「……レントか」
先ほどまで
この場でさっきの顛末を俺が見ていたことに気づいていたのだろう。
「辛い役目だったな」
月並みな台詞だがそう言うと、ウルフは首を横に振って、
「マルト
その言葉には、マルト
こういう人物がマルトの
それにしても、
「やっぱり、あれはマルトの冒険者だったんだな」
俺はそう言った。
途中から見ていて、それほど細かくは状況を理解していなかったが、なんとなく推論していたことだったが、ウルフの口からはっきりとそう言われたのでそれが正しかったことが分かったからだ。
ウルフは頷いて、
「……あぁ。最近問題になってた新人冒険者の失踪……その被害者の一人だ。そこで泣いてるのは一緒に冒険者をしてた娘だ。ある日突然姿を消して、それっきり……だったんだってよ。だが……」
「
「ま、そういうことだ。酷い話だぜ。もっと俺みたいな、未来もくそもねぇ奴を狙うならともかくよ。よりにもよって……これからってやつを狙い撃ちにするなんて……やりきれねぇぜ」
俺が件の
弱いものを狙う、これは狩人としては合理的だろうが、人として許容できない。
新人冒険者なんて言うのは、まだ色々な勝手の分かっていない、子供ばかりだ。
そんな奴らをあえて狙うようなのは……卑怯者だ。
そういう感覚が、ある。
それからウルフは、俺に尋ねて来た。
小声で、周囲に聞こえないように、
「……念のため、聞いておくけどよ。
先ほど、少女に向かってそんな方法は存在しない、という前提で話していたウルフである。
しかしそれでも、可能性はゼロではないとは思っていたのだろう。
なにせ、俺と言う分かりやすい見本があるからな。
けれど……。
「残念だが、その方法を俺は知らないな。それに、俺が……
先ほどの少年は明らかにウルフの質問にうまく答えられていなかった。
自分が
しかし俺の場合は、全く違う。
はっきりと意識があり、自分が
魔物としての衝動がゼロだった、とは言えないが、それでもロレーヌに襲い掛かった以外は衝動を抑えることも出来ていた。
そして今は血を食べているにはいるが、人に襲い掛かろうとは思わない。
けれど、あの少年は、捕まる前はここで暴れていたというのだから、俺とは根本的に何かが違うのだろう。
俺の答えに、失望と安心のないまぜになったような顔をしたウルフ。
それは、
助けられる方法があるのに、殺してしまったのでは何にどう謝ればいいのかわからないもんな。
それでもあの場ではああする他なかっただろうが……。
俺が
かなり危ない橋を渡っているのだ。
「……そうか。分かった。安心したよ……あぁ、それとな。色々と情報が集まってきてる。聞いてけ」
ウルフがそう言って、俺に今の街の状況を教えてくれた。
ある程度はエーデルの視点共有などによる情報収集で分かってはいるが、分析力と言う面では
俺とエーデルだけで状況を整理しても、中途半端な部分が否めないからな。
その点、
それによると、まず、
その中には先ほどの少年のように、新人冒険者だったが失踪して姿の見えなくなった者もいて、
そのため、今は
流石に、自分のアジトの周りに密集させる、みたいな分かりやすいことはしないようだ。
それでも
ウルフは続ける。
「まぁ、それでも
「なんだ?」
「
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