「建築パースを依頼したいのだけど、どんな流れで進行していくの?」
「制作を依頼すれば全部やってくれるんでしょ」
「依頼するにはなにが必要?」
そんなことに悩み・考えている方に向けた記事になる
今回ご紹介する内容は
読書さんへのメッセージ
建築CGの依頼を検討している際、事前にどのような流れで制作が進行するのか把握して不安を少しでも解消しておきたいはずだ。
また依頼時にはなにを準備する必要があるのか、変更や修正は可能なのかと疑問を抱くことも少なくないと思う。
設計段階での検討やプレゼンに3DCGを利用することも多くなったが、
外注として建築CGを依頼する場合はわからないことばかりなはず。
そこで、一般的な建築CG制作会社への依頼を想定して、パース制作の流れと依頼者側の注意点について解説していく。
依頼や進行をスムーズに行うためにも、予備知識として理解しておくことをお勧めする。
1. 依頼データの準備
3DCGによる建築パース制作には、当該計画の設計図面データや仕上げ材などの情報(仕上表・仕様書)が必要となる。
まずは図面に関して、用意がある場合とない場合について解説していく。
1-1. 図面データがある場合
建築CGの制作開始には、当該計画の一般図(平面・立面・配置図)が必要となる。それらを下図にして3D形状を制作するためである。下絵として利用するので、確認用で用いられるPDF形式の図面ではなく、「DXF」や「DWG」もしくはJWCAD形式での変換用データの準備が必要だ。
また、ディテール等の細かい表現が必要なところは、詳細図やスケッチ等で指示を用意しておくとよい。
一般的な外観・内観パース制作に必要な図面の種類をまとめておく。
外観・・・平面図、立面図、配置図、外構図...
内観・・・平面図、展開図、床伏図、配灯図、詳細図...
変換用の図面データと共に確認用のPDF図面も用意しておくと制作者側は計画を把握しやすく、制作もよりスムーズに進む。
1-2. 図面データがない場合
設計コンペや時間の限られている案件では、しっかりとした図面が用意できない場合もあるだろう。簡単なスケッチだけでも対応可能な制作会社が多いと思うので、問い合わせてみるとよい。
その際、最低限の内容とボリュームがわかるように平面・立面のような簡易な資料は必要である。
1-3. 自作の3Dデータがある場合
自分で3D形状を作成したのでそれを利用すれば時間も費用的にも節約できるのでは?と思われるかもしれない。しかし多くの場合、そのモデルは利用できない。
データ変換時の不具合、ディテールの追加や細かい修正が必要となる為、結果的に初めから制作を行ったほうが早い場合がほとんどであるためだ。それでも、立体形状の把握といった点では2D図面より優れているので提供すれば進行は捗る。
1-3. その他の必要資料
□【仕上表・仕様書・マテリアルリスト】 仕上材の詳細がわかるもの。後述のアングル決定時までに準備でも可。
□【希望アングル情報】 見せたいと思う場所やそれを見る方向の指示。制作会社へ任せてもその計画のよいところを見出し、最適な画角を提案してくれるだろう。
□【希望納期】おおまかにでも希望のスケジュールを伝えておくとよい。修正や変更の対応時間も考慮して、ある程度余裕をもった計画が必要。
□【パースイメージ】 他社の制作例や建築写真など、こういうふうにしてほしいというイメージがあると制作者は対応がしやすい。
特に初めての制作会社に依頼する場合は、パースイメージを用意することをお勧めする。
2.制作開始~モデリング
一般図面のデータ提供を行うと制作会社は対応が可能となる。
まず最初に、図面やその他資料を読み込みながら3DCGソフトを利用し3次元の形状を制作していく。
これはモデリングと呼ばれる工程で、図面に表れてこない部分なども汲み取り・補完しながら制作が進行されていく。
パース制作会社には設計経験者が在籍・対応していることが多いので、一般的な納まり表現に問題はないと思われる。しかし特殊なディテールや造作表現が必要な場合は、詳細図等によって指定するのが望ましい。
>>関連記事【3DCGを学ぼう】 モデリングとはなにか【建築パース制作】
3.マテリアル・ライティング設定
提供した仕様書等を参照しながら、モデリングで作成した3D形状に木やタイルといったマテリアルの素材を貼り付けていく。制作会社によっては、後述のアングル決定を行った後にこの質感設定を行うところも多い。
また、太陽や照明などの光源を設定して、最終のイメージに近いかたちまで近づけていく。
4.アングル確認
モデリング・ライティング・マテリアル設定の対応が完了すると、最終的な仕上がりの画角(アングル)を決めるために何点かの候補画像が送られてくる。提案してきた候補のなかから選ぶか、ほかによいと思うものがある場合は再度提案の依頼を行う。
ここで注意しておかなければならないのが
このタイミングで決定したアングルは簡単には変更できないこということ。
というのも
この後の作業には写真合成などがあり、アングルが変わってしまうと大半をやり直さないといけないためである。
