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最初に声を上げたのは、ヨーロッパの海洋大国イギリスだった。
GDPは世界第5位。
全盛期に比べれば没落したと言えるが、まだまだ世界に影響力を持つ大国だ。
「我が国は––––中露北による東京での無差別発砲事件を最も強い言葉で非難する。これは民間人を巻き込むことも許容した、極めて非人道的な行いだ!」
イギリスの態度はかなりのものだった。
日本が主導する巨大経済圏。
TPP(環太平洋経済連携協定)の一員として、イギリスは近年オーストラリアと並んで日本に最接近していた。
ヨーロッパ経済からの独立を謳うこの国は、日本と戦闘機を共同開発するほどに最近仲が良い。
軍事分野でも、“日英円滑化協定”を結んだのは有名だろう。
故に、今回の事件へはヨーロッパで真っ先に反応した。
このイギリス報道官の言葉に、記者が質問を行う。
「具体的な対応はあるのでしょうか?」
投げられた問いに、金髪の報道官はすぐさま答えた。
「本来なら年末に予定していた空母『プリンス・オブ・ウェールズ』打撃群の日本展開を、既に開始しました。佐世保を拠点として、台湾海峡で航行の自由作戦を行います」
中国にとって、これほど嫌なことは無い。
本来台湾海峡は公海だが、現在は世界で最も敏感なエリア。
そこへ、空母打撃群を展開しようと言うのだ。
軍事的には、最大限の嫌がらせと言えた。
さらに別の記者が手を上げる。
「今回武力を使用した3国へは、経済的な対応などがあるのでしょうか?」
「もちろん、ロシアと北朝鮮は既に手が尽くされているので、中国が主になりますが……自動車、機械類、化学製品、医薬品、および金融サービスが含まれます。また、イギリス企業は中国でのエネルギー、不動産、金融、技術、教育などのさまざまな分野への投資を行っていますが、これらの関係は経済的な交流を示すものであり、両国にとって繁栄の象徴でしたが––––」
報道官がバッサリ言い放った。
「全て、検討し直す必要があるでしょう」
イギリスが動いたならば、腰を上げざるを得ないのがEU(ヨーロッパ連合)だ。
ドイツとフランスが盟主の、世界最大の連合。
時の欧州委員会 委員長は、イギリスに次いで会見を開いた。
「現在行っている中国への大規模投資は、我々も全て見直さねばならないと思っている」
欧州の相次ぐ投資見直しは、中国に莫大な経済的損失を与えた。
しかも、欧州と言えば2023年末––––中国の肝煎り事業だった“一帯一路政策”から、イタリアが離脱して久しい。
これにより、同国の巨大経済圏構想は今度こそトドメを刺された。
同時刻にアメリカのホワイトハウス。
ニュースで顔馴染みの報道官が、質問に答える。
「同盟国での非正規な軍事的活動は、合衆国として到底受け入れられないものです。よって、我が国も制裁を実施するでしょう」
アメリカが取った行動は以下の通り。
・アジア太平洋地域における、常時2〜3個の空母打撃群の展開。並びに航行の自由作戦の強化、推進。
・軍事分野に使用されかねない工業、精密部品のさらなる輸出規制。
・半導体製造装置の全面禁輸。
さらに国ではなく、民間の動きも大きかった。
米大手決済会社が、中国の信頼度ランクを大幅に引き下げたのだ。
これにより、米国の有名なクレジットカードによる決済が中国では事実上不可能に。
さらに、今回の制裁は中国だけに留まらない。
「我が国は既にフィンランドと防衛協定を結んでいる、NATO(北大西洋条約機構)の一員として、同国に部隊を展開させるつもりだ」
ロシアにとって最悪の事態だった。
元々ロシアは、NATO軍を国境から遠ざけるために愚かなウクライナ戦争を始めた。
それが、結果的にこうしてフィンランドという隣国にアメリカ軍が来てしまった。
ロシアの経済都市サンクトペテルブルクと非常に近いことから、この圧力は半端では無い。
日本で例えるなら、大阪湾にロシア軍基地が作られるようなものだ。
到底許容できないことである。
こうして軍事、経済両面で苦境に立たされた中露は––––徐々に坂道を転がり落ち始めた。
一方、経済制裁を既に受けているためこの場では影の薄かった北朝鮮だが……。
「日本政府としては、今後––––東京で同様の事件が起きることのないよう。新たに整備した法を適用……」
ここに、戦後初の宣言が日本国より出された。
「“反撃能力”の行使を、限定的に実施するものであります」
眠れる巨人が、とうとう起き上がった。
標的は、日本海––––
官房長官の発言と同時、青森県 三沢基地で爆音が響いた。
航空自衛隊 第3航空団所属。
第301飛行隊の最新鋭ステルスジェット戦闘機、F-35Aが12機発進したのだ。
これは、現在世界最強を誇る––––第5世代戦闘機だった。
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