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男子友達同士の他愛無い会話が書きたかっただけの回です。

あと、近々坂本に久里浜、四条あたりの掘り下げもしたいですね。

第123話・男子寮の日常

 

 ––––午後9時30分。ユグドラシル駐屯地。


 消灯間近の男子寮。


 透は諸々の事を終えて、ようやく部屋に帰って来た。

 具体的にはテオドール関連の手続きが大半だが、やはり東京で撃ちまくった際の書類が凄まじかった。


 既に6割方は錠前1佐がやってくれていたが、あの人は途中でテオドールの身分書類作成に集中させてしまった。

 よって、残りの物は全て透が担当したのだ。


「あー……!! つっっかれたぁ……!」


 部屋に入るや、ベッドに倒れ込む透。

 一応シャワーだけは浴びて来たので、もう爆睡できる勢いだ。

 服装は上が迷彩服に、下がジャージ。


 いわゆる“ジャー戦”というやつだ。


「あっ、お帰りなさい隊長。なんか飲みます?」


 同様の格好で携帯ゲームをしていた坂本が、疲労困憊の透を見て心配する。


「んー……、コーラとかある?」


「ゼロカロと普通の、どっちが良いです?」


「糖分が欲しいから普通ので頼むわ」


「了解です」


 坂本所有の小型冷蔵庫から、自販機で買った缶コーラを取り出す。

 起き上がった透に、慣れた動作で投げ渡した。

 落ちたら炭酸で悲惨なことになるが、そこは息ピッタリのコンビ。


 透は軽く片手でキャッチした。


「サンキュー」


「例のテオドールでしたっけ、処遇は決まったんですか?」


 坂本の問いに、缶の蓋を開けながら答える。

 プシュッと、小気味良い音が鳴った。


「俺の被扶養者だってよ、眷属の概念が無いから必然的にそうなったらしい」


「へぇ、眷属は日本だとそう見なされるんですね。面白い」


「他人事だな……」


「他人事ですもん、まぁ僕にそんなパートナーは一生できっこ無いんで、羨ましい限りですよ」


「お前……顔は悪くないんだから、もうちょっと女子受けしそうな言動に変えても良いんじゃね?」


 コーラをゴクゴクと飲む。

 疲れた脳みそに、炭酸と糖分が染み込んで心地よい……。


「え〜……嫌ですよ、なんで僕の方から色々変えなきゃいけないんですか?」


 気怠そうに言う坂本。

 彼も喉が渇いたのか、ゼロカロリーコーラの缶を開けた。


「んー……俺もモテるわけじゃないから知らんけど、そういうのは受け身じゃダメっぽくね?」


「逆ですよ。外聞だけ取り繕ってモテたとしても、それは作られた性格を好きになられるだけです。本当の自分が愛されるわけじゃない」


「お前変なところでこだわるよな……」


「彼女無し歴=年齢を舐めないでください、こっちは半端な哲学で非モテやってるんじゃないんですよ」


「自慢になってないぞー、それ」


 コーラを飲み終わった透は、水で軽く洗って空き缶用のゴミ箱へ放り捨てた。

 見事一発で入り、片付けの手間が減らされる。


「……久里浜とかどうよ? お前ら仲良いじゃん」


「一番あり得ない選択肢ですよそれ……、僕と久里浜じゃ相性が合わな過ぎます」


「そうか? 結構良く見えるけど」


「アイツは僕みたいな陰キャが大嫌いなんですよ、信念の無いヤツを毛嫌いする性格だ」


 透視点で見れば、2人はなんだかんだ任務を2人でこなしている。

 ラビリンス・タワーのボス戦では息ピッタリだったし、東京観光でもコンビを組んで上手くやってくれた。


 相性が悪いはず無いのだが……。


「……まぁ任務に支障が出ない範囲で仲良くしてくれ、無理に馴れ合えとは言わねえからさ」


「隊長のそういう寛容なところ、やっぱ自分は好きですね」


「はいはい、もうすぐ消灯時間だ。こちとら課業終了のラッパが鳴ってもずっと仕事してたんだよ……さすがに疲れた」


「夕方の国旗への敬礼はしましたか?」


「それはした」


「さすがです、じゃあ僕も寝ようかな」


 就寝支度をする坂本。

 コーラを飲んでしまったので、透はせめて薬用の水歯磨きだけでもしようと再び洗面台へ行った。


 ちょっと刺激の強い液体で口をゆすぎ、2分で部屋に戻る。


「じゃあ電気消すぞ」


「はい、って……ん?」


「どうした?」


「いや、隊長のベッドが……布団はさっきまで膨らんでなかったのに」


 見れば、透の掛け布団がモコっと膨らんでいた。

 何か入れてしまったかと思い、何の気なしにめくって––––


「? あっ……、透っ」


「「おわぁッ!!?」」


 布団を剥がすと、そこには……Tシャツにショートパンツという、完全に寝間着姿のテオドールがいた。

 金色の美しい瞳が、不安気に透を見上げる。


123話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


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