こう、ですか?」
と独り言を言い始めた。
そして、その直後、俺の体の中にある魔力が若干目減りする。
「……ふむ。リナの魔力が増えたな?」
ロレーヌがそう呟く。
俺はリナに尋ねる。
「……出来たのか?」
「えっ? あ、はい。なんだかエーデルさんがやり方を教えてくれてですね……」
聞けば、エーデルが頭に乗っかってその意志が伝わって来たのだという。
そして、その内容は、俺から魔力などを引っ張るにはどうすればいいのか、その方法についてだったと。
いわく、コツとしては一切遠慮せずにもぎ取る感じでがばっとやるといい、という話だった。
……遠慮しないのか。まぁ、結果としてそんなにたくさんの量は取られている感じはないから、正しいのだろうが。
俺の肩に戻って来たエーデルに尋ねると、慣れるまではそんなにたくさんは俺から力を引っ張れないらしい。
ただし慣れればどこまででも行ける、という。
結構危険な話だが……と思っていると、俺の許可がない限りは無理だからそこは主としてうまいこと調整してくれと言われた。
上司力が試されているのかな。
偉そうな鼠と素直そうな若い女の子が部下か……。
よくわからない組み合わせだよな。
まぁいいか。
それより、リナについては魔力だけじゃなくて、聖気の方はどうかも試したいところだ。
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