たった一杯でしじみ100個分のオルニチンが取れるという味噌汁の素を買った
おお!そんなにオルニチンが!!?よし買おうすぐ買おう!と悦び勇んでカゴに放り込み満面の笑みで会計を済ませスキップで帰宅しココロ躍りアンコールわかしダンスダンスダンスの最中ではあるが、よくよく考えるとおかしい
最近、しじみ何百個分のオルニチン!と謳う商品が、いくらなんでも多すぎる。オルニチンといえばしじみ70個分以上はデフォルトになりつつある。
いつだか、しじみ2000個分のオルニチンを豪語する商品すら見たことがある。しじみ2000個。沿岸部の手練たちが夢にまで見た潮干狩りのワールドレコードだ
実は、しじみにはオルニチンという成分があまり含まれてないんじゃないか?そんな疑いすら持っている。
しじみにはオルニチンが大して含まれていないので、オルニチンを無理やりしじみで数えるとどうしても数値が大きくなってしまう。その可能性がある
例えばホタテ1個には、しじみ30個分のオルニチンが含まれているかもしれない。全く不思議なことではない。へそゴマ1欠片にしじみ500個分のオルニチンが含まれていても驚かない。食べる。
というか、そもそもオルニチンっていつからそんなメジャーな栄養素になったんだ?誰なんだオルニチンて。阿保みたいにしじみ何百個分も摂取すべきものなのか?自己紹介はどうした。イソフラボンお前もだ
皆、目を覚ますんだ。オルニチンなどというワケの分からない栄養素の含有量を、しじみなどというワケの分からない二枚貝で数えてどうする。
それで商品を買う人間は、「アルパカの目ん玉5000個分のモノグリドズムフィン配合!!!!」と書かれた栄養ドリンクも買うだろう。そして言うに違いない。いやー最近モノグリドズムフィン取るようにしてからすこぶる調子良いですわと
ああ怖い。オルニチンが怖い。そして「オルニチンが多いから」という理由で自信を持ってみそ汁の素を選んだ自分が、何よりも怖い
一体、どういう思考回路なんだ?一杯でしじみ100個分のオルニチンが摂取できると書いてあるのを見て大喜びで手に取っていた。ほとんど迷いが見られなかった
みそ汁の素を買うに当たって自分の中の軸が確立していないが為に、無意識にオルニチンを指標にしたのである。そして充分に満足した
そう。結局、そういうことなのだ。突き詰めると、私はほとんど全ての物事の価値を判断できていない。住む場所も、着る服も、些細な意見でさえも。何か自分で判断しているような錯覚に陥っているが判断基準すらも実は巧妙に外部から与えられている。薄暗い海で。途方もない沖で。抗えない大きな潮の流れに身を委ねながら。自分はこの手でオールを漕いで、自分の意思でどこかに向かっていると信じている。少し北に進んだと喜んでいるがコンパスはとうに壊れている。地図も落書きだ。明らかに漂流している。全裸で漂流している。でもそれで良いのかもしれない。だって友達も漂流しているから。みんなで漂流すると楽しいから。嘘の地図を開いてキャピキャピしていると時間はあっという間に過ぎるから。何の話してたっけ。オルニチンだ。オルニチン。オチンチン♡
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