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人生に刺さった棘を抜く。

山梨から車で来てくれた男性K様が「元気になるものを食べに行きましょう」と、静岡名物さわやかのげんこつハンバーグをご馳走してくれた。生まれて初めて食べたさわやかのハンバーグは常軌を逸して美味しく、ほわわ〜んとなった。ライスはもちろん大盛りである。K様も、さわやかのハンバーグはずっと気になっていたからとても良かったとのこと。見舞いという垣根を越え、病人と健常者の垣根も越え、同じ人間として楽しい時間を過ごせると元気になる。結果、過食と移動で体調は悪化したが、後悔はない。さわやかの記憶は、永遠に残り続ける。

田舎の生活は車がないと無理だと言われるが、私には健康もお金もなーんにもない。だが、こうして運んでくださる方がいることは僥倖である。極論かもしれないが、人との繋がりがあれば人間は死なない。助け合えばどうにかなるばかりか、モノがないおかげで人との繋がりが生まれて「豊かさとは何か?」と考えさせられる。人との繋がりなどと聞くと、大事だとは思うけれど自分にはちょっと無理だな(煩わしいな)と感じる人は多いと思う。事実、私もそうだった。だが、違った。繋がりなんて苦手だなと思っていたけれど、正確には、苦手なんじゃなくて「心地良い距離感を知らなかった」だけだった。人類全体がそうだとは思わないが、私は、一人でいる時も本を読んだりネットを見たりする。一人でいる時も、他者を求めている。

心ある女性T様が、料理を作りに来てくれた。T様は言った。一人でいると適当なご飯で済ませてしまう。誰かのためってなると、料理をしようってやる気にもなるし、会話も料理も楽しいモノだったんだって思い出すことができる。誰かがいてくれるから、楽しさを思い出すことができるのかもしれない、と。素晴らしい言葉だと思った。元気が出ない時、自分をネタにして誰かを笑わせてやろうと思うと、こちらまで元気になる。誰かにやることは、自分にやることと同じだ。人間は、一人で生きちゃいけないのだと思う。一人になる時間は必要だが、一人になり過ぎると、自分に殺される。世界は本来優しいのに、自意識に嵌り、呼吸が浅くなり、視界は狭まり、田畑は荒れ、大地は腐り、川は枯れ、海は割れ、空は泣き、人々は争い、この世の終わりみたいなことになる。だが、そんなことはない。この世の終わりなんてないのだ。

誰だって押し付けがましい人は嫌だと思うが、押し付けがましい人がいなければ、世界は閉ざされたままだ。半ば強制的に「行くぞ」と外の世界に引っ張り出され、まったく気乗りしないまま行ってみたら予想を超えた出会いに恵まれて、もうちょっとこの世界を生きてみてもいいかなと希望を感じることがある。そして、その人の押し付けがましさに感謝をする。感謝をすると同時に「俺の中にも押し付けがましさはあるよな」と自らを振り返り、それはそれで悪いものじゃないと肯定できる。人の押し付けがましさを認めると、自分の押し付けがましさも認められる。押し付けがましい人がいなくちゃ、開かれない扉がある。一人きりのままでは、狭い世界を生き続けることになる。言いたいことは言う。やりたいことはやる。大事なことは、空気を読むことではない。心を込めることだ。

新年を迎えて、空気が変わった印象を受ける。これまで通用していたものがまったく通用しなくなるような、一つの時代の終わりと、新しい時代のはじまり。これまでの人生で刺さってきた棘を抜いていくような、受容と変容の要請。決して苦しいことではなく、その、逆。生きることは苦行でもなければ修行でもなく、純粋な喜びであるということ。これまで続けて来た無意識の我慢に対して「それ、もう、やらなくていいよ」と許可がおりるような、精神の解放。無意識に耐えていたこと、別に問題はないけれど気に入ってもいないことを、一つ一つ、選び直す。その過程で、自由と明るさを取り戻す。光は闇に打ち勝つ。今の私にモノはない。しかし、私がどのような状態に置かれたとしても、変わらずに月は海面を照らし、鳥は空を飛翔する。歴史的な大泥棒にも、空と鳥は奪えない。

見舞い先
〒413-0002 静岡県熱海市伊豆山302
坂爪圭吾

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おおまかな予定

1月26日(金)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)

連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com

SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z

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坂爪圭吾

バッチ来い人類!うおおおおお〜!

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人生に刺さった棘を抜く。|坂爪圭吾