100話到達!!
自衛隊の目論見はこうだ。
「ダメージを与えても再生するなら、体力が尽きるまで殴り続ければ良い。そうすればいずれ力尽きる」
例えアノマリーという異端の生物だとしても、生き物に変わりは無いのだ。
爆弾を食らい続けて、無事で済むなどフィクションも良いところ。
某怪獣王ではないのだ。
現実的に考えれば、どこかに限界が存在するはずだった。
「第五次攻撃隊、全弾投下完了! 続いて米軍のP-8哨戒機部隊、第3波が攻撃開始します!」
日米連合の爆撃は熾烈を極めた。
神奈川県の厚木基地を拠点とした哨戒機部隊が、入れ替わり立ち替わりで出撃。
梅雨の豪雨のように、絶え間なくアノマリーへ爆弾を落とし続けた。
海の中は、生き物を全滅させるミキサーと化す。
それでも––––
「リヴァイアサン健在! 速度、10ノットから変わらず!!」
投下弾数が100を越えた辺りで、アノマリーの様子が変わった。
それまでは多少でも効いていた様子があったのに、今は何発落としても速度が鈍らない。
「水中爆発に対して……もう適応しているのか? なんて能力、まるで進化だ……!」
市ヶ谷の防衛省。
モニターを見ていた陸上幕僚長が、思わず呟く。
それを聞いた海上幕僚長が、すぐさま返した。
「敵の能力は未知数です、我の全力を与えるには
モニターに、補給を終えて飛び立つ哨戒機部隊が映った。
既に3ソーティこなしている、今までならここで自衛隊の体力は尽きていたが……。
「統幕長、米軍からはなんと?」
「必要があれば、その分だけ爆弾を用意してくれるらしい。既に日本とアメリカ本土を輸送機がピストンしている」
今の日本の経済力なら、アメリカの在庫をいくらでも買い取ることが可能。
合衆国としても、ダンジョンの恩恵をモロに受けているので、協力は惜しまないと約束してくれた。
「アメリカ第7艦隊、千葉県沖に布陣完了とのことです。また、グアムを離陸したB-1B戦略爆撃機部隊が間も無く到着します」
米軍も今回ばかりはかなり本気だった。
空母はいないが、イージス艦をそれなりの数準備してくれている。
「海幕長、対潜爆弾の適応は完了したと見て良い。次のフェーズに移ろう」
「はっ! 部隊に伝達します!」
もし爆弾だけで仕留められるならラッキーくらいに思っていたが……、敵はそこまで弱くない。
自衛隊は、使用兵装を変えることにした。
「攻撃を対潜爆弾に加え、魚雷も追加する! 誘導ポイントまでは後どれくらい掛かる?」
「15分ほどです」
「よろしい、潜水艦部隊は計画通り攻撃を開始せよ」
爆弾の雨を切り抜けたリヴァイアサンを、2隻の潜水艦が待ち伏せていた。
海底で忍者のように息を殺し、気配を消したそれはアクティブ・ソナーにも引っかからない最新鋭艦。
「魚雷発射管1番から4番!! 注水開始!!」
海底500メートルで待っていたのは、たいげい型潜水艦1番艦『たいげい』。
並びに、4番艦『らいげい』。
どちらも神戸の川崎重工が造った、世界で最も高性能な通常動力潜水艦だ。
「18式魚雷、装填完了!」
「目標をセンサー画像に登録、発射用意ヨシ!!」
「
––––ボシュッボシュッ––––!!
2隻の潜水艦が、魚雷を発射した。
通常この深度では魚雷など撃てないが、日本の最新技術を詰め込んだこの18式魚雷は別次元の性能を誇る。
とんでもない静音性で海底を駆け上がり、アノマリーのすぐ傍まで浮上。
真下から突き上げるように、巡洋艦をもへし折る爆発が直撃した。
「ゴアアアアァァアアアアアアアッ!!?」
胴体が抉れ、肉片を撒き散らす。
大量の血が海面を覆った。
衝撃波には適応できても、弾頭の直撃までは防ぎきれない。
血を吐いたリヴァイアサンは、本来ならここで絶命するかと思われた。
アノマリーがとうとう海面から顔を出す。
上空のP-1部隊が、旋回しながら爆発跡を見て叫んだ。
「くっそ……ダメです、再生している……! 今度はさらに硬そうな鱗になった!」
「だがそれで良い、計画通りだ。水中呼吸器官を潰せたなら問題ない」
そこから約200キロ離れた空中で、動きがあった。
「
アメリカ空軍 戦略爆撃航空団所属のB-1B爆撃機4機が、それぞれ4発ずつミサイルを発射した。
このL-RASMと呼ばれる長距離ステルス対艦ミサイルは、亜音速で水上のリヴァイアサン目掛けて飛翔を開始した。
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