1月10日 オンエア
歴史的事件を解決に導いた男
 
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60年間、捜査に人生を捧げ続ける男がいる。 彼は警察関係者から、こう呼ばれている…『伝説の鑑識官』と。
時限爆弾により8名の命が奪われた『三菱重工ビル爆破事件』、戦後最大のホテル火災と言われる『ホテルニュージャパン火災』、史上稀に見る凶悪事件の一つとされる、『東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件』など、日本を震撼させた数多くの事件・事故に第一線で携わってきた。 その功績を讃えられ、警察官が人生で一度でも受賞出来れば称賛される最上級の賞、警視総監賞をなんと36回も受賞。 まさに鑑識のプロフェッショナル!
しかし、彼が『伝説』と呼ばれる所以は、これだけにとどまらない。 実は、今では当たり前となったある捜査方法を編み出した人物でもあるのだ。

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今から48年前の東京、この日の深夜、一人の女性が部屋に侵入してきた男に襲われる事件が発生。
鑑識活動が進められていく中…所轄の刑事たちが被害者に犯人の特徴を聞いていた。 すると、警視庁の刑事部に所属する、機動捜査隊が現場にやって来た。 所轄の刑事に代わり、今度は彼らが…同じようなことを聞き出したのだ。
被害女性は「もう、思い出したくない。」と話せなくなってしまった。 それでも機動捜査隊は無理に話を聞き出そうとした。 すると「被害者が可哀想だろ。もうやめるんだ。」と言う男がいた。

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男の名は、戸島国雄
1963年、警視庁に採用され、この当時、刑事部鑑識課に所属していた。
戸島は、彼女が話していた内容を思い出しながら、犯人の似顔絵を描いてみせた。 被害女性は「こんな雰囲気でした。」と証言した。

戸島さん「良い方法はないだろうかと、現場に行く度に思っていた。来た警察官が次々に聞く。女の子は震えながら泣いているんですよ。被害者ですからね。それをずっと見ていて、絵にして配れば良いと思った。それが似顔絵捜査の始まりなんですよ。」

しかし…この当時、似顔絵捜査なるものは存在していなかった。
犯人を探すために行われていたのは、モンタージュ写真の作成。 しかし沢山の顔写真の一部を組み合わせるため、時間を要す上…作成には後日、被害者や目撃者に警視庁まで足を運んでもらう必要がある。

戸島さん「もう1日半経って2日経って、その間にその人は家から警視庁に来るまでに色んな人と接触してしまう。だから記憶が飛んじゃって、犯人を思い出せと言われても、全然分からなくなっている。似顔絵は(事件)発生したらすぐに描く。30分以内に始めるとか。この一枚の紙で犯人を表したら、捕まるんじゃないかという考えでやった。」

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こうして戸島は、たまたま描いた似顔絵に可能性を感じ、これを犯罪捜査に生かす事を決意する。 と言っても、多少の絵心があるだけ、習ったことはない。 何かもっと上達する方法はないか、模索している時だった。 公園で『似顔絵師』を見かけた。
戸島は似顔絵師がどうやって描いているのか観察を始めた。 似顔絵師に嫌がられても、戸島はめげず、休日になると公園に行き、似顔絵師の描き方を観察し続けた。

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そして、戸島は差し入れを持って似顔絵師の元に通って、似顔絵師と仲良くなり、一から描き方を教わった。
こうして戸島は、本来の職務である鑑識活動を行いながら、似顔絵を描き続けた。 しかし…鑑識官の戸島がどれだけ似顔絵を描いても、現場の刑事は誰一人、その効果を信じてはくれなかった。

戸島さん「刑事というのは、みんなプライド持っていますからね。『俺たちには足がある。刑事は聞き込みでやるんだから、似顔絵なんて当てにならない』と言われた。『戸島が描く絵は大した事がない』と言わせないように、一生懸命描いた。」

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そんな中…都内で連続コンビニ強盗事件が発生。 防犯カメラが普及していない時代、なかなか犯人逮捕には至らなかった。
この時の機動捜査隊の班長は、他の刑事とは違い、快く似顔絵を受け取ってくれた。 それから数時間後、コンビニで鑑識活動を続けていた戸島に犯人を逮捕したという連絡が入った。 なんと、犯人は似顔絵とそっくりだったという。

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これが戸島の似顔絵が似ていたために犯人が逮捕できた初めての事例となった。 戸島が似顔絵を描き始めてから、実に10年もの月日が流れていた。
以来、戸島の似顔絵は一目置かれるようになり、プライドの高い刑事達でさえ、彼の似顔絵を捜査の材料とし、犯人検挙に結び付く事案もどんどん増えていった!

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多くの犯人検挙に貢献した戸島の似顔絵。 実は、そこには彼が編み出した幾つもの戸島流メソッドというべき極意があった。 実際に彼が携わった事件の驚くべき解決までの流れと共に、その極意を見てみよう。
今から34年前、江東区の団地で女子児童が襲われる連続事件が発生。 戸島に似顔絵の依頼が来た。 話を聞くのは、まだ幼い少女である。

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子供の場合、いきなり事件の話をするのではなく…子供が好きそうな絵を描く事から始め、リラックスさせる
証言者の真正面で描くと、戸島の顔に影響を受け、戸島自身に似た似顔絵になってしまう事があるという。 そのため自分の顔が見えない位置に座る

