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100話到達!!

第100話・VSリヴァイアサン②

 

 自衛隊の目論見はこうだ。


「ダメージを与えても再生するなら、体力が尽きるまで殴り続ければ良い。そうすればいずれ力尽きる」


 例えアノマリーという異端の生物だとしても、生き物に変わりは無いのだ。

 爆弾を食らい続けて、無事で済むなどフィクションも良いところ。


 某怪獣王ではないのだ。

 現実的に考えれば、どこかに限界が存在するはずだった。


「第五次攻撃隊、全弾投下完了! 続いて米軍のP-8哨戒機部隊、第3波が攻撃開始します!」


 日米連合の爆撃は熾烈を極めた。

 神奈川県の厚木基地を拠点とした哨戒機部隊が、入れ替わり立ち替わりで出撃。


 梅雨の豪雨のように、絶え間なくアノマリーへ爆弾を落とし続けた。

 海の中は、生き物を全滅させるミキサーと化す。


 それでも––––


「リヴァイアサン健在! 速度、10ノットから変わらず!!」


 投下弾数が100を越えた辺りで、アノマリーの様子が変わった。

 それまでは多少でも効いていた様子があったのに、今は何発落としても速度が鈍らない。


「水中爆発に対して……もう適応しているのか? なんて能力、まるで進化だ……!」


 市ヶ谷の防衛省。

 モニターを見ていた陸上幕僚長が、思わず呟く。


 それを聞いた海上幕僚長が、すぐさま返した。


「敵の能力は未知数です、我の全力を与えるには()の敵の情報収集が不可欠です。それに––––ここまでは概ね予定通りかと」


 モニターに、補給を終えて飛び立つ哨戒機部隊が映った。


 既に3ソーティこなしている、今までならここで自衛隊の体力は尽きていたが……。


「統幕長、米軍からはなんと?」


「必要があれば、その分だけ爆弾を用意してくれるらしい。既に日本とアメリカ本土を輸送機がピストンしている」


 今の日本の経済力なら、アメリカの在庫をいくらでも買い取ることが可能。

 合衆国としても、ダンジョンの恩恵をモロに受けているので、協力は惜しまないと約束してくれた。


「アメリカ第7艦隊、千葉県沖に布陣完了とのことです。また、グアムを離陸したB-1B戦略爆撃機部隊が間も無く到着します」


 米軍も今回ばかりはかなり本気だった。

 空母はいないが、イージス艦をそれなりの数準備してくれている。


「海幕長、対潜爆弾の適応は完了したと見て良い。次のフェーズに移ろう」


「はっ! 部隊に伝達します!」


 もし爆弾だけで仕留められるならラッキーくらいに思っていたが……、敵はそこまで弱くない。


 自衛隊は、使用兵装を変えることにした。


「攻撃を対潜爆弾に加え、魚雷も追加する! 誘導ポイントまでは後どれくらい掛かる?」


「15分ほどです」


「よろしい、潜水艦部隊は計画通り攻撃を開始せよ」


 爆弾の雨を切り抜けたリヴァイアサンを、2隻の潜水艦が待ち伏せていた。


 海底で忍者のように息を殺し、気配を消したそれはアクティブ・ソナーにも引っかからない最新鋭艦。


「魚雷発射管1番から4番!! 注水開始!!」


 海底500メートルで待っていたのは、たいげい型潜水艦1番艦『たいげい』。

 並びに、4番艦『らいげい』。


 どちらも神戸の川崎重工が造った、世界で最も高性能な通常動力潜水艦だ。


「18式魚雷、装填完了!」


「目標をセンサー画像に登録、発射用意ヨシ!!」


()ェッッ!!!」


 ––––ボシュッボシュッ––––!!


 2隻の潜水艦が、魚雷を発射した。

 通常この深度では魚雷など撃てないが、日本の最新技術を詰め込んだこの18式魚雷は別次元の性能を誇る。


 とんでもない静音性で海底を駆け上がり、アノマリーのすぐ傍まで浮上。

 真下から突き上げるように、巡洋艦をもへし折る爆発が直撃した。


「ゴアアアアァァアアアアアアアッ!!?」


 胴体が抉れ、肉片を撒き散らす。

 大量の血が海面を覆った。


 衝撃波には適応できても、弾頭の直撃までは防ぎきれない。

 血を吐いたリヴァイアサンは、本来ならここで絶命するかと思われた。


 アノマリーがとうとう海面から顔を出す。

 上空のP-1部隊が、旋回しながら爆発跡を見て叫んだ。


「くっそ……ダメです、再生している……! 今度はさらに硬そうな鱗になった!」


「だがそれで良い、計画通りだ。水中呼吸器官を潰せたなら問題ない」


 そこから約200キロ離れた空中で、動きがあった。


Fire(ファイア)!」


 アメリカ空軍 戦略爆撃航空団所属のB-1B爆撃機4機が、それぞれ4発ずつミサイルを発射した。


 このL-RASMと呼ばれる長距離ステルス対艦ミサイルは、亜音速で水上のリヴァイアサン目掛けて飛翔を開始した。


前回はたくさんの祝福のコメントありがとうございます!!


「少しでも続きが読みたい」

「面白かった!」

「こういうダンジョン×自衛隊流行れ!」


と思った方は感想、いいねでぜひ応援してください!!

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