アッ!この顔見たことある!!自称・桐島聡容疑者の身柄確保　逃亡49年　連続企業爆破メンバー　

　1974～75年に起きた連続企業爆破事件の一つに関与したとして、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されていた過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー桐島聡容疑者（70）とみられる男を警視庁公安部が発見し、身柄を確保したことが26日、捜査関係者への取材で分かった。男は神奈川県鎌倉市の病院に入院中で「桐島聡」を自称している。公安部は病院で事情を聴いており、DNA型鑑定などで身元の確認を進めている。

　桐島容疑者は75年4月、東京・銀座の韓国産業経済研究所入り口ドア付近を手製の時限爆弾で爆破した疑いで翌5月に指名手配され、約49年間逃亡していた。71年の渋谷暴動事件で警察官を殺害して指名手配され、17年に逮捕された大坂正明被告の46年を超え、最も逃亡期間が長い。指名手配容疑の共犯者として国際手配されている大道寺あや子容疑者（75）らが海外逃亡しているため、時効が停止している。

　捜査関係者によると、男は今年に入り偽名で入院していたが、25日になって病院関係者に「桐島聡」を自称。末期がんの治療中で、病状が深刻なことから「最期は本名で迎えたい」と話しているという。桐島容疑者の手配写真は若々しく長髪で笑顔を見せていたが、発見された男の写真を見た捜査幹部は「面影はなかった」と説明。本人と確認された場合、公安部は逮捕や勾留に耐えられるのかどうか、医師の意見を聞いて慎重に見極めるとみられる。

　桐島容疑者は武装戦線で一度も逮捕されていない唯一のメンバーだった。指名手配の捜査資料によると、桐島容疑者は逃走直前まで新宿・歌舞伎町の飲食店でアルバイトをしていた。75年5月20日に東京都渋谷区の金融機関で現金を引き出し、同31日に広島県の実家の父親に「岡山に女と一緒にいる」と電話したのが最後の動向確認となった。かつて行方を追った警視庁公安部OBの70代男性は「死んでいると思っていた。一体どうやって生活していたのだろうか」と衝撃を隠せない様子。「逃走に一生をささげた人生を思うと、哀れみも覚える」と複雑な心境を吐露した。

　▽連続企業爆破事件　東アジア反日武装戦線が旧財閥系企業や大手商社、ゼネコン社屋などを標的に起こした一連の事件。日本をアジア侵略の元凶とし、侵略に加担しているとみなした三井物産や大成建設、鹿島建設などの企業を狙った。三菱重工の爆破では爆薬約55キロの爆弾を使用した。

　▽東アジア反日武装戦線　1970年代に爆弾テロを行った武闘派テロ集団。「狼」「大地の牙」「さそり」の3グループで構成。反日亡国論やアイヌ革命論などを主張し、74年には昭和天皇の暗殺をもくろんだ「虹作戦」を実行するも未遂に終わった。連続企業爆破事件では75年に8人が一斉逮捕され、桐島容疑者とともに一斉逮捕を逃れた宇賀神寿一氏（71）は82年に逮捕された。75年に発生したクアラルンプール事件と77年のダッカ事件による超法規的措置により3人が釈放され、現在も大道寺あや子、佐々木規夫の両容疑者が国際手配されている。