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27年加入内定の塩貝健人が宮崎キャンプに合流。横浜F・マリノスから始まる異例の挑戦「日本代表の上田綺世選手みたいに…」【期間限定無料記事】

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「大学1年生でプロ内定」は極めて異例だが…

 横浜F・マリノスは1月25日、慶應義塾大学ソッカー部に所属する塩貝健人の2027シーズン加入内定とJFA・Jリーグ特別指定選手認定を発表した。

 大学1年生にもかかわらず「プロ内定」が決まるのは、極めて異例のこと。マリノスはU-19日本代表にも選ばれている逸材FWをいち早く確保し、慶應大とともに大切に育てていく構えだ。

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(撮影:舩木渉)

 塩貝は1月26日からさっそくマリノスの宮崎キャンプに合流。午前、午後と2部練習をこなし、キレのある動きを披露した。すでに昨年から練習参加の機会があり、多くの選手と面識があったため、スムーズにチームに馴染むことができたようだ。

 そして、午前の練習後にはマリノス加入内定後初めての取材に応じ「(加入内定は)早いと思うんですけど、サッカーでは学年は関係ない。1年生でも自分の実力があれば(試合に)出られると思います。同じポジションの選手たちの壁は高いですけど、そういう選手たちをどんどん食っていって、出られるようになって、もっと上にいきたいと思います」と力強い意気込みを語った。

 マリノス加入を決めた理由は「攻撃的なサッカーというイメージがあったので、自分にぴったり」と感じたから。「ここにいる選手を見ていても、タイプ的には自分と似ている選手が多いのかなと。個で剥がせるところは自分と似ている」と、パフォーマンスへの自信も口にする。

 確かに身長180センチ体重77キロという堂々たる体格は、プロ選手たちの中に入っても全く見劣りせず、むしろマリノスの中でも目立つほど。1対1の練習ではトップチームの選手を吹っ飛ばす姿も見られ、個での打開力の高さの片鱗をのぞかせた。

センターFWとして目指す高み「点を取りたいです、絶対に」

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(撮影:舩木渉)

 狙うのは1トップの座だ。前線ならどこでもこなせるが「自分はセンターFWで上にいきたいという想いが強い」と、アンデルソン・ロペスや植中朝日らに挑戦状を叩きつける。「一番の武器は得点力」と語る通り、昨年の関東大学サッカーリーグ3部では17試合出場15得点で得点王に輝き、慶應大を2部昇格に導いた。

 それでも塩貝は「フィニッシュの精度は自分の課題」と語り、向上心や野心をむき出しにしている。

「昨年も大学リーグでシュート数は圧倒的に多かった(17試合で55本)んですけど、得点ランキングではなかなか2位との差をつけられなかった(2点差)のはフィニッシュの精度(が課題だから)。代表などに選ばれても、自分のその課題は痛感しているので、決定力を伸ばしていければもっと評価される選手になるのかなと思います」

 もともとリーグ戦での目標は「30得点」だったという。それも「全然いけた数字だった。思うようにゴールを決められなかった」と悔しがるのが、塩貝らしさだろう。2023年はプロ内定につながったシーズンだったが、「昨年は大学リーグにおいてはあまりいい年ではなかった」とまで言う。そして、今年の目標は昨年よりもさらに高い。

「今年はどんどんそこ(フィニッシュの精度)を伸ばしていって、2部で30得点(を取りたい)。次はレベルが高いと思うんですけど、その数字を出して、Jリーグでもゴールを決められればいいかなと。点を取りたいです、絶対に」

日本代表FWを指標に「彼を超えていきたい」

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(撮影:舩木渉)

 とはいえ、当面は基本的に慶應大で活動していくことになる。マリノスへの帯同機会は大学リーグのスケジュールなどとの兼ね合いで限定的なものになりそうだ。宮崎キャンプへの帯同も1月28日に行われる大分トリニータとの練習試合までの予定になっている。

 塩貝は今年から慶應大ソッカー部の監督を務める、マリノスOBの中町公祐氏について言及しながら大学とJリーグを並行して戦っていくことへの自らの考え方も話してくれた。

「もともと中町さんは高卒でプロに行って、また大学に戻ってきてやっていた選手で、それでもチームの仕事をして、チームへの献身性は一番だったと前の監督から聞いています。自分はプロでも大学サッカーでもやるということで、他の選手が練習している時に、自分は参加できないかもしれない。なのに試合だけは大学で出るみたいなことは、自分だったら納得できない。それを納得してもらえるように、日頃から献身的にやっていければ慶應の選手からも信頼を得られると思うので、そこは意識的にやっていこうと思います」

 才能はピカイチで、すでにJリーグでも十分に活躍できるだけの実力がある。「上がある限り、その上を目指していきたい」と向上心にあふれる18歳がどのような成長曲線を描いていくか。キャリアパスの1つとして参考になるのは、法政大学在学中から特別指定選手として鹿島アントラーズで活躍し、現在は日本代表でエース格に成長している上田綺世だろう。

 塩貝には上田のように大学サッカー部を途中退部するつもりはないようだが、同じストライカーとして指標とする存在になっている。「今、日本代表のFWは上田綺世選手だと思いますけど、彼みたいに……上田選手以上を目指すんですけど、彼みたいなルートでどんどん上にいって、活躍できるような選手になりたいです。彼を超えていきたいです」と目標は非常に高い。

目標は大きく、高く

 まずは大分との練習試合でアピールし、ハリー・キューウェル監督の目に留まることができるだろうか。期待は高まるばかりだが、塩貝はあくまで目標を高く設定して異例の挑戦に臨もうとしている。

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(撮影:舩木渉)

「大学リーグではチームとして1部昇格を目指しているので、その中で個人としても今年は30点を決めたいし、昨年はアシスト王を獲れなかったので、それも獲りたいなと。1部では中村草太選手(明治大学3年)が得点王とアシスト王を両方獲っていたので、僕もそうやって全部獲りたい。そこを目指しながら、マリノスでは絡める限りどんどん試合に絡んで、出た試合では全試合で点を取っていきたいなと思います」

 風貌はどこか上田に似ていて、独特の雰囲気を醸し出している。ハンターのような眼光の鋭さには威圧感すらある。結果へのこだわりも強く「ゴールを決めていれば結局何も言われない。自分は人に何かを言われることが好きじゃないので、結果で黙らせたいという想いでやっています」とまで言うほどだ。

 塩貝はロペスらとの競争の中でどれだけの存在感を発揮してくれるだろうか。マリノスで強烈なインパクトを残せば、想像もしなかった未来が拓けてくるに違いない。

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フリーランスのサッカージャーナリストとして活動する舩木渉が、横浜F・マリノスの練習取材レポートを中心にJリーグや女子サッカー、海外組日本人…

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1994年生まれ、神奈川県出身。大学1年次から取材・執筆を開始し、現在はフリーランスとして活動する。世界20カ国以上での取材を経験し、単なるスポーツにとどまらないサッカーの力を世間に伝えるべく、Jリーグや日本代表を中心に海外のマイナーリーグまで幅広くカバーする。
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