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第101話・VSリヴァイアサン③

 

「米空軍、L-RASM発射!!」


 日米の狙いはここにあった。

 水中呼吸器官を一時的にでも潰せれば、リヴァイアサンは浮上を余儀なくされる。


 そこを、艦船もぶち抜く対艦ミサイルで攻撃するのだ。

 さしものアノマリーも、直撃すればひとたまりも無い。


「できればこれで決まってほしいが……」


 レーダー画面上で、16発のミサイルが南より接近する。

 B-1Bはこの時点で、グアムのアンダーセン空軍基地へ引き返していた。


 上空で監視を続けていた海自P-1が、異変を目にする。


「……!? 目標が発光を開始! 剣山のような背びれが輝いています」


 これを聞いた厚木のコントロールセンターは、すぐさま声を出した。


「今すぐ敵から離れろ!! 例の攻撃が来る!!」


 無線を聞いたP-1は、意味があるかわからないが熱源デコイのフレアをばら撒きながら、180度反転。


 全速で距離を取った。


 リヴァイアサンの全身を紫色の光が覆った瞬間、それは起きた。


 ––––ゴッッッ––––!!!!


 巨大な大口から、途方もない出力のレーザーが放たれたのだ。

 真っ直ぐ伸びたそれは、なんと水平線から顔を出した瞬間のL-RASMに直撃した。


 横へ薙ぎ払うように放射され、あらゆる角度からの同時弾着を狙ったミサイルは––––たった10秒で全弾が撃墜された。


 海の向こうで、規格外の大爆発が発生。

 衝撃波が約百キロの範囲で広がり、危うく周囲の航空機部隊まで落ちるところだった。


「L-RASM、全弾撃墜!!」


 防衛省の地下で響いた声に、幕僚たちも思わず汗を流す。


「これが……中国駆逐艦を蒸発させた、異次元の熱線か……! まるで大火山の噴火みたいな威力だ」


「おい、L-RASMは中華イージスでも探知できないステルスミサイルだと聞いたが。なぜ生物ごときに捕捉されたんだ」


 海幕長の問いに、武器運用課長が答える。


「おそらく、自身へ向かってくる飛翔体を、高精度で探知できる器官が備わった可能性があります」


「ではロングレンジ攻撃はもう意味が無いと?」


「それは半分というところかと、あの威力の熱線です……本当にヤバい時しか撃てないでしょう。しばらくは大丈夫だと思われます」


「うむ、しかしなぁ……」


 それでも、ここで仕留めるチャンスを失ったのに変わりは無い。

 グアムの爆撃機は、もう一度ここまで来るのに時間が掛かり過ぎる。


 ステルスミサイルが捕捉されたということは、リヴァイアサンの体内にイージス艦のようなシステム。


 いわゆる、フェイズド・アレイ・レーダーに似た物が生み出されたと見て良い。

 アウトレンジからの中途半端な奇襲攻撃は、もう無理だろう。


 さすがに……ダンジョンの雑魚とは、レベルが違った。


「アノマリー、再び移動を開始! 水上付近を泳ぎながら関東方面へ侵攻中!!」


 だが、さすがに18式魚雷の直撃にはこたえたらしい。

 それまでの爆撃と合わさって、水中での能力を大きく削ぐことができた。


 ならば––––


「『ひゅうが』に連絡せよ、作戦をフェーズ3に移行。艦隊による直接攻撃でヤツを仕留める」


「了解しました」


「空幕長、“アレ”はもう厚木を離陸したのかね?」


「はっ! 統幕長。海さんの艦隊の直掩に回ってくれるそうです」


「そうか、なら良い」


 頷く統幕長。

 一方、千葉県沖まで進出した“ひゅうが対潜打撃群”も、いよいよ戦闘を開始しようとしていた。


「ソノブイに反応あり!! 本艦隊正面22キロ、アノマリーと推測されます!」


 前方を哨戒中だったひゅうが艦載ヘリが、リヴァイアサンを捕捉した。


「あれだけの猛攻を食らって、まだ生きているとは……とても生物とは思えんな」


『ひゅうが』艦長は、CIC(戦闘指揮所)で無線を開いた。


「正面、対潜戦闘!! ここを突破されれば東京湾に侵入される、必ず我々でヤツを止めるぞ! 攻撃用意!!」


 戦闘サイレンが響き渡る。

『むらさめ』、『おおなみ』のVLSハッチが開放される。


 RUM-139A。

 通称アスロック改対潜ミサイルの発射態勢に入ったのだ。


 また、対潜護衛艦『あさひ』もVLSを開く。

 中には、上述の物よりさらに高性能な07式アスロックが搭載されていた。


「全艦––––VLA発射始めッ!! サルボーッ!!」


 3隻の護衛艦から、一斉に対潜ミサイルが発射された。


101話を読んでくださりありがとうございます!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


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