私が懸けるは憧れの果て


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作:折本装置
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『お兄ちゃん、ちょっといい?』

『うん、何だ瑠美?』

『お兄ちゃん、ベルセルク・オンライン・パッションってゲーム持ってるよね?』

『ああ、便秘か持ってる持ってる』

『私のクラスメートでやってる子がいるんだけど、かそげーっていうの?結構プレイ人口が少ないって話じゃない?』

『ああうんそうだナ、ログインしたら誰もいないとかざらだぞ』

『ええ……、とにかく一回お兄ちゃんに会いたいんだってさ』

『ほーん、そうなのか、まあ別にいいけどな』

『ちなみに、今日なんだけど、大丈夫?』

『急だな……。別にいいけど』

『了解』

 

 

 とまあ、そんな感じのやつが今日昼休みの、メールでのやり取り。

 さて、瑠美の同級生か。

 まあ、別にいいかと思う。

 いや、正直むしろ楽しみなぐらいだ。

 何しろ、便秘というゲームは過疎ゲーの中の過疎ゲー。

 プレイ人口はもはや風前の灯火、ログインしているのが自分だけなんて日常茶飯事だ。

 リアルで会ったことのある便秘プレイヤーはカッツォくらいではなかろうか。

 そんな感じなので、便秘プレイヤーの知り合いが増えることは歓迎すべきだし、歓迎したい。

 基本的に俺がやるクソゲーは、同志が少ない。

 別にそれは理解してやっている趣味なので別にいいのだが、もしそういったものを理解してくれるリアルの友人が増えるのなら、素直にうれしい。

 

 

「とはいえ、瑠美の同級生で、家まで来るとなると、それはそれで別の懸念があるよなあ」

 

 

 一体どこの馬の骨、もといどんなやつなのかじっくりと見定めなくては。

 場合によっては、ペンシルゴン直伝の交渉術を使わなくてはならない。

 さすがに本家には到達してないんだけどな。

 いや、待てよもしかして瑠美の友達ってことは、邪教徒だったりするのか?

 これ以上知り合いに邪教徒を増やすのは考え物だが、まあ気にしても仕方がないか。

 そもそも教祖にリアルがほとんどバレてる時点で今更だろう。

 

 

 さて、帰宅して。

「ただいま」

「あ、お兄ちゃんおかえり」

「初めまして、隠岐紅音といいま……えッ」

「え」

 

 

 どうしてだろう。

 どうして、男だと思っていたのだろう。

 どうして、彼女である可能性を微塵も考えなかったのだろう。

 

 青い、ポニーテールにされた髪。

 キラキラした大きな瞳。

 驚いているのか、大きくぽかんと空いた、可愛らしい口。

 

 

「お前、は」

「その声、え、え、もしかして」

 

 

 リアルで、見たことがある顔だった。

 ゲームで、聞き覚えのある声だった。

 ああ、そうだ。

 こいつは。

 

 

「秋津茜……?」

「隠岐紅音と申します!あの、サンラクさんですよね?」

 

 

「えーと、あの、二人とも知り合い?」

「まあ、そうなるかな。ゲームでの知り合い」

「なるほど」

 

 

 瑠美はまるで分かっていなかったので、一応説明しておく。

 なんだか納得してくれたらしい。

 

 

 と、秋津茜が、隠岐紅音さんが固まっている。

 うつむいてしまって表情が見えない。

 びっくりしているんだろうとは思うんだが、何を考えているのかはわからん。

 

 

 ふいに、その顔を上げる。

 俺に接近してがっちりと俺の腕をつかんで近い近い近い!

 なんで手を握ってるの!

 え、何これどういうこと!

 

 

 

 

「どうしましょう!楽郎さん!私はあなたのことが好きみたいです!」

 

 

 

 そんな爆弾発言を放り投げてきた。

 

 …………。

 …………。

 あー。えーっと。

 うーん、これなんてギャルゲー?

 

 

 To be continued




次回、明日0時に更新です。
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