「なぁライトニング7、例の配信映像は見てるか?」
彼ら2人は、共にアメリカでF-35Aの訓練プログラムを受けた者同士で仲が良かった。
米国で知り合ってから、今日まで相性抜群のコンビだ。
「ん? あぁ見てるよ。大ファンだ。新海3尉や小隊員たちが個性的で本当に面白い。余暇時間の楽しみさ」
「俺も俺も、いやー……ほえドールちゃんマジで可愛いんだよなぁ。あんなに可愛い子がいたら、おじさんいっぱいご飯奢ってあげたくなるよ」
「おじさんって……、お前まだ20代だろ。第1特務小隊のメンバーとほぼ同世代じゃん」
「でも俺は地上戦無理だよ、陸さんはすげぇや。東京であんなにドンパチやったのに……死傷者ゼロなんだから」
今回の新宿決戦を見て、彼らも奮い立つものがあった。
同時に、激しい怒りも湧いてくる。
「他国の首都で、女の子を拉致するために銃撃って……これ許しちゃダメだよな?」
「当然だろ、だから俺たちがこうして飛んでる。北朝鮮のヤツ––––逆ギレで弾道ミサイル撃とうとしてたし。まぁ阻止したけどさ」
レーダーに反応がある。
このF-35のパッシブセンサーは世界一の性能で、圧倒的な遠距離から敵を確認できるのだ。
「レーダーコンタクト、9機確認。さっきより機影が小さいな?」
「最新のMIG-29はもう落としたからな、旧式機が大慌てで発進したんだろ」
北朝鮮は持っているMIG-29の数が元々少ない上、整備も満足にできないせいで稼働率は最悪と言って良い。
さっき落とした8機が、北朝鮮軍の最強戦力だったのだ。
「なぁ、統幕からはどこまで許可されてたっけ?」
「メインは弾道ミサイルの破壊、自衛のためなら交戦も許可だ」
「じゃあ行けるな、弾って何発残ってる?」
「サイドワインダーが2発と、機銃500発」
「よっし、エンジンふかせ! 時代錯誤な連中に––––現代の戦闘機の恐ろしさを教えてやるぞ」
旋回したF-35は、真っ直ぐに接近中の
ステルス性能によって全く気づかれることはなく、僅かな時間で目視範囲に到着した。
「おぉー……、アレって確か……」
上空から編隊を見下ろしたライトニング6が、思わず呟く。
「MIG-21か? 嘘だろ本物だぜ、70年前の骨董品だ……なんで飛べるんだ?」
見えたのは、旧ソ連製の超オンボロ機。
今となっては博物館でしか見られない、超旧型戦闘機だった。
「敵さん、こっちに気付いてるかな?」
「多分まだだろ……、そもそも戦闘機って、機首にしかレーダー付いてないし」
「そうか、じゃあいっちょ––––」
ライトニング6は、F-35専用のヘッドマウント・ディスプレイ・ヘルメットを被り直した。
「トップガンの時間と行こうか!」
操縦桿をガッと押し込み、ライトニング6は急降下。
アフターバーナーを全開にして、なんと––––MIG-21編隊のど真ん中を突っ切ったのだ。
突然の奇襲に不意を突かれ、MIGは大慌てで散開した。
「旧式でも運動性能は良いな、けど––––」
ライトニング6の視界には、なんと真後ろの敵機が映っていた。
彼が付けているヘルメットは、F-35の全センサーと完全同期している。
そのため、通常見られない機体の真下や後ろを見れるのだ。
「それで勝つのは、将軍への忠誠心だけじゃ無理だぜ」
真後ろの敵を、ロックオン。
ウェポンベイを開き、『AIM-9Xサイドワインダー』を発射した。
あり得ない超高機動で旋回したミサイルは、ライトニング6の背後にいたMIGを撃墜してしまった。
一時期––––F-35はドッグファイトで劣ると言われていたが、アップデートによって機動性が向上。
この真後ろの敵もロックできる機能のおかげで、近接戦においてもあのF-16Vを凌駕する。
「FOX2」
ライトニング7が放ったサイドワインダーが、2機のMIGを捉えた。
––––バババババッ––––!!
ロックオンアラートを聞いた敵機は、熱源妨害用のフレアを大量に射出。
全力で回避しようとするが––––
「命中、キル確認」
「グッキル!」
ミサイルは、MIGを簡単に後方から貫いた。
このAIM-9Xは、赤外線画像誘導を採用している。
故に、従来のフレアなどカウンターメジャーでは撹乱できないのだ。
360度高解像度の視界を得られるアドバンテージを元に、F-35はドッグファイトでも敵を圧倒。
一瞬でケツにつき、逃げ惑うMIG-21を25ミリガトリング砲でドンドン撃墜していく。
戦闘は一方的であり、機体の残骸が雨のように山へ降り注いだ。
やがて、最後の1機が機銃で仕留められる。
「全機撃墜、残り燃料は……」
この機体は、北朝鮮本土に侵入する直前に空中給油を受けていた。
その時点でサイドワインダーを2発しか搭載していなかったこともあり、まだ少し余裕があった。
「ちょっと寄り道していくぞ、ライトニング7」
「寄り道? どこへ?」
問われた疑問に、第1特務小隊の映像に魅せられたパイロットは答える。
「こっちは東京で派手にやられたんだ、なら俺たち日本人も挨拶すべきだろう? 北朝鮮の首都––––“
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