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そして…スーツ姿のサラリーマン風、ジャンパー姿の配達員風など、鉛筆を持たず、まずは犯人の全体の印象から聞く
そして、相手に一方的に話をさせることで信頼感を得る
1枚30〜40分程度で仕上げる
子供やお年寄りの場合、時間がかかり過ぎると集中力が続かず、正確性を欠いてしまうからだ。

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この似顔絵は…すぐに団地の掲示板などに貼られた。 すると…似顔絵が切られたという。 おそらく、似顔絵を見て、焦った犯人の仕業だと思われた。
そこで警察は、被害があった団地付近の掲示板などに似顔絵を重点的に貼った。 すると…予想通り、切っていたのは、似顔絵が自身に似ていた事から逮捕を恐れた犯人だった。

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さらにこんな事件も…デパートから高価な茶器が盗まれ、その中の数点が質屋に持ち込まれた。 そこで、戸島が店に出向き、似顔絵を作成する事になった。
目撃者が複数いる時は、互いの発言に影響を受けないよう、必ず別々に話を聞く
突然言われても困らないよう、人気の俳優や歌手、ファッションや髪型など、流行には常に敏感でいる必要があるという。

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そして、間も無く完成するという時…犯人が店に現れたのだ! そこで、戸島は男に見えないよう、隠れ…男が茶器を売ろうとした瞬間、逮捕した。
こうして、似顔絵を描いている最中に犯人を逮捕する事が出来たのであった。

似顔絵、そして本業である鑑識活動により、数多くの事件を解決へと導いた戸島。 1995年には、わずか1ヶ月の間に、戸島が描いた10件の似顔絵のうち、4件が絵をもとに検挙に結び付いた事もあったという。
ちなみに現在、犯罪捜査に欠かせないものの一つとなっている規制線のテープ。 実はこれも戸島が考案したものなのだ。
こうして新たな操作方法を導入していった戸島。 彼の活躍は50歳を過ぎても、止まる事を知らなかった。

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そして、今から29年前…日本から遠く離れたタイの事件現場。 そこに…なぜか、戸島の姿が!
実はこの前年、戸島は妻の寿子さんを白血病で亡くしていた。 その後、上司から国際協力機構(JICA)の試験を勧められ、受けたところ、合格。 タイで鑑識捜査の指導に当たる事になった。 仏の国と言われるタイに行けば、妻を感じられるかもしれない…頭の片隅には、そんな想いもあった。

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しかし、タイの捜査現場は想像以上に酷いものだった。
捜査員たちは、手袋をせず、素手で遺体や現場周辺を触る。
規制線のテープがないので、記者が死体にまたがって写真を撮る。

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野次馬でやって来た一般人が、金目のものを持ち去る。
また、タイには葬儀の支援などを行う『葬儀団』という団体があるのだが…複数のチームが集まり、遺体の奪い合いをするなど、事件現場の保全が全くなされていなかったのだ。

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そこで戸島は、事件が発生すると自ら現場に臨場。 タイの警察官に捜査の進め方を一から指導した。
そんな中、現地の警察官を唸らせ…鑑識官・戸島の真骨頂を見せた事件がある。 それは、一般家庭の住宅で起こった。
この家に住む主婦が何者かに後頭部を殴打され、前に倒れた状態で亡くなった。 壁には…おびただし血痕が残されていた。 タイ警察はこの血痕は、被害者の頭部からの返り血だと推察していた。

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通報者は夫、帰宅した所、妻の遺体を発見したという。 室内は荒らされており、夫によれば金銭などがなくなっているという。
地元警察は強盗殺人と判断。 しかし…戸島は違和感を覚えた。

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被害者の腕に全く傷がなかったのだ。
普通は必死に抵抗するから、アザや傷など何かしら残る。 そのことから、背後から殴られた可能性が高いが、だとしたら被害者にとって警戒心を抱かせない人物、顔見知りの犯行ということになる。
遺体の状況から、犯人は壁と被害者の間に立ち、背を向けている被害者の後頭部を殴打したことがわかる。 その場合、返り血は壁でなく、犯人が浴びるはず。 壁に付いた血痕は、凶器を振りかぶった時、凶器に付着した血が飛び散ったためについたと思われる。

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血痕は…右上から左下に向かっている、このことから犯人は左利きだということがわかる。
被害者の夫も左利きだった…これを受け、被害者の夫を問い詰めた所、犯行を自供。 戸島の推理が正しかったことが判明した。

タイで3年間指導に従事した後。戸島は日本に戻り、再び数多くの現場で活躍。
そして2000年、警視庁は似顔絵が捜査に有効であるとして、似顔絵捜査員制度の導入を決定。 その際、戸島は『似顔絵捜査員001号』に任命された。
彼は、その後も多くの警察官に似顔絵の極意を伝え続けた。 そして、83歳となった現在、現役は退いたものの、警視庁の警察学校や各都道府県に赴き、元鑑識官として後進の指導に尽力している。

およそ60年間、捜査に人生を捧げてきた戸島国雄。 そんな彼が今思うことは…
戸島さん「60年というのは、本当に長いとは思うけれど、自分としては、いや、そうでもない、まだ物足りない。人生はまだこれから。もう少し貯金じゃないけど、20年30年まだ欲しいですね。」
スタッフ「まだまだ捜査していきたいですか?」
戸島さん「もう少しやっていきたいですね。」

放送内容

次回 | 1月24日(水) 19:00~21:00 放送

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番組へのメッセージ

再現V

藤井満様のお話感動しました。満様役の俳優の方とても演技が上手く感情移入してしまう場面が多数ありました。今後またこの方の演技楽しみにしております
(つつつ・男・会社員・30's)2024/01/10 21:51

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