あまり聞かないが一度決定したアングルを変更してしまうと追加で費用が発生する場合もあるようなので注意が必要である。
アングルの決め方は様々な意図によって変わる。下記の記事を参考にしていただくとわかりやすいだろう。
>>関連記事【3DCG】建築パース制作時のアングル決定方法【カメラ設定解説】
5.仕上げ対応
アングルを決定すると制作会社は仕上げの作業が可能となる。
見える範囲内で更なるディテール制作や小物などを配置。照明等の微調整を行いながら完成へと近づけていく。
3DCGでの作業が完了すると、対応した内容を一枚の画像にまとめるため、レンダリングと呼ばれる演算処理を行う。
このレンダリングは時間を要する作業であり、大きな画像サイズが必要な場合は数時間かかることもある。数年前に比べたらパソコンの性能向上によってだいぶ時間が短縮されたが、いまだ制作時間に大きく影響する工程である。
無事に画像が作成した後は画像編集ソフトを利用して、明るさや色の調整、樹木や人などの合成処理を行う。この作業をポストプロダクションと呼ぶ。
>>関連記事 【3DCGを学ぼう】レンダリングとはなにか【建築パース制作】
>>関連記事 【3DCGを学ぼう】ポストプロダクションとはなにか【建築パース制作】
6.仕上がりチェック
指定したアングルに対し、一通りの対応を完了した段階でチェック用の画像が送られてくる。計画の内容が正確に反映されているか、どこかおかしなところがないかなど細かくチェックを行い、必要な場合は修正の依頼を行う。確認や修正の指示について、ちょっとしたコツをまとめてみる。
6-1. 色や明るさについて
色や明るさは画像で利用の場合はモニター、出力する場合はプリンターの環境によって大きく異なる。制作者は色の調整がちゃんとされているモニターで作業しているので、確認側の環境によって見え方が変わってくることが多い。
そこで、細かい調整や修正が必要な場合はApple製品のiPhoneやiPadにて確認し、そこでの見た目を基準に指示を行うとよい。比較的ユーザー数の多いデバイスであるため間違いは少ない。
6-2. 修正指示にはその意図を添えて
修正依頼の際には、どうしてその対応をしてほしいのか「指示の意図」まで伝えるよう行うとよい。
「ここに植栽を増やす」という指示と「緑に囲まれた雰囲気にしたいのでここに植栽を増やす」とでは制作者の理解と対応が変わってくる。
最初の指示の場合は、「とにかくここに緑を入れておくのが希望なのだろう」と考え、早く終わらせるためにとりあえず従う。一方、意図を付け加えて指示することで、もし植栽を追加しても緑に囲まれた雰囲気があまりでないと感じたらそのイメージを実現するため他の対応を提案してくれたり、相談をしながら進めてくれる場合がある。
6-3. スケジュールは修正対応期間も考慮
画像全体を明るく・・・などの簡単な修正を除き、ほとんどの場合時間を要するレンダリングを行わないと対応できないものばかりである。そのため修正指示から対応完了までの期間も、全体スケジュールを考える際に検討しておかなければならない。
初校の状態によって作業ボリュームと時間が変わってくるので、事前にどのくらい期間を検討しておけばよいのか読みにくい。初めから余裕のあるスケジュールが取れない場合は、初校・校了のタイミングを含めた納期の設定を伝えておくとよい。
7.修正・変更対応
チェックバックをもとに、修正の対応が行われる。
希望はできるだけ伝えよう。しかしできること・できないことや、完成度を結果的に下げてしまう内容もあるので、制作者の意見を尊重することも大事である。
また、変更には注意が必要だ。
内容の規模や種類によって、追加の費用が必要となる場合があるので制作会社に相談しよう。
8.納品
修正対応~チェックを繰り返し、直すところがなくなった状態で納品となる。基本的にはこれ以降の修正は不可になるので注意が必要。
現在はパース画像のデータ送信による納品が主流で、高画質でありながら容量が小さい「.jpg」形式が多く利用されている。
画質の劣化や圧縮が気になる場合は「.TIF」等の形式での納品を申し入れよう。
その他、出力や額装などが必要な場合は対応の可否が制作会社によって異なるので確認が必要だ。
9.納品後について
納品後に変更が発生する場合があるだろう。
最終のデータを提供されて間もない場合や軽微な変更に関しては、追加費用なしに対応してくれるところが多い。
また、ある程度のボリュームで変更があったり納品から時間が経ってしまっている場合は、内容に応じて費用が発生する場合や対応が不可なこともある。
10.まとめ
今回は一般的な建築CG制作会社への依頼を想定し、制作フローを紹介した。外装・内装・建物用途問わず、概ね解説したかたちで制作が進行される。依頼した後「どんな内容の連絡があるのか」「なにを決めなければならないのか」理解していると、制作への不安も少なからず解消されることだろう。
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