金属製の武具を持っている
エーデルの周囲を囲んでいる
それに比べ、
それこそ、冒険者で言うなら
それに加え、
もちろん、
それでも三匹いれば十数体は統率できることになるのだから、甘く見ていい相手でもない。
しかも、彼らの泣き声は仲間を呼ぶもので、遠くまで届くために倒すのに時間をかけると命取りになるのだ。
「……エーデル!」
だから俺は、そんな
その意味は自明で、出来るだけ素早く倒そう、と考えたからに他ならない。
それはエーデルにも思念で伝わり、
「ヂュヂュッ!」
と一鳴きして、俺が絞りを緩めた力を吸収していく。
全く手加減なく力を奪っていくので、もう少し遠慮しろ……と思うも、この状況ではそんなことをしている余裕がないと言うのも分かる。
俺と、エーデル、その気配が突然変わったことに気づいたのか、エーデルを獲物としてしか見ていなかった
しかし、遅い。
すでに直前まで迫っていた俺は、三匹の
ほとんど不意打ちに等しい攻撃で、しかし、それでもその
――やるな。
と思ったし、速攻で勝負を決めるという訳にはいかなさそうだな、と感じないでもなかったが、しかし、それはあくまで俺が一人で戦っているのならの話だ。
俺の方を向いて、俺の剣に気を取られたその
なぜなら、視界が俺の方に向いていたはずなのに、気づいたら体が空中に投げ出されるような格好で、空を見ていたからだ。
どうしてそんなことになったのかと言えば、それは、エーデルがその
人を凌駕する巨体と、金属製の武具を得た代償に、その体は酷く重く、支えを失った瞬間に面白いくらい簡単に倒れたのだ。
そのまま地面に頭をぶつけ、このままではまずい、とその
先ほどとは体勢が異なるうえ、剣の握りも甘く、即座に剣を滑り込ませることも出来ずに、
飛んでいく首、噴き出す血液。
それを見ながら、あぁ、あれもあれで美味しいんだよな、勿体ないな、と思うが、ここで戦闘を中座してごくごく飲むわけにもいかない。
それに、ここまででほんの十数秒だが、他の二体の
ただ、たった今倒した個体こそが、この三人組を統率している個体だったのだろう。
俺とエーデル、どちらを狙うべきか悩み、各々別々の方を狙って突っ込んできた。
これは、俺たちにとっては非常に都合のいい挙動に他ならない。
単純な腕力よりかは速さや工夫を重視して戦っている俺や、元々体躯の小さなエーデルにとって、単純な質量で攻めて来られるのが一番嫌だからだ。
一匹しか向かってこないなら、いくらでも戦いようがあり、一人でも何とかすることは可能である。
向かってきた
金属製の小手を嵌めているため、切り落とす、というわけにはいかなかったが、その衝撃は
慌てて拾おうとする
二撃目を打ち込むべく剣を引き、
しかし、流石に
俺を馬鹿にしたように笑う
けれど、その動きは
きれいにまっすぐ飛んでいった剣は、そのままエーデルが対峙している
「ぷぎぃ!」
と痛みに苦しむ声が聞こえ、またエーデルから、よくやった、という思念が飛んでくる。
お前は俺の上官か。
いや、それはいい。
ともかく、完全な無手になってしまった
豚の癖に、見上げた戦士魂だった。
まぁ、だからと言って手加減はしないのだが。
俺は、そんな
もはや防御するための剣はなく、手甲でもってどうにかしようとしていたが、絶対的にリーチが足りない。
俺の剣は
飛び散る脳漿に、これが美味しいと言う人もいるんだよなぁ、と思ったが、そこまで気を遣って戦うのは難しかったので仕方がない。
強化をもっと上げれば行けただろうが、今日の探索はここで終わりというわけではないのだ。
一匹目については脳みそも食べられる状態で残っているので、それで許してもらおう……。
それにしても、魔物の生命力というのは強く、脳天を叩き割られてもまだ、動いている。
流石に俺に攻撃を加えるような判断能力はもはやのこっていないようだが、滅茶苦茶な挙動で暴れまわっている。
とどめを、と思い、俺は剣に気を込めた。
やはり、首を切り離すのが一番、動きを止めるのによく、俺はそのように剣を振るう。
――終わったな。
やはり、
余裕を持って
――ずがっ!
と大きな音が鳴り、少し離れた場所でエーデルが
俺の先ほどのお願いが効いたのか、回転体当たりではなく、魔術による斬撃で首を切り落としていた。
ぐらりと倒れて、しっかりと命が断たれたことを示している。
……
俺はその光景を見て、そんな風にも思ったのだった。
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