まぁ、流石に実験動物も食料も冗談だが。
……冗談だよ?
たぶん。
実際に実験もされるし食料にもされると思うけど。
ともかく、確認を続けなければな。
俺の魔力についてはもういいだろう。
かなり上がった、ということが分かる。
まぁ、それでもまだまだ、上には上がいるくらいでしかないだろうが、銅級だったころの俺と比べるとな……。
大体百五十レントくらいにはなったんじゃないかな?
いや、適当だけども。
級で言えば金級の平均値くらいはあるかもしれない。
ただ、魔術の方は未だに大して使いこなせていないから、魔術師としての腕は銅級クラスの魔術師にも負けるだろう。
……いいんだ、総合的に見て、それなりならさ……。
「まぁ、あまりレントを手本にする必要はない。あいつは、色々と変わっているからな。もちろん、あいつを何かの平均値とかにするのは間違いだ。平均値を出すときには、常に異常値として弾かれるようなタイプだからな」
ロレーヌがリナを慰めるようにそう言う。
……確かに俺は何かの平均を出すのに使う数値として妥当なものを出せるような感じじゃないけど、もうちょっと柔らかく言ってくれても……と思わなくもない。
まぁ、それは別に今に始まった話でもないからいいのだが。
こうやって
ふつう、俺くらいの腕だったらさっさと諦めて別の職業に就くか、同じくらいの実力の者たちと組んで、適度な仕事を効率よくずっと続けて日銭を稼ぎ続け、目標金額が貯まったら抜けて、宿屋なり行商人なりにクラスチェンジ、というのがそれこそ平均的な生き方だからな。
昔仲良かったけど芽が出なかった奴らは大抵そんな風になっていった。
あいつら元気かなぁ、とたまに思わないでもない。
マルトに居残っている奴は少数派なのだ。
やっぱり冒険者になる時点で、風来坊気質というか、自由に世界を回りたいみたいな感覚があるのか、生まれた街や拠点に居つく奴は少ないのだった。
……話が逸れたか。
「……でも、私も
リナが意外にも冷静にロレーヌにそう尋ねた。
……いや、そんな意外でもないか。
初めて俺と会った時も、最初は驚いていたし腰が引けていたところもあったが、一度受け入れたら俺よりもアグレッシブだったからな。
こんな枯れた死体なおいらじゃ、街なんかいけねぇよ……と意気消沈に近かった俺に、全然いけると言い続けたのは誰あろう彼女である。
前向き、という一点においては、俺よりも遥かにリナの方が上なのだ。
ロレーヌも、そんなリナの性格が見える台詞に、ほう、という顔をし、それから答える。
「まぁ、レントから血を受けているわけだから、その可能性はあるな。それは試してみれば分かることだ……そう言えば今更というか、落ち着いただろうから尋ねるが、リナは
ロレーヌの質問にリナは、
「あぁ……そう言われると、そうですね。普通ならもっと混乱しそうです。でも、私はレントさんに会ってますから。魔物になっても、
それを聞いて、ロレーヌは納得したようにうなずいた。
「衝撃は
ロレーヌがイザークにそう話を向けると、彼は頷く。
「私は生まれつきの
「ほう……レントとリナはかなり珍しい例外かと思っていましたが、今でも
「主もおっしゃっておられましたが、伴侶を作るときが稀にありますから、そういうときには。ただ、それほど聞きませんね。現代の
前者の方については全く分からないが、後者の方……戯れに、という方は稀にうわさなどで聞く。
と言っても大体が嘘や勘違いだったりするのだが、
魔物との間の子だ、と言って田舎の村で迫害されていたりするのだが……調査してみると別に
本物の
少なくとも俺は見たことがないな。
俺が見たことのない魔物など、数えきれないほどたくさんいるけれども。
ただ、こういった偽
なぜかと言えば、さっき言った魔眼とか魔力が多いとかいうところが、魅力的だからだ。
それは、別に生贄にするのにちょうどいい、とか、魔眼を取り出して移植するために、とかいう物騒な話ではなく、普通に弟子を欲する魔術師や騎士団とか国軍とかが、将来有望な存在を発見するために活用できるからだ。
まぁ、本当に魔眼持ちや多量の魔力を持つ者がいるということもそう多くはないんだけどな。
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