シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜


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作:トレセン暮らしのデュエリスト
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上裸狐、大蛇と相対す。


評価を貰うとつい嬉しくなって明日投稿予定の話を投げちゃう。明日の7時に音沙汰なくても許して。





ここで一つ弁解させてください、後書きにおいてかなりスレスレであろう設定を載せております。ただ私は他作品をバカにする気など一切なく、リスペクトを持った上で取り入れさせて頂いている事をご理解ください。


「……流石にケチらないとまずいよなぁ、耐久値的に」

 

不安だったのもあって死ぬほどレベリングしてレベルパワーでゴリ押し攻略していたが、耐久値はまぁ減っていくわな。あっこんにちわアルミラージさん、死ね!

ゴブリンの斧をポンポン使い潰し、ポンポンとそこらへんから出てくるアルミラージやオーク、ゴブリンを爆散させながらそう呟く。致命の包丁は温存、正直耐久値が怪しい戦士の双刃も温存だ。

流石にレベル15もあればボスとはいえごり押せるとは思うんだが……

 

「…………あぁ、あれかな?」

 

そこそこ遠くの方に人工物にちらほら見える。あれが恐らく二つ目の街「セカンディル」だろう。

この森…………えーと、「張梁跋扈の森」?とセカンディルへ向かう道には一本の吊り橋だけだ。そしてその目の前にいやがるのは……

 

「は、立ち塞がるじゃなくて蜷局(とぐろ)塞がるってか?退けよエリアボス、邪魔」

 

チロチロと舌を出しながら俺のことを見下ろすこの蛇野郎はさながら次の街への番人の様に鎮座してやがる。

 

退けとは言ったもののこいつを倒さなければどうもセカンディルに行けないらしい。近づくと同時に表示されたウィンドウには「貪食の大蛇

推奨人数3人 推奨レベル10」と表示されている。俺ソロなんですけど……

 

「いやまぁともかく、お前をぶちのめさなきゃ大変なことになるんだわ。何せファステイアにも戻れねえ、意地でも倒してやる」

 

何なら今まで集めたアイテムや経験値が全ロスする可能性すらあり得る、実証はしたくない。

 

「蛇ねぇ……噛みつき、毒、丸呑み……面白い所だと自切……まぁここら辺かな?メジャーな攻撃とすれば」

 

いやまぁ自切は蛇は絶対にしないと思うが。少なくともシャンフロは神ゲーだ、何をとち狂ったか「モンスターを加工してノーツにしてそれを対戦相手にぶつけ合う」なんてゲームシステムにした上で「蛇型モンスターだけど意外性を持たせたいな、そうだノーツを分裂させよう」なんて更にイカれた思考に至らなければ問題はない筈。あぁ懐かしやモンスター・プロセッサーシング、又の名を「音ゲー型じゃんけん」……

 

「おっと、嫌な方向に思考の舵をきっちまったな……ではでは、いざや覚悟しろや蛇野郎!!」

 

◇◇◇◇

 

「いやっ、これっ!ちょっと思ったより……キツいかなぁ!!?」

 

名前こそ大層な名前してるとはいえ初心者用ボス、俺も初心者ではあるが推奨レベルからかなり上で思い通りに動くアバターならば割と何とかなるんじゃないか……そう思っていた時期が俺にもありました、ありましたよえぇ!死ね!

 

「あ"ぁぁあ逝っちまったぁ!!?」

 

もうこれは駄目だな、そう確信させるくらいには大きくそして致命的な亀裂が戦士の双刃に走り、続いてポリゴンと化した。くっそ、これだけでもこの蛇の耐久力(タフネス)が凄まじく高いことを窺わせやがる……!

確かに問題なく初心者であっても倒せるのだろう、ただ流石に壊れかけの武器だと舐めプが過ぎたか?

 

思った3倍くらい滑らかに地面を這って移動する貪食の大蛇が俺を喰わんと大口を上げて突っ込んでくる、お客さん申し訳ない。当店狐料理なんて扱ってねーんだわ!

体を捻り回避、しれっと展開させておいたゴブリンの手斧でスラッシュラッシュを発動させて剣技と呼ぶにはあまりにもお粗末な……それこそキョウや師匠が見たらキレ散らかすか諌めるかされるだろう連撃を蛇の横腹に叩き込む。

 

げーーーっ!まだまだあるとはいえスキル一発で手斧が消し飛んだぁっ!!

 

(というかあれなんだな、一撃一撃が独立した攻撃の判定なんだな)

 

15発ほど叩き込んだがそのうちの5、6発に確かな手応えを感じた、スキル自体に判定があるわけではなく一撃ごとに別の判定が働いているらしい。レベルの暴力はかなり効いたらしくノックバックを起こした貪食の大蛇は顔をのけ反らせる……おっしゃここからごり押していくぞ!

