やる気を起こさせてくれる演説家やキャリアの専門家に訊ねてみましょう。
あるいは、スティーブ・ジョブズでも良いでしょう。
アップルの共同創業者であるジョブズは、かつてこう言いました。
好きなことを見つけなければなりません。
素晴らしい仕事をする唯一の方法は、自分のしていることを好きになることです。
まだ見つかっていないのなら、探し続けることです。
ほとんどの人は、一番大切なのは情熱だと思っています。
しかし、マーク・キューバンは違います。
Adam Grantがキューバンに「キャリアに関してこれまで受けた中で最悪のアドバイスはあるか」と尋ねると、キューバンはこう答えました。
情熱に従え? ノーです。
努力に従うことです。
自分が得意なことをやめる人はいません。
情熱が努力の火種になることもありますが、その逆のことのほうがよくあります。
努力と、その結果としての改善が、情熱を生み出すのです。
うまくいかなかったら? やるのがきっと嫌になるでしょう。
うまくいったら? 楽しめます。そして、上達すればするほど、やるのが好きになるのです。
特に起業に関しては、科学も同様のことを示しています。
『Academy of Management Journal』に掲載された研究によると、起業家が自らのスタートアップや副業に力を入れれば入れるほど、自分のビジネスに熱中するようになるそうです。
スタートアップの創業者たちは、技術や専門知識、経験を積むにつれて、初期の経済的な成功の有無にかかわらず、その熱意を高めていきます。
努力と、その結果としての改善が情熱を生み出すのです。
その逆ではありません。
「情熱に従え」は悲惨なアドバイスになる場合もある
趣味や興味を情熱と混同してしまうことは、特にキャリア上、あるいはビジネス上の成功につながるものと混同してしまうことは、よくあることです。
そのような、すでに持っていた情熱がお金になることは稀です。
Cal Newportは、『So Good They Can't Ignore You: Why Skills Trump Passion in the Search for Work You Love』の中で次のように書いています。
他人に『情熱に従え』と言うのは、悲惨なことになり得ます。
おそらく、過去の不況をすべて合わせたよりも、このアドバイスが原因で失敗したビジネスのほうが多いでしょう。
大多数の人は、そうして成功した企業を所有することになるわけではないからです。
それは、ほとんどの情熱が、努力ではなく興味のことを指しているからです。
スポーツに熱中している人はたくさんいます(あなたもその一人かもしれません)。
あるいは、冒険。旅行。私はモータースポーツを楽しんでいて、ハイスピードで運転する(または乗る)のがとても好きです。
しかし、私たちはその情熱にどれだけの努力を注いでいるでしょうか?
自分の才能や知識、技術を向上させるために、どれだけの努力をしているでしょうか?
私の場合は、あまりしていません。
情熱は関心を示しているに過ぎないのです。
そうではなく「努力に従え」
情熱は、ほとんどの場合、多大な時間と努力の結果です。
努力は、改善と専門知識につながるからです。
キューバンは、2012年に自身のブログでこう書いています。
私が情熱を注いでいることはたくさんあります。
(しかし)私が最終的に本当に得意になったのは、自分自身が努力を惜しまなかったことなのです。
情熱について語る人がたくさんいますが、本当に重視すべきはそこではありません。
自分が時間をかけていること、努力をしていることに目を向けてみると、それが自分の得意なことであることが多いのです。
そして、十分に時間をかければ、それが本当に得意なことになりやすいのです。
十分な時間をかけて、本当に得意になったら、ちょっとした秘密をお教えしましょう。
得意なことをやめる人はいません。
なぜなら、何かが得意になるのは楽しいからです。
しかし、一流になるためには、努力をしなければなりません。
空いている時間にしていること(受動的に経験するのではなく能動的に行っていること)から、何に興味があるのかが、はっきりわかります。
キューバンの言葉を借りれば、すでにそこに努力を重ねているのです。
そうであれば、その努力に従いましょう。
高度な技術を持つ人は皆、学ぶことから始め、そのうえで努力と成果の好循環から力を得たのです。
努力は、どんなに小さなことであっても、成果につながります。成果が得られると気持ちが良いものです。
気持ちが良いと、さらに努力しようとやる気が出ます。それがさらなる成果へ、さらなるやる気へとつながります。
その結果、永遠に続く好循環となるのです。
努力に従い、改善・学び・成長のプロセスをもう少し体系化しましょう。
努力すればするほど、熱意が湧いてきます。より情熱的になるでしょう。
そして、情熱を新しいビジネスやキャリアに転換するために必要な才能や経験を身につけられる可能性が高まるのです。
そこに情熱は不要です。やがて自分が好きなことをしていることに気づくからです。
たとえそれが情熱として始まったのではないとしても。
Source: TED, Academy of Management, Amazon, Blog Maverick
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