水平社博物館前差別街宣事件
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民事訴訟
2011年(平成23年)8月22日、水平社博物館を運営する財団法人水平社博物館は川東の街宣によって社会的・精神的被害を被ったとして、川東に対して1000万円の慰謝料を求める民事訴訟を奈良地裁に提起した[10][11]。
川東は「穢多・非人は蔑称ではないから不当な差別をしたことにはならない」「挑発的な言動はしておらず、単に水平社博物館の歴史認識の誤りを指摘したに過ぎない」などと主張して請求棄却を求めたが、奈良地裁は2012年(平成24年)6月25日、「穢多・非人が不当な差別文言であることは公知の事実であり、川東の言動は水平社博物館に対する名誉毀損にあたる。また川東の言動は水平社博物館の設立目的及び活動状況等を否定するものであり、生じた損害は相当大きなものであると言わざるを得ない」として、川東に慰謝料150万円を支払うよう命じる判決を言い渡した[5][12]。原告・被告ともに大阪高裁へ控訴しなかったため、そのまま判決は確定した。
その後
判決確定後、水平社博物館は川東に対して賠償金の支払いとアップロードされた動画の削除を求めたが、川東は生活苦を理由に賠償金は月1000円のみ支払うとし[13]、アップロードされた動画については複製物の流通が容易であるから削除は無意味だと主張して敗訴の事実を動画説明文に加えるに留めた[14]。 同年8月30日に水平社博物館が生命保険金支払請求権と預金債権の差し押さえを実行し、遅延損害金などを含む156万249円を回収した。
関連項目
- 行動する保守
- 在日特権を許さない市民の会
- チーム関西
- 部落解放同盟
- 部落問題
- 差別
- ヘイトスピーチ
- 京都朝鮮学校公園占用抗議事件 - 川東・西村斉・荒巻靖彦が中心となって起こした事件
- 徳島県教組業務妨害事件 - 同上
- ロート製薬強要事件
- 穢多
- ^ 水平社博物館---過去の特別展示室
- ^ 安田浩一『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』講談社、2012年、231頁。ISBN 978-4-06-217112-0。
- ^ 在日特権を許さない市民の会 - 呟き : 解放新聞社に抗議文を送付しました。
- ^ a b 前掲安田2012年(平成24年)、232頁。なお同書では川東による最初の訪問を1月15日の出来事としているが、両当事者はいずれも1月5日の出来事であるとしている(川東・水平社博物館)ため、安田の誤記と考えられる。
- ^ a b 奈良地方裁判所平成23年(ワ)第686号 平成24年6月25日民事部判決
- ^ 前掲安田2012年(平成24年)、231頁〜232頁。
- ^ 奈良県の水平社博物館で抗議街宣を行いました。3-1(2011.1.22) - YouTubeなど。現在は全て視聴できないようになっている。
- ^ 「エッタ出てこい。どエッタ」と水平社博物館前で差別発言連呼
- ^ 【特別対談】西岡智×上原善広──橋下徹から解放運動まで部落解放同盟の重鎮、同和問題を語る - 日刊サイゾー
- ^ “水平社博物館が名誉毀損で慰謝料求め提訴 奈良”. 産経新聞. (2011年8月23日). オリジナルの2010年8月23日時点におけるアーカイブ。 2012年9月22日閲覧。
- ^ “奈良の水平社博物館 企画展に抗議男性を名誉毀損で提訴”. 朝日新聞. (2011年8月23日). オリジナルの2010年8月23日時点におけるアーカイブ。 2012年9月22日閲覧。
- ^ “差別発言問題で水平社博物館が勝訴”. 日刊スポーツ. (2012年6月25日)
- ^ 賠償金元本150万円に対して年5%、すなわち年7万5000円の遅延損害金が発生するため、元本はもちろん遅延損害金も完済不能な数字である。
- ^ 川東より報告(水平社博物館)
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