 

温存していた致命の包丁を展開、つい数時間前まであの兎どもの手によって狩られ続けたであろう哀れなプレイヤー(血が噴き出てるのかは兎も角)やモンスター諸君の血を吸ったかのように赤黒い包丁を構える。正直な話上裸の狐面が赤黒い包丁を構える姿はかなり滑稽だろうが今のところベストコンディションがこれだ、諦めるしかない。

 

胴体が分かれ(分裂し)なけりゃ俺は驚かねぇよバァカ!!」

 

実際音ゲーじゃんけん(略式名称)は加工する際モンスターと戦闘するのだが、分裂する蛇や鬣からレーザーをぶっ放してくるライオン、鼻から超高速で放たれる水圧レーザー象、全身のトゲをマシンガンよろしく連射してくるハリネズミなんかを解体する必要がある。裏を返せば俺はそこまでしないと動物系にはめっぽう強いぞ、少なくとも少し大きいだけの蛇なら怖くない。

 

「俺が輪切りにしてノーツにしてやぐふぉあ」

 

…………話を変えようか、蛇型モンスターを相手取る時って基本的なアクションゲーだとどこを警戒するだろうか。俺の場合だと蛇と言われて思い浮かぶのが例の自切ヘビ(トカゲ擬き)だからあんまり参考にはならない。

だが大体の人は頭か尻尾かと答えるだろう。手足がないんだ、攻撃手段なんて巻きついたり噛みついたり「口」から毒吐いたり尻尾で薙ぎ払ったりだろう。

 

まぁ何が言いたいかと言うと、尻尾の先……もっと正確な位置を言え尻尾の先の近くにある穴……まぁもしかしなくても肛門だろうそこからヘドロ……いやもうこの際包み隠さず言おうか、排泄物だな。に直撃してしまった。

 

匂いまで完全再現するほど鬼ではなかった運営に感謝すべきか全身にこう……冷たさを失いただただ気持ち悪さしか感じない湿布を全身に貼り付けられたような感覚を完璧に再現しやがった運営にキレるべきか…

 

そしてまぁ何より少し不味いのが、俺薬草尽きてたんだよね。それに何回か被弾しててさぁ……HPが今30くらいしかないんだよね。あ、今29になった。

 

「………………あーーー、これもしかしなくても割と不味かったりする?」

 

削られていくHP、スリップダメージというやつだ。即ち…………

 

 

 

毒…いや待て、どこの世界に毒糞をぶっかけてくる蛇がいやがるんだ!!!




モンスター・プロセッサーシング
通称「音ゲー型じゃんけん」
フィールド上のモンスターを倒し、それらをノーツに「加工」して曲に当てはめ対戦相手にぶつけるという正直本当に音ゲーか謎なゲーム。
ギリギリクソゲーのラインを超えている。

じゃんけんの由来はノーツとノーツがぶつかり合うと両方のノーツが消えるのだがそれにおける有利不利を比喩している。

モンスターのノーツ全てに効果が付与されているのだが一部が強過ぎる上にどれもこれもトンチキな性能をしている。

具体的には
「ロングノーツとして途中で分裂するヘビ」
「マシンガンの如く針を乱射するハリネズミ」
「鼻から超高水圧レーザーを放射する象」
「鬣からレーザーを放射するライオン」

の四種が環境を破壊していた。というかこれ以外のモンスター達全てがこれら四種の下位互換でしかない為「全部こいつらで良いじゃん」となった。

現在メタの一角に食い込んでいるのはハリネズミとライオンで面制圧を行う「マシンガンドラムロール(レーザーと針の乱射)」とヘビが重なり合って大量の分裂をしながら襲いかかってくる「極大過去大電脳」、四種のモンスター全てが重なり合い超高密度でプレイヤーに襲いかかる「四強獣達の激唱」の三つ。ちなみに前述の通りこの三種には有利不利が存在し、「マシンガンドラムロール」は「四強獣達の激唱」に強く「四強獣達の激唱」は「極大過去大電脳」に強く「極大過去大電脳」は「マシンガンドラムロール」に強い。

しかし音ゲーじゃんけんトップ層では既に新たな曲が開発されているとの情報も得られている…噂によればそれは大量の鳥ノーツ(鳥は嘴の先からレーザーを発射する、速度は速いがやはりレーザー自体が細いためライオンの下位互換とされていた)による全方位攻撃が行われているとか何とか…開発者の名はサンラク。
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