お笑い芸人と職業差別
なぜお笑い芸人がこれほどまでに跋扈したのかと考えるに、「芸人を馬鹿にしてはいけない」というのが、変な気遣いになり、逆差別に繋がったところもある。職業差別がよくないというのはもっともで、お笑い芸人に限らず、馬鹿にするのはよろしくないが、その結果として、ステータスが向上してしまっているのである。差別あるところに逆差別あり。彼らが一致団結しているのも、芸人が馬鹿にされたらスクラムを組んで立ち向かうということかもしれないが、いつの間にか権力者の趣となっている。このあたりはビートたけしが元凶である。たけし軍団が馬鹿にされると、ビートたけしは激怒するが、率直なところ、たけしとたけし軍団では天と地の差があり、そしてたけし軍団は最近の粗製乱造された芸人の走りとも言えるから、差別はよくないにしても、決して肯定的に評価されるひとたちではない。たけし軍団という程度の低い連中を馬鹿にしてはいけないという縛り、この縛めが、世の中を悪くしたのである。この芸人差別の文脈で、たけしはよく「芸人は本当は頭が良い」というが、それは、たけしが例外なだけで、どう考えても粗悪品が大多数である。たけし軍団は頭が悪い、その一言に尽きる。お笑い芸人という職業は、劣悪な人間を救済する方舟なのかという疑問もあるし、そもそも職業選択の自由があり、世襲ではないのだから、職業差別の論法がどこまで幅を利かせるべきなのかという疑問もある。生まれついてのたけし軍団ということはないわけだ。人を馬鹿にするのはよくないが、やはり、それが転じて、リスペクトの義務になれば変な話である。われわれはプラスとマイナスの二択を生きているので、馬鹿にしてはいけないと言われたら、埋め合わせるために尊敬しましょうとなるのだが、なんというか、お笑い芸人が人権団体のようになっており、これはこれで社会問題である。