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創作論を語ることについて

SNSで小説やマンガの創作論が流れてくることって、たまにありますよね。先日もちょっと話題になってましたけれども。僕もこうやってnoteで日々創作論的なことを書いてるわけで、まあ広い意味で言うと同じ穴の狢というか。正直、SNSに溢れてる創作論と、ここで僕が書いてるものを厳然と分ける壁みたいなものって全然ないんですけれど。

ただ、一応は本を十数冊出した経験がありますので、その経験に基づいていろいろお話しできる事っていうのは、もしかしたらあるのかなと思います。

例えば、小説を1本書き上げること。これ自体ももちろん大変なことなんですけれど。ただその小説を新人賞に投稿することや、受賞するまで投稿し続けることとなると、経験者はさらに絞られてくると思います。また、出版までの過程ではいろんなことを経験します。自分の原稿に対して編集者の方の意見をもらって改稿したり、ゲラになったものを修正していったり。あと、自分の書いた原稿が実際に本になることの感動みたいなことも知っていますし。こういった作業を一度だけでなく、十何回も繰り返すことで見えてくるものもあります。やっぱり、そこは想像だけではわかり得ない部分なのかなと思いますし、経験に基づいて発言することには多少なりとも意味があるのかなと思って、noteに時折創作論的なものを書いています。

あともう一つ、僕は現役の商業作家として活動しているので、ある種その名前を背負って発言をしているという点があります。ここで僕がもしいい加減なことを言ってしまうと、作家としての名前にも傷がついてしまう。そのリスクがあることを理解した上でやっていて。商業作家でない人にはそのリスクがないわけで、そこの意識の違いはあるのかなと思っています。

作家が創作論を語ることについて、恥ずかしいと思われる方もいるでしょうし、みっともないと思われる方もいるでしょう。「大家でもないのになぜあなたが?」と言う人もいるかもしれません。でも、作家が創作論を語ること自体は、僕は悪いことだと思っていません。プロとみなされている商業作家がどんどん創作論を公にしていくことで、適当なことを放言する人も減るんじゃないかな、という希望的観測を持っているからです。(岩井がプロ中のプロだと胸を張るつもりはないですが、一応は現役の商業作家ということで許してください)

僕はまだまだ精進している最中の作家ですけれど、だからこそわかることもいろいろあると思うんですよね。その最中にいることじゃないと気づけないこともたくさんあると思うので。それをリアルタイムに記録しておくことは、今後の自分のためにもプラスになると思っています。

極端な話、誰が何を言おうが別に自由は自由です。ただ、その発言に対しては責任が伴うっていう当たり前のことを、これからも忘れないようにしながら、執筆活動をやっていけたらいいなと思います。

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創作論を語ることについて|岩井圭也