教育熱心な親だと、あえて遅生まれにするケースも

新生児科・小児科 今西洋介 医師

新生児科・小児科 今西洋介 医師
「医学的にみると、早生まれと遅生まれは、極端にいうと11か月も違うわけです。母子手帳にも身長や体重の成長曲線が載っていますけど、4歳0か月と4歳11か月だと、体重も約3キロ、身長も約5センチ違う。かなり体格的な差はあって、体育の授業などで、差が出ると思います」

一般的に、男子は17歳前後、女子は15歳前後まで身長が伸びるといわれていますが、体格に関しては、もちろん個人差も大きいとのこと。

また、診察などで多くの親子と接するなかで、親からはこんな声も…

新生児科・小児科 今西洋介 医師:
「すごく教育熱心なお父さんお母さんだと、あえて遅生まれ、4月生まれになるようにする人もいるようです」
「また、こういうデータを伝えると、早生まれの親御さんは絶望する人も多いですけど、アメリカのデータでは、プロスポーツ選手で早生まれと遅生まれの選手を比べてみると、遅生まれの人の方が年俸が良いというデータもあります。大人になってからも差が出るということは、やはり影響はあると思います」

生まれ月は、大人になってからも、少なからず影響を及ぼしていると考えられるといいます。

では、子育てをする上で気を付けるべきこと、注意すべきことはあるのでしょうか。

新生児科・小児科 今西洋介 医師:
「兄弟構成などで精神年齢も変わってくるので、早生まれ、遅生まれというレッテルを貼るのではなく、子ども一人一人の特性を見るということが大切だと思います」

統計学でみる「早生まれ」「遅生まれ」の差

一方、統計学の観点から見るとどうでしょうか。
早生まれの成長格差などについて研究する、東京大学大学院の山口教授に話を聞きました。

山口教授らは、小学4年生から中学3年生までの子どもたち約100万人のデータを分析。学力テストから「認知能力」を、同時に行われたアンケートから「非認知能力」を調べました。

その結果、どの学年で比べてみても、いわゆる「遅生まれ」の子どもほど成績が良い傾向が見られたのだそうです。