男子友達同士の他愛無い会話が書きたかっただけの回です。
あと、近々坂本に久里浜、四条あたりの掘り下げもしたいですね。
––––午後9時30分。ユグドラシル駐屯地。
消灯間近の男子寮。
透は諸々の事を終えて、ようやく部屋に帰って来た。
具体的にはテオドール関連の手続きが大半だが、やはり東京で撃ちまくった際の書類が凄まじかった。
既に6割方は錠前1佐がやってくれていたが、あの人は途中でテオドールの身分書類作成に集中させてしまった。
よって、残りの物は全て透が担当したのだ。
「あー……!! つっっかれたぁ……!」
部屋に入るや、ベッドに倒れ込む透。
一応シャワーだけは浴びて来たので、もう爆睡できる勢いだ。
服装は上が迷彩服に、下がジャージ。
いわゆる“ジャー戦”というやつだ。
「あっ、お帰りなさい隊長。なんか飲みます?」
同様の格好で携帯ゲームをしていた坂本が、疲労困憊の透を見て心配する。
「んー……、コーラとかある?」
「ゼロカロと普通の、どっちが良いです?」
「糖分が欲しいから普通ので頼むわ」
「了解です」
坂本所有の小型冷蔵庫から、自販機で買った缶コーラを取り出す。
起き上がった透に、慣れた動作で投げ渡した。
落ちたら炭酸で悲惨なことになるが、そこは息ピッタリのコンビ。
透は軽く片手でキャッチした。
「サンキュー」
「例のテオドールでしたっけ、処遇は決まったんですか?」
坂本の問いに、缶の蓋を開けながら答える。
プシュッと、小気味良い音が鳴った。
「俺の被扶養者だってよ、眷属の概念が無いから必然的にそうなったらしい」
「へぇ、眷属は日本だとそう見なされるんですね。面白い」
「他人事だな……」
「他人事ですもん、まぁ僕にそんなパートナーは一生できっこ無いんで、羨ましい限りですよ」
「お前……顔は悪くないんだから、もうちょっと女子受けしそうな言動に変えても良いんじゃね?」
コーラをゴクゴクと飲む。
疲れた脳みそに、炭酸と糖分が染み込んで心地よい……。
「え〜……嫌ですよ、なんで僕の方から色々変えなきゃいけないんですか?」
気怠そうに言う坂本。
彼も喉が渇いたのか、ゼロカロリーコーラの缶を開けた。
「んー……俺もモテるわけじゃないから知らんけど、そういうのは受け身じゃダメっぽくね?」
「逆ですよ。外聞だけ取り繕ってモテたとしても、それは作られた性格を好きになられるだけです。本当の自分が愛されるわけじゃない」
「お前変なところでこだわるよな……」
「彼女無し歴=年齢を舐めないでください、こっちは半端な哲学で非モテやってるんじゃないんですよ」
「自慢になってないぞー、それ」
コーラを飲み終わった透は、水で軽く洗って空き缶用のゴミ箱へ放り捨てた。
見事一発で入り、片付けの手間が減らされる。
「……久里浜とかどうよ? お前ら仲良いじゃん」
「一番あり得ない選択肢ですよそれ……、僕と久里浜じゃ相性が合わな過ぎます」
「そうか? 結構良く見えるけど」
「アイツは僕みたいな陰キャが大嫌いなんですよ、信念の無いヤツを毛嫌いする性格だ」
透視点で見れば、2人はなんだかんだ任務を2人でこなしている。
ラビリンス・タワーのボス戦では息ピッタリだったし、東京観光でもコンビを組んで上手くやってくれた。
相性が悪いはず無いのだが……。
「……まぁ任務に支障が出ない範囲で仲良くしてくれ、無理に馴れ合えとは言わねえからさ」
「隊長のそういう寛容なところ、やっぱ自分は好きですね」
「はいはい、もうすぐ消灯時間だ。こちとら課業終了のラッパが鳴ってもずっと仕事してたんだよ……さすがに疲れた」
「夕方の国旗への敬礼はしましたか?」
「それはした」
「さすがです、じゃあ僕も寝ようかな」
就寝支度をする坂本。
コーラを飲んでしまったので、透はせめて薬用の水歯磨きだけでもしようと再び洗面台へ行った。
ちょっと刺激の強い液体で口をゆすぎ、2分で部屋に戻る。
「じゃあ電気消すぞ」
「はい、って……ん?」
「どうした?」
「いや、隊長のベッドが……布団はさっきまで膨らんでなかったのに」
見れば、透の掛け布団がモコっと膨らんでいた。
何か入れてしまったかと思い、何の気なしにめくって––––
「? あっ……、透っ」
「「おわぁッ!!?」」
布団を剥がすと、そこには……Tシャツにショートパンツという、完全に寝間着姿のテオドールがいた。
金色の美しい瞳が、不安気に透を見上げる。
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