エガちゃん
「ウジちゃんはね、ワタチが守るんテチ」
何があったか詳しく聞かせてくれないか
「ママもオウチもオネチャもイモウトちゃんも怖いオバちゃんたちにメチャクチャにされたテチ」
「ワタチはこのウジちゃんを連れてイノチからがら公園を逃げ出したテチ」
「ウジちゃんにはおけけもおくるみもあって未来があるテチ」
「ウジちゃんがおっきくなってコドモを生むまでワタチが守るんテチ!」
そのオッドアイの瞳は真っすぐで決意に満ちていたが…まあ無理だろうな
インタビュー報酬のコンペイトウ一粒を渡して俺はその場を後にした
振り向くと仔実装が蛆にコンペイトウをなめさせているのが見えた
お笑い芸人の江頭2:50の愛称から名前をとってコイツをエガちゃんと呼ぶことにした
数日後 仔実装ことエガちゃんに再び出会った
俺を見るなり走り寄ってきて足元でテチテチわめく
「ニンゲンさんお願いテチ!もう一度コンペイトウくださいテチィ!」
「蛆はどうした?」
連れていた蛆がいなくなっているのだ
「テ…テ…」
涙目になるエガちゃん
「君のしたことや見たものや感じたことを話すんだ」
「そうしなければコンペイトウはやらん」
「ウ…ウジちゃん食べちゃったテチィー!!」
これは…予想外だ
「食べ物なんにも見つからなかったテチ!おナカペコペコペコペコだったんテチー!」
公園の実装石が増えすぎたせいでゴミ収集所は厳重管理され町は綺麗に清掃された状態なのだ
自然の恵みもない町の中で食料など見つかるはずもなかったのだ
「ウジちゃん食べようとおカオ近づけたテチ…」
蛆はそれを大好きのチューと思って体をよじらせて喜び
『オネチャとのチューうれしはずかしレフ~ン♪』
その笑顔のまま呑み込まれたそうだ
「ウジちゃんはワタチのおナカの中でずっと動いてたテチ」
「怖くて怖くて泣きながらウジちゃんが動かなくなるまでおナカさすってたテチ…」
俺は無言で聞き続けた
エガちゃんは言葉を続ける
「ウジちゃんを食べたあとずっと出てなかったウンチが久ちぶりにちょびっとでてきたテチ」
「ウジちゃんごめんなさいテチ!ウジちゃんごめんなさいテチ!!ママごめんなさいテチ!!!」
「ウジちゃんウンチにしちゃったテチィィィー!!!!!」
そしてテェェェェーン!!テェェェェーン!!と大声で泣き出した
これ以上なにかを聞くとパキンしかねない
コンペイトウ一粒を傍らに置いてその場を立ち去った
数日後エガちゃんにインタビューした場所を再び訪れた俺は赤緑の染みしか見つけることができなかった
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