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大紛糾『パルワールド』の生成AIパクリ問題がいきなり日本本土上陸の難

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 画像は、AIが考えた『村おこしのため人気のあるキャラクターを生成AI使って構築して上手いことやろうと思ったら、思った以上に火が噴いてあたりが完全に焼け落ちてしまって呆然とする村長』です。

※ 騒ぎが拡大しているので、今週内どこかをめどに解説Youtubeでも撮りたいと思います。

 Steamで数日で500万ダウンロードを達成して急成長しているぞ的な取り上げられ方をしている『パルワールド』ですが、ゲーム屋界隈では特に知財やマーケを中心に大激震となっておりまして、非常に多難な状態になりつつあります。

 「ここまで売ったからには、うまい具合に版権元さん(ポケモン社)もカバーして買い取りなりロイヤリティを取って公式化なりしてくれるんじゃないか」という声もある一方で「他のゲームからも『インスパイア()』されたキャラクターが跋扈していて、知財的にまったく許容できないレベルになっていてヤバイ」という危惧や「よりによってSteamでの販売だったので公式ポケモンと同じMODまで出回ってしまって、場合によってはWorkshopごとVALVE対任天堂他の戦い迄起きてしまうのでは」という世界大戦を警告するジジイまで登場する始末です。

 というのも、ごく最近VALVE社はようやく自社プラットフォームでの生成AI利用作品の販売解禁を行ったばかりなんですよ。何というタイミングのアレさ…。生成AIとプラットフォームの法的なむつかしい関係については後述します。

 さすがにマズいよなってことで、仕事柄さっそく買ってプレイしてみたところなんですが、まあなんつーかArkですね。いろんなタイトルの客惹きするフィーチャーを集めてきて固めてドンといったところで、そこにもっとも見た目のバリューのあるポケモンが前に出ているところをフックにタイトルを売っていることを考えるとやり方を間違えると本当に大事故になる問題だよなあと思うわけです。

 ゲーム屋の知財界隈では「これは死ぬ運命にある」という見解が8割以上ですが、過去の例から見てもどう着地させるのかは版権元さんの胸先三寸と算盤勘定次第なところがあるだけでなく、今回セットで懸念視されているのはここでまさかの「生成AIを利用しました」という制作手法そのものであります。

 さらに、万が一法的紛争になった場合にマズかろうと思われる発言をポケットペア社の溝部拓郎さんが堂々としてしまっているのがこちらで、要は、アセットストア(Workshop)とゲームシステムをマッチングしている形のゲーム作りであるという定番の著作権逃れを堂々と主張してしまっている点です。さすがにこれを言わせてはマズいような…。

 もちろん、この場合はポケットペア社だけでなく、著作権に問題のある物件を仲介しているVALVE社も巻き込まれることになります。

 うーむ、これは上手い着地を考えるのは大変そうであるぞ…。

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山本一郎(やまもといちろう)

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mode777
著作権関係は詳しくありませんが、「ゲーム画面を著作権で保護することは一般的に難しい」と簡単に記憶しています。

たしか、ゲームシステムはアイデア自体であるため、著作物性を有しないという論調で、詳しくありませんが、過去の大型のゲーム裁判(国内)は、特許侵害の裁判であったと記憶しています。

正直、累計100~200万程度なら年にそれなりにはある程度で、それくらいを狙っていたのではないかと思います。600万本は売れすぎで、本家の数すら上回る可能性があります。

過去に「原神」が「ブレスオブザワイルド」のパクリだと中国ですら批判されたことがありましたが、デザインは明らかに違う形でした。しかし、今作はデザインが酷似していると言えるレベルです。

両方とも、Switchでしか販売をしない任天堂の戦略が引き起こした惨事であるといえますが、今回は任天堂も規模が大きすぎて対応しないわけにはいかないレベルだと思います。

またユーザが思っていたよりも倫理観がないことが判明したので、これが許されると、真面目に開発する必要がなくなるので、著作権の考え方そのものが問われるくらいの事件だと思っています。

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普段はザンギエフを使っています。オークランド・アスレチックスのファン。1996年慶應義塾大学法学部政治学科卒、23年新潟大学修士(法学)、一般財団法人情報法制研究所/事務局次長・上席研究員。専門は統計分野、社会調査、制度設計と、投資実務および置物系コンサルティング業務全般。
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