しかし、各種個人情報の暴露明示など、それ以前の問題が山積、公共の電波を用いて「悪意丸出し」としか言いようのない、家族を含む個人攻撃がなされていました。

「人道」に外れるというのが、私個人の率直な感想で二度と見たくありません。

 シリーズではほかにも、芸能人ではない一般人家族の名も挙げつつ、経済的困窮をデフォルメしてあげつらい笑いものにするなど、今日のコンプライアンスから見れば、一発で「テレビ永久追放」に匹敵する悪質な、素人の中学高校生程度にウケそうな「悪ふざけ」が並んでいる。

 それが現在でも「人気シリーズ」だったなどとネットに上がり、視聴者らしい書き込みで「面白かった」とのリアクションも見ます。

 絶句するしかありません。

 ただ一言、各企業の広報広告担当者にお伺いしたい。

 自分が「ネタ」にしている先輩芸人が亡くなられた後、線香一つあげに行かない(まあ、顔向けなどできませんから、行けなかったのでしょうが)のみならず、死後、葬儀後至るまで相手を嘲笑する「悪ふざけポルノ」を開陳し続けるような見識の「タレント」と、御社の名前や大切な商品名と一緒くたにして、CMでオンエアしたいと思われますか?

 もし本当に

1月21日 横山やすし 逝去
25日 葬儀、遺族から公開の抗議
28日 「やすしくん⑧『財布』」放送

 が事実であったなら、制作体制を含め、放送倫理・番組向上機構(BPO)の調査が入っても、全く不思議ではない事態です。

 結局その後28年、「松本人志」は一度でも横山やすしの遺族に謝罪したり、線香をあげるとか墓参りに行くとか、そうした行動をとったという記録も見つかりませんでした。

 少なくとも一周忌には、依然として遺族から厳しい抗議が出たと報じる資料は、目にしました。

 人の死までも「笑い」にして視聴率を稼ぐ・・・。

 まさに生前の横山やすしが最初に指摘した「あんたらの笑いは悪質な笑いや」を開き直り切って、悪ふざけで押し通して没後まで性懲りもなくオンエア、それでよいことにしてしまった可能性がある。

 もし、結局うやむやのまま、謝罪も何もせずが事実であったなら、こんな仕儀に30歳かそこらで慣れてしまったタレントが、40歳、50歳と年齢を重ねたときどのように増長するか・・・。

 それを私たちは見ているのかもしれません。