見ているだけで食欲が湧いてくる、料理の数々。
作ったのは、藤井満さん57歳。
だが実は満さん、ほんの数年前まで全くと言っていいほど、料理を作ったことがなかったという。
そんな彼が料理を始めた理由、そこには今は亡き最愛の妻との「ある約束」があった。
今から25年前、新聞記者の満さんは、商社に勤める玲子さんと結婚。
新婚生活が始まった時、満さんから家事を分担制にしようと提案した。
ところが、満さんの家事レベルが低すぎたため、玲子さんから「今後一切、家事は禁止や」と言い渡されてしまった。
それ以降、家事は玲子さんに完全にお任せする事となった。
そんな玲子さんが1番得意だったのが料理。
毎日、台所に立ち、満さんのために様々な料理を作ってくれた。
残念ながら子宝に恵まれることはなかったものの、その後も仲睦まじく楽しい日々を過ごしていった、満さんと玲子さん。
そして結婚から18年の歳月が流れた。
ある日のこと、その日、海外へ行っていた満さんがおよそ3ヶ月ぶりに日本へと戻ってきたのだが…
玲子さんの鎖骨にあるホクロが膨らんでいることに気がついた。
一度、病院で診察してもらうことにした。
すると、その数週間後、メラノーマと診断されたのだ。
メラノーマとは、悪性黒色腫という皮膚癌の1つ。
初期であれば完治することもあるが、進行が進んでいると他に転移している可能性も高かった。
玲子さんはそれでも明るく振る舞い、いつも通り満さんにご飯を作ってくれた。 夫である自分ですら気が気でない中、いつも通り明るく振る舞う玲子さんの姿を見て、この時満さんは あることを思いつく。 それは、家事を覚えること。 そして、玲子さんに家事を教えて欲しいとお願いした。
こうして、満さんは玲子さんのために、家事を教わる事となったのだが…玲子さんの指導は厳しかった。
でも、料理が出来上がると…「私が言った通りに作れば、不味くなるはずがないわな。」と言って、二人で笑い合った。
妻を元気付けたいと思っての提案だったが、元気にしてもらったのは自分の方だったのかもしれない。
そして翌月、玲子さんは腫瘍の周囲を切除するため、入院する事となった。
玲子さんの入院中も、彼女からレシピを聞き、満さんは料理を続けた。
その後、手術は無事に終わり、玲子さんは退院。
退院後、免疫力を上げるため、2人は毎日一緒にウォーキングを開始。
さらに、二人で旅行にも出掛けるなど、病気をきっかけにともに過ごす時間は逆に増えていったという。
ひと時の穏やかな生活…しかし、そんな日々も長くは続かなかった。
ガンが転移したのだ。
手術箇所とは別の場所にがん細胞と思しき反応が見られたというのだ。
それらを切除するため、再び玲子さんは入院する事に。
努めて明るく見送ってくれた妻だったが、本当は不安で仕方ないはず。
そう思いながら帰宅すると…テーブルに夕食のレシピが置かれていた。
そこには「しんどい時でも、これなら簡単に作れるぞ」というメッセージが添えられていた。
そして、再手術当日。
この手術後、切除した腫瘍はやはり転移によるものだと判明。
夫として、なんとか妻を元気付ける言葉をかけたかった。
ところが…そんな状況の中でも、玲子さんは逆に明るく振る舞っていたという。
だがその翌月には、肝臓にも転移が発覚。
そんなある日のことだった…「なあ結婚20年は来年やけど、すこし早めに写真撮ろうか?」と玲子さんから提案された。
こうして結婚20周年の記念撮影を1年前倒して行った。
だが、その1ヶ月後には激しい腹痛に襲われ、再び入院。
そして、満さんにはこの頃から始めたことがある。 それは…玲子さんに宛てた手紙を書く事。 手紙を読んでいる間だけは、病気の事を忘れられるように…そんな想いを込めて。
その後も、玲子さんは入退院を繰り返したが、体調のいい時は持ち前のバイタリティで積極的に行動した。 結婚当初から習っていた、バイオリンの発表会で演奏を行ったり。 夏には、満さんと二人で島根まで旅行に出かけたりもした。 しかし…最初の診断からおよそ1年後…ついに余命宣告を受けることになった。
それから数日後、最期の日々を満さんと過ごすために、玲子さんは退院。
この頃には自力で着替える事も歩く事も出来ず、食事もあまり取れない状態だったのだが…玲子さんは満さんにこう言った。
「すてきな恋やったねぇ。ホンマ、すてきな恋やった。」
満さん「意外と明るかった 最後の方は。実際にそういうこと言えるっていうのは、死ぬ間際ではあったけど自分の気持ちが、悲しいとか辛いじゃなくて、なんか満ち足りてるとは思ってるんだろうなとは思ったから、ちょっとホッとしましたけどね。」
それから1週間後の9月30日。
玲子さんは、天国へと旅発った。
最期の瞬間は、玲子さんの希望で満さんと手を繋いだ状態だったという。
そして玲子さんの死後、満さんが遺品の整理をしていると、あるものを見つけた。
それは、生前の玲子さんが満さんに宛てて書いた、最期の手紙だった。
そこには…こう書かれていた。
「南蛮漬け、イワシのフライ、グラタン、おいなりさん…好きなものずっと作ってあげたかった。いつも何でも美味しいと言ってくれて、ありがとう。」
「ただひとつお願い。残りの人生を他の誰かと暮らしてください。まだ十分、やり直すにあまりあります。一緒にご飯を食べてうまいなという相手を見つけてください。」
こうして満さんと玲子さんのかけがえの無い19年間に渡る夫婦生活は終わった。
しかし…満さんは今も玲子さんが書き残してくれたレシピをもとに料理を続けている。
満さん「(料理をしていると)彼女が中にいるとは言わないけれど、彼女が作ってたものを今(自分が)作れているというとき、一心同体とは言わないけれど、自分の中にいるような気になるっていうのはありますよね」
スタッフ「今もし玲子さんがいたら、美味しいって言ってもらえる自信はありますか?」
満さん「まあまあやな」ちゃうかな。たぶん「まあまあやな」。その程度ですね」
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